美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2020年05月13日

エゴノキの花が咲いている。可憐。ほんのり香っている。実が石鹸の代わりになると聞いて久しいのだが試したことはない。

ロシア語の文字の絵本「難しい文字たち」(詩ススロフ/絵グーセフ)はとてもユニーク。文字を何かに見立てたテーマ挿絵と詩のページが対になっている構成で、テーマ挿絵には賑やかに細かく色々なものが描きこまれている。

この絵本には、ロシア語のアルファベットの文字とあらゆる単語のサンプルの絵がありったけ詰め込まれているので、知っている名前(単語)を言い合ったり、例えばСのつく単語を探したりと、遊びながら文字や単語に興味を持てるようになるはずだ。そういう遊び方が巻末に載っている。

その単語がたくさん詰め込まれている絵がいい。素朴で遊び心がある。予定調和や遠近法も無視して、ありとあらゆる物が混在しているのである意味シュール。そこが何とも面白い。これらの絵を見ながら文章を繋ぐ遊びをしてもさぞや楽しいことだろうと思う。

もちろん、この絵本は日本語でも遊べる。絵を見ながら単語を言ったり、探したり。お話を作ったり。まとまりそうでまとまらない不思議なお話ができそうだ。(直)

詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/456
2020年05月12日

急に暑くなった。もう少し穏やかに季節が進んでほしいな。気温が上がりバラたちも急かされるように開花を競っている。花に関してはちょっと待って!の魔法が使いたい。

プリーシヴィン作「黄金の牧草地」はロシアの自然についての著述集。挿絵はラチョフ。でもこれは圧倒的に文字量が多い書籍なのである。ではあるが、民話絵本挿絵とは異なるラチョフの自然描写表現を見ることができる。

この本の中の動物たちは、森の植生描写と共に、白黒でありながら生き生きと描写され、豊かで深いロシアの森の自然のありようを克明に伝えてくれる。プリーシヴィンは言葉による自然表現の第一人者であるが、ラチョフもまた、幼い時に暮らした自然の風景を心に宿し続けその表現を作品に反映させてきた画家である。

挿絵の中で動物たちは確かに今生きていて呼吸をしているかのような存在感を示す。またリアルを超えた気配のようなものも伝わってくる。生まれたばかりの子鹿を守るように立つ母鹿の眼差しの神々しさに、はっと息を飲む。

静かに森の音に耳傾けるよう向き合いたいような一冊。(直)

詳細と画像 https://karandashi.ocnk.net/product/455
2020年05月11日

朝、外に出たら立て掛けてあったはずの庭箒が落ちていて箒の先の毛が散乱しいるので何事?って思ったのだけど…次に物音がした時に覗いたら、カラスが毛を毟っていた。営巣シーズン到来らしい。同じような箒ももう一本一緒に置いてあるのだけどそちらの毛は硬い。明らかにに素材を選んでいる。賢い。

背景にクラッシックな柄の布を配して詩の世界を表現している絵本「 言いつけを守るうさぎ」( ラグズドゥイニ詩/ライフシテイン絵)。各ページには詩の言葉と布の柄の特色を活かした挿絵が描かれている。細かい花柄に動物たちが潜んでいたり、青い色の布に雨を降らせたり。画家の想像力に感服だ。

この絵本はどうやって作られたのだろう。背景は布、と言ってしまったが、果たしてこれは実際の布を使って作られたのかについては気になるところだ。今時コンピュータで何だってできてしまうからだ。布っぽい背景を作ることも可能だ。しかしこの絵本の初出は1988年。多分実際の布の画像に挿絵をつけていったのだろう。と思っている。

布選び、色遊び。
かつて母や義母がキルトなどに凝っていて、傍らでたくさんの布を見たり触ったりしていた頃を思い出す。好きな柄の布はいつまで見てても見飽きないものだ。テキスタイルデザインの奥深さは果てしない。

