ダイアリー

7/15 ヴフテマス

2021年07月15日


今日も午前中に短時間の激しい雨。午後は気の重い外出があったのだけど降られなくてホッ。

マーヴリナの「タチヤーナ・マーヴリナ芸術についての研究」。表紙は1963年刊「お話の動物たち」という絵本の中に登場するオオカミ。これはマーヴリナ自身が文章も絵も手がけており、文字も手書きだ。動物の個性溢れるの表現と色彩の豊かさに圧倒される内容だ。

「タチヤーナ・マーヴリナ芸術についての研究」は、本文が始まる前、扉の前に自室らしい場所で立ったままで絵筆を握る本人のモノクロ写真を配している。下を向いた横顔からは作品に向き合う静かな情熱と強い意志が伝わってくる。とても姿勢がいい。

本編にはマーヴリナのポートレートも登場する。生涯を通じて、髪を後ろでまとめ、額をスッキリ出してきるものが多く理知的な印象があるが、その表情や眼差しには一貫して少女性というかある種の清らかさが感じられる。それはもちろん甘ったれた幼さということでは全然なく、むしろ少女時代の頑なさを持ち続けているような、という言葉の方がしっくりくるように思う。

マーヴリナは当時の最高峰ヴフテマス(ロシア国立高等芸術技術工房)で学ぶ。芸術家仲間たちとの写真での笑顔ではキラキラと瞳を輝かせているが、時代は自由な表現をすることが叶わない方へ進んでゆく…

その生涯と作品を多くの図版で詳細に紹介する豪華な一冊。民族、宗教や装飾をテーマとした芸術活動やロシアの古い都市を訪ねた創作活動、静物画や裸婦像画などの作品、また文筆活動についても紹介されており、そしてもちろんもちろん、ロシアで1人目の国際アンデルセン賞を受賞した児童文学関連の創作活動についても。(直)



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