ダイアリー

9/1 父のシャガール

2018年09月01日

実家の書棚の「シャガールの聖書」(岩波書店)。1985年初版本だ。大きく重いこの本の見返しには父の蔵書印が押してあり、ナンバリングが振ってある。父は仕事がらもあるのだが、相当な読書家で蔵書の数もかなりあり、過去形だが、家の外に本専用の物置小屋を3つ設置していたほどだ。このシャガールはリビングの書棚にもう随分長い間静かにただずんでいる。
冒頭、シャガールは「私は、聖書の虜になってきた。私はつねに、聖書が古今を通じ詩想の最大の源泉であると思われてきた。爾来、私は、人生と芸術の中にその反映を捜してきた。…その神秘を私は伝えようとしたのだ」と述べている。詩想という言葉について父の見解を聞いてみたいし、ロシアで活動していた時のシャガールのことなど話をしたいなと思う。だけど、父はもう本を読まない。読めない。
当時、きっと初版本を待ちわびて、手元に届いた時には、はやる気持ちで重厚な箱を開けてこの表紙にたどりついたのだろうと思う。
そんな父の蔵書印は手作りで、蔵書にかけて象がデザインされている。こういうところがいかにも父らしい。(直)


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