この絵本では、詩の世界を表現するため布選びがされていており、その取り合わせの妙に感心したり、布の柄を最大限に活かした挿絵の控えめだけど大変繊細な絵柄や遊び心に共感したり、しばらくの時、そして何度でも心遊ばせたくなる。布が持つ柔らかさや温かさも味わいながら。(直)
詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/454
2020年05月09日

オンラインオープンルームありがとうございました。

と、いうわけで、ひっさしぶりにしまっていた絵本をオープンルーム仕様に並べた。おお、こんな感じ、こんな感じと嬉しかった。部屋がぱっと明るくなった。こうでなくっちゃである。

オープンルームにいらしたことのない方には、カメラを持ってぐるっと回り部屋の様子を見ていただいたのだけどこの辺りは練習が必要だったと反省。

手探りではあったけれどオンラインオープンルーム第1回目、何とか無事終えることができた。とにかく訪ねてきてくださり感謝!である。絵本の紹介も丁寧にできるし、じっくりとお話もできるし、これはこれでよい方法だと思う。それこそ、遠くに住んでいる方にも訪ねてきていただけるのは良い事だ。

ということで、来週以降も開催決定!皆さん、是非遊びにいらしてください。来週も2時から5時まで。ご予約お待ちしてます!(直)
2020年05月08日

♪明日は午後2時〜5時。オンラインオープンルーム開催。予約制。お申込みはhttps://karandashi.ocnk.net/contact


♪そういえば、海をここ最近見ていない。現状仕方ないことだけど見たいなあと思う。今度いつ見ることができるだろう。楽しみにしておこう。

「海の男たちと灯台について」(ドルゴレンスキー作/ヤシンスキー画)は灯台がなぜできたのか?ということころから始まる灯台物語。灯台の歴史を踏まえ、建物としての灯台の話では、ある灯台の断面図があるのだがちょっと実際に行ってみたい衝動にかられる。悲劇や功績も紹介され、最後のページでは、無人の灯台について語られている。

夜空の星が海に映り水平線を船が進む見開きの絵が素敵だ。ヤシンスキーの挿絵は、すっきりとした印象ながら手描きの柔らかさと丁寧な表現で海や灯台を描いて、過去のことや遠い国の話も身近に感じられる。色数を絞っている効果も出ていると思う。また海の男たちが魅力的だ。灯台の物語はまた人の物語なのだ。

ページをめくりながら、潮風や波の音を思い出し、遠い水平線へ心を馳せる。さあ、ついでに灯台の階段をぐるぐる登っててっぺんまで登ってみようか…いや、ここで息切れをして座りこんでいる自分しか想像できないのは何とも情けないなあ。(直)
2020年05月07日

連休中は地震もあり、最終日は雷が鳴って荒れ模様だったけど、今日はすっきり気持ちのよい五月晴れ。風は少しだけ強目だけど。

さて、3月、4月と引きこもってウェブショップの仕事を中心に日々過ごしてきた。その日々の中、ご注文の際などに東京の状況を気にかけてくださったり、あるいは近況を伝えてくださったり、励まし合ったり…またお便りをいただいたり、会うことは叶わない中での温かい言葉の交流というものがあり、本当にしみじみとありがたいことだった。

今後のことを少し。ウェブショップは今まで通り。そして土曜日のオープンルームについて色々あれこれ考えて、今週からオンラインでの開催を始めることにした。14時〜17時の間、ご予約をいただいた方に個別にオンラインで対応させていただこうという方法だ。新しい絵本のご紹介をさせていただいたり、ご要望やご質問を伺ったり、何かロシア絵本についてのお話をさせていただいたり、などなど。実際のオープンルームの時のようにフランクにロシア絵本界隈の時間をご一緒にできたら幸いだ。

オンラインの方法はSkype、Googlehangout Googlemeet(6/13より)など。ご都合のよいものを選んでいただければと思う。

ご予約はカランダーシサイトの一番上のところに「お問い合わせ」という文字があるのでそちらから入っていただいて(下記からでも)フォームにお名前ご希望時間、オンラインの方法などご記入の上送信していただければ、こちらからお返事を差し上げ、ご予約完了という運びだ。

