ダイアリー

6/2 世界

2020年06月02日

世界を自由に旅できるのはまだまだ先の話になりそうだが、ネットやテレビで遠い国のあれこれを見て楽しんだりできるから(実際に行くのにはかなわないけれど)ありがたいことだ。

マヤコフスキーの詩に アリヤクリンスキーがダイナミックな挿絵をつけた「いざ、パリそして中国へ」は、当時の子どもたちに広い世界を見せる絵本。マヤコフスキーの詩は、赤の広場から始まり、パリ、アメリカのニューヨーク、日本、中国と進み、そしてモスクワに戻る。

旅の絵本ではあるがもちろんガイド本ではない。詩人が書いた詩の絵本であり、日本のイメージなど独特感はあるのだけど、世界の国々を知り、視野を広げてほしいという熱量が伝わってくる。

そして最後に地球は少年の手に持つボールのように丸いという言葉で締めくくられているが、それこそがテーマなのだろう。

アリヤクリンスキーの挿絵はまず表紙に注目だ。エッフェル塔と蛇行するセーヌ川の上空をあたかもたった今飛んでいるかのような気持ちにさせるデザイン。飛行機の旋回の軌跡のように文字を円形に配した素敵な浮遊感!だ。

パリの様子も華やかだが、圧巻は見開きのアメリカ国旗をはためかせた大型旅客船のページだろう。メインの挿絵を、わざわざ小さめの枠内で切り取り、飛行機や煙をはみ出させることで船の大きさや迫力を際立たせている。摩天楼との対比も面白い。 大きな汽笛の音、喧騒が聞こえてきそうだ。

この絵本は1929年刊。マヤコフスキーはこの翌年に自死(他殺説もあり)している。子どもたちへ新しい未来を語り、アヴァンギャルド運動を引っ張ってきた革命詩人は一体何を思っていたのだろうか。(直)

詳細・画像 https://karandashi.ocnk.net/product/467


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