太ってない裸の王様像に注目です。
・ハードカバー・オールカラー・40ページ ・
アンデルセン原作。ブロンズ色で全体のトーンを抑え華やかなオレンジやブルーで物語のポイントを印象づける、さすがロマーエフさんです。王様はでっぷりしているというイメージを覆し、スリムなおじさん像を置くことで、どこか呑気さや絵空事としてとらえられているお話の雰囲気をリアルな方向へ持っていっているのかもしれません。絵ならではの手法で口から出る嘘や美辞麗句も。バカには見えない生地を素敵に演出。そして終盤、正直な少年の笑う顔面が登場します。指さしているのは王様ですが、顔はこちらを向いています。笑われているのはほかならぬ私たち、なのかもしれません。見返しの衣装の意匠を眺めていても楽しいです。