実際のオープンルームが出来ない中での苦肉の策ではあるのだが、これならば遠方の方でも来ていただける。よかったら遊びにいらしてください。お待ちしています!(直)

お問い合わせ(ご予約申込み) https://karandashi.ocnk.net/contact
2020年05月01日

5月が始まった。今日あたりは初夏を感じるような陽射しだし、気温もぐっと上がってきた。中々先の見えない状況は変わらないけれどまた今月も頑張っていきたい。
ゴールデンウィークのお休みはカレンダー通り。ご注文は自動受付しているのでよろしくお願いします。

カランダーシ刊「セリョージャとあそぼう!」は灰色オオカミのセリョージャと一緒に1日楽しく過ごす絵本だ。歌ったり、遊んだり、パンケーキのオラードゥシキや布人形のマタンカちゃんも絵本を見ながら作ったり、そしていくつかの詩を読んだり、是非セリョージャと素敵な時間を過ごしてほしい。彼はいつでも絵本の中で待っている。

さて、カランダーシのマタンカちゃんだが今日はちょっとゆるくなっていたウエストの糸を巻き直して、ついでに思いたってマスクも作ってみたのだけど本人が気に入っているかどうかはわからない。取り急ぎ、とりあえずなので許してもらおう。(直)
2020年04月30日

4月も今日で終わりだ。色々な思いを抱え過ごしたひと月ではあったが、季節がきちんと前に進んで色々な表情を見せてくれることに励まされる日々でもあった。今朝アゲハ蝶を見かけた。

森の動物たちのささやかだけどかけがいのない日常や友情を描き心に静かな余韻を残すセルゲイ・コズロフのお話。そのしみじみとしたファンタジーの世界に色々な画家が挿絵をつけているが、その中の1つだ。この絵本には5つのお話が入っている。

今回ご紹介するのはナターリヤ・マカリェンコの絵本。動物たちの表情がはっきりとしていて楽しそうだし、夜の場面も明るさを抑えながらも暗くなりすぎないよう豊かな色の世界を見せてくれてとても魅力的だ。

滲みを生かしたその独特の美しい色の響き合いが素晴らしく見入ってしまう。幻想的だけれども森のリアリティも伝わり素晴らしい。その中に登場する動物たちは親しみやすい。ポップなニュアンスも醸し輪郭もはっきりとアクティブにお話の世界を体現していて、そのバランスこそがこの絵本の見せ所なのかもしれないと感じている。

お馴染みの「霧の中のハリネズミ」のお話もある。ヤールブソワの絵本と見比べも楽しいかもしれない。コズロフのお話は「ハリネズミくんと森のともだち」(岩波書店)という邦訳児童書で読むことができる。(直)

詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/452





2020年04月28日

早朝、何の鳥だろう?いく種類かの鳥がひととき一斉にしきりに鳴いていた。聞きなれない鳴き声も混じっていたような気もして、耳を澄ましていたのだが、あとはシーンとしてしまった。聞き耳頭巾が欲しいところだ。結構重要な情報を聞けるのではないか。

20世紀初頭のロシアの芸術シーンに登場する「芸術世界派」のことはとても重要であるし興味深く思っている。今回、その中心人物であるディアギレフと彼がい創設した「バレエ・リュス」の天才バレエダンサー、ニジンスキーをテーマとした山岸涼子さんの漫画「牧神の午後」(メディア・ファクトリー)があることを知り読んでみた。

最初のパリ公演の緊張の幕開け。演目は「アルミーダの館」。ニジンスキーの伝説の跳躍、大歓声に続く驚異の踊り、息を飲む聴衆、からの怒涛の拍手…ここから始まる「バレエ・リュス」の華々しい成功。この漫画はニジンスキーとディアギレフ両者の類稀なる功績とその関係性のデリケートな経緯を中心に細かいエピソードと共にまとめられている。

ニジンスキーと母親との(切ない)何気ないやりとりなども描かれていたり、ニジンスキーの人間像を丁寧に伝えてくれる内容で、それだけにやはり何てこった、の思いが強くなる。

