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4/12 テレヘン

2025年04月12日

この辺りの桜もお終いになってきました。私の庭の東側は今例年通り勝手に増えたハナニラが一斉に咲いて春の野原の様相です。以前、友人がうさぎの庭みたいと言っていましたがまさにそんな雰囲気です。西側の庭では定着して増え始めているグランドカバーのカキドオシ(グレゴマ)が花が咲きだしました。こちらのスペースも野原感満載です。


少し前新宿御苑にお花見に行きました。花曇りもまた風情と桜から桜へゆっくりと歩きながら春を楽しむことができました。こちらの桜は都心で気温が高いせいなのか開花が早いように思います。染井吉野は散るばかりの中、次の主役の八重桜の蕾が膨らんでいました。


今週も新しくロシア絵本を紹介しています。『自分のためだけの手紙』は久しぶりのオレイニコフ挿絵の本です。著者はトーン・テレヘン。オランダの詩人であり児童文学者であり医師でもあり、母親がロシア生まれのロシア人です。


テレヘンは日本で『ハリネズミの願い』(長山さき訳/新潮社)が2017年本屋大賞の翻訳小説部門を受賞しています。せっかくなので読んでみました。

森に住むハリネズミがお友だちを家に招待しようか招待したらどうなるかなど具体的に様々な動物を想定してはあれこれ考えを巡らしながら自分自身とも向き合うお話です。短いお話が59章続きますが、これはテレヘンが自分の子どもに語ってきかせていたお話をまとめたものだそうです。

考え過ぎるゆえに行動に踏み出せない、自分に自信を持てないゆえに殻に閉じこもってしまうなどのハリネズミの特徴に多くの人々が共感したいうのはよくわかりますし、哲学的ともいえる問いかけが散りばめられていて味わい深いお話でした。

個人的には、この短いお話が子どもへのお話をまとめたというエピソードについて関心を持ちました。私はきっとそれはロシア人である母親がきっとテレヘンにしてあげていた習慣であっただろうと想像したのです。もちろん世界中どこででもどんな家庭でもそういう習慣はあると思いますが、ロシアはその率が結構高いと思っています。お話を通した親子の時間についてはよく聞いています。クニーシカの会で前回読んでいたテキストの成り立ちも子どもに作ったお話をまとめたものでした。


さて『自分のためだけの手紙』は手紙をめぐっての森の動物たちのお話です。やはり短いお話がたくさん連なって編まれています。たくさんのエピソードを通してお互いに手紙を書くことがどんなに大切か、その内容が誠実であることがどんなに重要であることか気づき、他の誰でもないあなた自身、私自身のためだけに書かれた手紙の尊さを伝えてくれるはずです。


オレイニコフの挿絵は大人の童話とカテゴライズされる本書を全く甘く飾り立てずに幻想的でシリアスな挿絵で纏めています。ああ、 とてもロシアらしいなと思います。







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