ロシア絵本のルーツを辿ると行き当たる民衆版画
ハードカバー オールカラー 96ページ 246✖️226
【ダイアリーより】
『ロシア民衆版画ルボーク・18世紀〜20世紀』はサンクトペテルブルクのロシア美術館収蔵のルボークを紹介、解説したとても貴重な一冊です。
ルボークとは、木版や後に銅版や石版により昔話、歴史、宗教、戦闘、生活などをテーマにした絵が紙に刷られたもののことで、主に農民の家のイコンの脇などに貼られていました。誕生は17世紀半頃と言われています。
内容も多岐にわたり素朴で世俗的でパッと見ただけで内容が伝わるこの版画は広く民衆に浸透し大変親しまれていました。ポスターの原型ともいわれるそのデザインやスタイル、また線描による独特な表現は後々のロシア美術やまた革命時のプロパガンダポスターなどに大きな影響を与えました。
そう、そしてロシア絵本の革命、1920ー30年代のアヴァンギャルド絵本といわれるものにもルボークは影響を与えています。絵と文字が同じページに配されわかりやすく伝わりやすくデザインされるレーベジェフの『サーカス』など、ルボークのコンセプトが生かされています。
独特な陰影の線画表現はビリービンに継承されていますし、現代の絵本の中にも見ることができます。ロシア絵本のルーツを辿ればこのルボークに行き当たるといえると思います。
個人的にこのルボークを見るのはとても面白いと思っています。でも個人で所有しているルボーク集はアメリカの物です。これからとんどんルボークを紹介した本が出てきたらいいなと楽しみにしています(直)