ニジンスキーの代表作である「牧神の午後」の美術、衣装はレオン・バクストによるものだ。漫画の冒頭にバクストも登場する。ちょっとお調子者ふうに描かれている。そうだったのだろうか。ストラビンスキーもちょっと出てくる。もちろんこの時期、他にも数多の芸術家や取り巻きがこの2人の周りに存在していたはずだが、ニジンスキーは彼らとはまた別の次元で生きており登場人物は限られている。

「作品集・パリのレオン・バクスト」の表紙は「牧神の午後」のデザイン。中には当時の写真も収められている。(直)

詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/418
2020年04月27日

ジャスミンの花が盛りを迎えて、入道雲のようにもくもく沸き立っているような形で咲いている。力強い生命力にあやかりたい。

マヤコフスキーの詩によるアヴァンギャルド絵本を2冊ご紹介。「いいことってどんなこと?わるいことってどんなこと?」と「動物がたくさん!ゾウからライオンまで」だ。

「いいこと…」は文字通りしてよいこと、悪いことを教える絵本。未来を担うこどもたちへのマヤコフスーからのメッセージだ。短い言葉とシンプルでとてもわかりやすいニコライ・デニソフスキーの絵が一体となってはっきりとよいこと、わるいことを教える。

「動物…」は次から次へと動物たちが登場する楽しい絵本。ロシアには元々いないライオンやカンガルー、ペリカンやラクダなどを珍しい憧れの動物たちをユーモアを交えてマヤコフスーが紹介。キリル・ズダニヴィッチは動物のありようを的確にとらえそのフォルムを担保しつつ軽妙にして洒脱に表現して見事だ。

ロシア革命を「私の革命」と呼びアヴァンギャルドの旗手として大いなる足跡を残しながらその革命の行末に絶望を持たざるをえなくなり(といわれている)37歳でピストル自殺をしたマヤコフスキー。

マヤコフスーは未来そして希望を託すべきは子どもたちだとの思いから詩を書き、絵本を作った。その志をこれらの絵本からくみ取りたい。

ロシアがアヴァンギャルド絵本を当時のままで復刻し出版しているシリーズより。(直)

画像、詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/450
https://karandashi.ocnk.net/product/451
2020年04月25日

今朝外階段の周りのバフ・ビューティというバラがひとつ咲いていた。小ぶりの花だけどアプリコット系の色が優しい。今年も咲いてくれてありがとうと思う。

ラチョフ画の「てぶくろ」。福音館書店の邦訳版が超ロングセラーを続けている絵本でご存知の方も多いと思う。露語版はラチョフの描く色々な表現を見てきたがこれはかなり邦訳版と近い。

でも大きな違いがある。最後のページだ。邦訳版の絵には登場しない犬が描かれているのだ。邦訳版では、テキストで「わん、わん」と犬が吠えていることは書かれているが、そのページに犬は描かれていない。もぬけの殻になった手袋だけが描かれている。

絵の犬は手袋を見つけてちょっと嬉しそうに見える。飼い主であるおじいさんにきっと褒めてもらえるはずだ。

それから、邦訳版では犬について「こいぬ」と表記されているが、露語版ではロシア語の表記は「собака =犬」で子犬(あるいは小さな犬?)という特定の表現を使っていないことに気づく。また絵の表現でも大きめの柴犬くらいの大きさの成犬だと思われる犬が描かれている。

ということで、英語版も持っているので見てみたら、こちらはリトル・ドッグとなっている。うーん。よくわからない。とにかく犬であることは間違いない。(直)
画像 詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/449
2020年04月24日

アレクセイ・トルストイ作「キツネとつる」はとにかく色使いが明るくてきれい。表紙のピンクに元気をもらおう。きつね嬢のドレスやパラソルもとても素敵。つるだって相当おしゃれだ。絵はローシン。

お話は、キツネがつるを招待するが、平たいお皿でもてなしてつるは食べられないので結局キツネが全部食べてしまう。今度はつるがキツネを招待するが細い首の水差しでもてなしたためキツネは食べられないのでつるが全部食べてしまう…という内容。

