マーヴリナの生涯と作品についてまとめられている
ハードカバー 249✖️179 オールカラー 352ページ
【ダイアリーより】
「タチヤーナ・マーヴリナ 芸術についての研究」はその生涯の活動についての丁寧な記録集である。もちろん民話の挿絵も収録されているが、風景画、宗教画、花を描いた静物画、そして結構な数の裸婦像などを鑑賞することができる。
今まで見たことのない絵画が多いし、またマーヴリナ自身のポートレートも随所に登場するので、その人となりを感じることもできて大変興味深い内容だ。
マーヴリナといえば1976年に国際アンデルセン賞を受賞しているが、国内でも名誉ある賞をいくつも受賞している。しかし、時代の波に揉まれながらの芸術家としての生涯が決して平坦なわけはない。実際、若い頃は前衛表現活動に身を投じながら、すぐに表現の自由を奪われる時代に突入するのだ。
本を見ながらとにかく強く感じるのは溢れ出る表現への欲求だ。だからこそ、その奥にあった葛藤や模索にも思いを馳せたい。
マーヴリナは古い都市を何度も旅し、ロシアの民衆芸術に情熱を注いだ。また民話の挿絵を描くことが芸術家としてのひとつのテーマとなるのだが、ロシアの古い世界を表現することにこそ想像力と創造力が羽ばたかせられるフィールドがあったのだなぁと、その生き生きとした民話挿絵表現を見ながら思ったわけである。(直)