ハードカバー 170✖️220 216ページ 白黒
【ダイアリーより】
サムイル・マルシャークがイギリスの有名な民謡やルイス・キャロルやキップリングなどの作家たちが創作した児童のための詩を翻訳したものを編んだ一冊です。マルシャークは新婚時代の1912年にロンドン大学に留学しておりイギリス中を歩き民謡を聴き、翻訳に取り組み始めました。
書籍のタイトルになった「ジャックの建てた家」はイギリスの児童民謡ですが、
ーほら、これはジャックが建てた家、
ーこれはジャックの建てた家の暗い納戸に保管されてる小麦…
と次々と言葉が積み重なってゆく積み重ね唄と言われるものです。
英国のオリジナル絵本としてはコルデコットの挿絵の絵本が有名かもしれません。
繰り返しのリズムと思いもよらぬストーリー展開をマルシャークによるロシア語の詩で楽しむのも愉快なことでしょう。
挿絵はイリヤ・カバコフ(2023年没)。ソ連時代後期からトータル・インスタレーションアーティストとして世界的に名を馳せたカバコフは、一方で長い間児童書や雑誌のイラストレーターとして仕事をしてきました。この詩集では、挿絵をコマ割にしたり背景の中に囲み枠を使って描き分けたりと1作1作描き方に工夫がありとても面白いですし、巧みな線画で描かれる世界観は軽妙でありながら味わい深く余韻が残ります。