キツネが出したお料理はロシアのお粥的な料理であるカーシャで、しかもお皿に塗りつけている。これではつるは食べられない。一方キツネが出した料理はオクローシカといって、お肉(あるいは魚やハムなど)と野菜(きゅうりや茹でたジャガイモやニンジン…)を細かく切り、ハーブを加え、ロシアでよく飲まれているクヴァスという微炭酸飲料を注いで作る冷たいスープだ。何せよ、細い首の水差しからはキツネは食べることはできない。

私はオクローシカを食べたことはない。でも、何となくつるが好みそうかもしれないとは思っている。いつか食べてみたい。
できればロシアで。
できれば普通のスープの器で!(直)

詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/448
2020年04月23日

このような状況になり、夫が在宅勤務となったのだが、それに合わせてこちらも1日の時間の使い方を変えざるをえなくなった。起床時間も変えて、だいぶ慣れてきたかなぁ、というところだ。

その名も「時計」(スースロフ作/ブレイツ画)という絵本をご紹介。くま、うさぎ、ねこ、りす、などの動物たちが、1日をどう過ごしているのか時計の時間にそくして追ってゆくという内容だ。

朝は7時半に起きて、まず体操をしている。健康的だ。それから洗面をして朝食…。ページ毎に異なる時計が登場して時間を教えてくれる。何だか堅苦しい絵本?いえいえ動物たちが規則正しく生活している様子がとても微笑ましくて、1日一緒に過ごしてみたくなるほどだ。置き時計や壁掛け時計、柱時計などちょっと懐かしいような時計が出てくるのを見るのも楽しい。

何だか色々あるけれど、大切な時間。大切な1日。少しでもそう思って日々過ごしてゆけたらいいな、と思う。時計の針は戻せないし、進めることはできないから。(直)

画像・詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/446
2020年04月22日

カランダーシでお取り扱いさせていただくことになった『アニメの詩人ノルシュテイン』(東洋書店新社)。帯に「ロシアアニメーションの巨匠のノルシュテイン。その人生と作品を、もっとも信頼される通訳者が描く。作品について、芸術について、世界について」とある。

これはノルシュテインと長きに渡り深い交流を続けられてきた通訳者であり、翻訳者であり、エッセイストである児島宏子さんの最新著書である。

冒頭のノルシュテインから児島さんへの愛のあるメッセージを始めとしてその交流が現在進行形であるという、そのリアルタイム感がまずは本書の大きな魅力だと思う。

おふたりが1993年に最初出会われた時のことを読むとその時から心通い合う様子がよくわかる。以来その交流は約30年にわたる。普段お互いは遠く離れて暮らしているけれど、尊敬し、理解し、本質的なところで繋がっている…ノルシュテインは児島さんのことを「友人」という言葉で記している。

そういう交流があるからこそこそ伝わってくる人間ノルシュテインの素顔、というものを知ることができるのは貴重であるのはもちろんだが、何といっても児島さんによるノルシュテイン諸作品の丁寧な解説が大変ありがたい。今後はカランダーシの部屋でいつも見ていた映像をぐっと興味深く見ることができるはずだ。気になる「外套」制作についても記述がある。また児島さんの思いも。

先ほど、この交流は現在進行形であると書いたが、本書の最後はまさに今年にについて希望ある文章で締めくくられている…。児島さんはその文章を書いている時にはまさか世界中が濃い霧の中に沈んでしまうような出来事が待ち受けているとは思ってなかっただろう。誰もがそうであるように。

でも、きっと霧の中のハリネズミがこぐまに会えたように、何があってもまたおふたりは再会を果たし、喜び合い、そして静かに深く語り合われるのだろう。
どうか、その日が早く訪れますようにと願うばかりである。(直)
https://karandashi.ocnk.net/product/445

