ダイアリー

6/10 王女

2020年06月10日

ロシアの昔話「蛙の王女」。王様が3人の息子たちにそれぞれ矢を放った先のお屋敷の娘と結婚しろと命じる。2人の兄の矢はそれぞれ貴族、商人の家に飛んでゆくのだが、末っ子イワン王子の矢は、沼に落ち蛙がその矢をくわえており、父親から運命だと言い含められ結婚することになる。がっかりイワン。でもその蛙は夜になると蛙の皮を脱いで賢女ワシリーサとなるのだった。

ワシリーサは実の父親よりも賢くあまりにもできすぎるので腹を立てたその父親から3年間蛙の姿でいるよう命じられていたのだ(アファナーシェフ編ロシア民話集岩波書店感より)ある日、イワンがワシリーサが脱いだ蛙の皮を焼いてしまうのだが、ワシリーサは今度は白い鳥に姿を変え飛んでいってしまう。そこからイワンのワシリーサ奪還の旅が始まる。

ロシアでは蛙の話といえば、王子ではなく王女だ。皆知っている昔話。摩訶不思議で神秘的で冒険ありで滑稽なところもあり、本当に面白いお話だと思う。展開も小気味よく想像力を掻き立てられる。

マーヴリナ画のこの絵本は何といっても表紙が魅力的だと思う。蛙が暮らす湿地帯の野原の描写が細かく見飽きない。草陰のネズミや、蝶、蜂やてんとう虫もいを探すのは楽しい。仲間の蛙たちだっている。

マーヴリナは、物語の中には出てこないワシリーサが蛙として暮らした環境をここで丁寧に見せている。食物も豊富そうだ。天敵もいただろうけど、季節の花が咲き、優しい風も吹いただろう。蛙のボーイフレンドもいたのではないか。

マーヴリナはお話ではともすれば否定的にとらえられている蛙としての生涯というものをここで肯定してみせているのかもしれない。蛙として生きるのもいいよ、だ。だとすれば何だかそれはマーヴリナらしいと思ったりもする。
素敵な表紙だ。(直)

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