コズロフの世界を美しい色彩で
245×248 ハードカバー オールカラー 48ページ
【ダイアリーより】
森の動物たちのささやかだけどかけがいのない日常や友情を描き心に静かな余韻を残すセルゲイ・コズロフのお話。そのしみじみとしたファンタジーの世界に色々な画家が挿絵をつけているが、その中の1つだ。この絵本には5つのお話が入っている。
今回ご紹介するのはナターリヤ・マカリェンコの絵本。動物たちの表情がはっきりとしていて楽しそうだし、夜の場面も明るさを抑えながらも暗くなりすぎないよう豊かな色の世界を見せてくれてとても魅力的だ。
滲みを生かしたその独特の美しい色の響き合いが素晴らしく見入ってしまう。幻想的だけれども森のリアリティも伝わり素晴らしい。その中に登場する動物たちは親しみやすい。ポップなニュアンスも醸し輪郭もはっきりとアクティブにお話の世界を体現していて、そのバランスこそがこの絵本の見せ所なのかもしれないと感じている。
お馴染みの「霧の中のハリネズミ」のお話もある。ヤールブソワの絵本と見比べも楽しいかもしれない。コズロフのお話は「ハリネズミくんと森のともだち」(岩波書店)という邦訳児童書で読むことができる。(直)