画像は庭のシラーとビオラたち。
2020年04月21日

今日はオンラインでクニーシカの会を開催した。先月はやむなくお休みをしたのだが、再開の目処が立つのがいつになるのかわからない。だったら…ということで踏み切ることにした。この提案にコズリナ先生も賛同してくださり、とにかくやってみましょう!ということになったのだ。

どんな方法にするか、利便性やセキュリティなどを調べてまず家族間でテストしたりする中、ロシア語会話の先生ともSkypeでのレッスンが始まり、オンラインで何とかやっていけそうだとの感触も得られてきた。参加者の皆さんへも連絡。それぞれ、ご事情もあり、参加が叶わない方々もいらっしゃるが、オンラインという方向性にはご理解をいただき、とにかく始めてみることにした。

ということで今日、とにかく離れ離れの場所にいながらも1つのテキストを読み合い、分かち合うことができたのは大変ありがたいことであったし、嬉しいことであった。オンラインに心から感謝である。

クニーシカの会。小さな歩みだけど大切な歩みだ。またここから一歩ずつだ。

画像はベランダのジャスミン。オンラインは便利だけど香りを届けることはできないのは残念だ。(直)
2020年04月20日

ロシアの郊外の家、ダーチャ。もともとは11世紀頃にピョートル1世がペテルブルクを作る際に家臣たちに与えた土地のことで、ダーチ(дать=与える)が語源とのこと。帝政時代は貴族、そして19世紀あたりになると中流階級の人々が求めるものとなるが、ソ連成立時に一旦没収され、後に労働者たちに広く与えられた。

現代でも週末には都市部から車を駆って郊外のダーチャに行き、菜園作りに勤しんだり、森でベリーやきのこをとったりする生活を送る人は多い。

自然豊かなダーチャの周りにいる様々な生き物たちを紹介している「生き物図鑑絵本・ダーチャには誰が住んでいるの?」数年前ハードカバー版をご紹介したが、今回好評のためソフトカバー版で再登場。前のページに隠れている次の生き物を当てたり、最後のページの身体の一部の一覧その動物が何かを当てたり、工夫を凝らした内容となっている。

今、モスクワなども大変な状況だ。街を閉鎖する前にダーチャへ疎開した人もいるようだが、今は無理と聞いている。仕方ないことなのだが、ライフスタイルにダーチャが組み込まれている人たちにとってそれも相当なストレスだろうと想像している。

郊外のダーチャの周りに暮らす生き物たちもいつもの春と違う変化を感じているのではないだろうか。(直)

詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/126
2020年04月18日

今日は朝からかなりひどい雨で、お昼過ぎには大雨洪水警報が出て、サイレンが鳴ったりもしたが、夕方になる前には何事もなかったかのように青空になる。新緑に雨粒がきらきら。

「ロシア民族美術全集」はロシア伝統の民族的な絵柄、模様を工芸品と共に多数紹介、とても充実している。歴史や背景、そして描き方まで掲載されており大変参考になる。

普段ロシアっぽい柄、あるいはロシアっぽい色使いなどと漠然と持っていたイメージのルーツをここで見つけることができるのではないか。

絵柄のテーマは植物、花、実、そして鳥や馬、や人々の暮らしなど。色としてはやはり赤色がポイントとなる。また工芸品の材としての木の使い方の巧みさにも注目したい。

これらは昔から生活を彩り、飾られ、愛されてきたゆるぎない民族の宝物であり誇りでもある。ロシア文化を知り深く触れることのできる貴重な一冊。(直)
詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/443
2020年04月17日

ビリービンの絵本の森の様子を見ていると、昔よく登っていた近所の山のことを思い出す。途中ひらけているけれど木が生い茂り、昼なお暗きゾーンを通るのだが、通り道から少し離れたところにある一軒の木造の民家?が気になっていたのを覚えている。人が住んでいるのだろうか?こんな陽の射さない森の中に?と思うのと同時に何とはなしの怖さも感じていつも足早に通り過ぎていたように思う。

ビリービンの挿絵で森の様子やバーバヤガーの家などを見ているとそんな遠い記憶が蘇ってきたりする。森の描写がリアルで怖さがある。無残な倒木、ひょろひょろと曲がって先行きが心配な細い若木。小さいのに枯れて葉を落としている幼木。地面に散らばり踏みつけられている枝。歩くとバキバキ音がするような。羊歯やきのこからは湿気も感じる。

ビリービンの民話絵本の挿絵では、自然、森の描写がとても見応えがある。森に注目すると、それはもはやいわゆる背景ではなく、登場人物と対等の存在感で迫ってくるような挿絵もある。

森のリアルな描写は物語の挿絵としておおいなる説得力を持っていると思う。枯れたり折れたり、生まれたりの木々の生々しい生命の現場を描くことで、物語の凄みが深まる。

数年前、ロシアの森できのこ狩りをした時、方向も何も分からず森に飲み込まれたように思った。リーダーがいなければ確実に遭難だと確信していた。きのこ狩りは、楽しいけれど森に圧倒される怖さや不安や緊張感もあった。

そんな中、いきなりどこからともなく1人のおじさんがずんずんと現れ通り過ぎていった時には心底驚いたの何の…。

そして、今。
暗い森の中に迷い込んでいるような日々でもあるなぁと思う。この物語はどんな風に紡がれてゆくのだろう。(直)
詳細 https://karandashi.ocnk.net/product/442

ビリービンについて
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/05/blog-post.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_14.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/06/blog-post_13.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2014/08/blog-post.html
2020年04月16日

表紙の明るくて、きれいな色使いが心弾ませてくれる「モザイカー詩を集めたよ」は詩人エカテリーナ・セローバの詩にボリス・カラウーシンがとびきりの楽しい挿絵を寄せている。モザイカとは、いわゆるモザイクや寄木模様など、パーツを寄せ集め組み合わせて作り上げられている様子あるいはそのような様子を表現している言葉だ。

カラウーシンは1929年サンクトペテルブルク生まれ。芸術に理解のある家庭に生まれ、6歳のころからスケッチを始め、少年時代より自分の作品を纒めており、また文章も著している。戦後芸術アカデミーで学び、それからは主に子どもたちのための活動を中心に活躍。ずっとロシア・アヴァンギャルド表現を支持しており、それは自身の表現からも伝わってくる。作品は国立ロシア美術館やトレチャコフ美術館になどにも収蔵されている。1999年に亡くなっている。

新しさと素朴さと。攻めているけど、独りよがりではない。ユーモアが効いていて、終始一貫、読者=子どもたちに喜んでほしい、というスタンスが感じられるのだ。大人の私だって思わずニコニコしてしまう。でも決して媚びてはいない。

表紙見てるだけで何だか元気になる。
いいな、カラウーシン。(直)


2020年04月15日

ジャスミンが香っている。薔薇も小さな蕾をつけている。季節は前に進んでいる。

ラチョフ画「クルィロフの寓話集」。ラチョフの筆は動物の姿に人間性を見事に投影させて迫力もある。姿、形の表現も素晴らしいのだが、目の表現にひきこまれる。やはり心根は目つきに現れるものなのだろう。

作家のクルィロフは1769年モスクワにて貧しい陸軍少尉の息子として生まれ、プガチェフ暴動による街の包囲により飢饉を経験。その際の空腹感は生涯に影響を与えたとされている。また幼い頃に父親を亡くし、家計は逼迫し体系的に教育を受けることはできず、仕事をしながら独学により文学に親しみ、あらゆる知識を身につけ、フランス語、イタリア語など習得し、また音楽にも精通するようになり、その才能はやがて文学活動を通し発揮されるようになったとある。

このような来歴からクルィロフが寓話、風刺という分野の作家として活躍したことや、肥満で大変な大食いであったことの背景の一端を推察することもできるかもしれないだろうが、天才にして大変な努力家であったことは間違いない。

動物などに、権力者に対する鬱憤や人間社会の不条理や滑稽さ、虚しさを託して文学として表現したクルィロフ。このSNSの時代に生きていたらどんな発信をしているだろう。(直)

詳細
https://karandashi.ocnk.net/product/378





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