ダイアリー

4/6 生涯

2020年04月06日

ロシアの絵本の歴史を大雑把であれど知った上で、ソビエト時代の画家の表現を見て色々思うことがある。もし、革命がなかったら、もし、違う体制だったら…この画家は一体どんな作品を残したのだろう、などということを始めとして。

「きつねさんが森を歩いたよ」はロシアの古くから伝わる生き物をテーマとした短いお楽しみ詩を集めたものにヴィタリー・スタツィンスキーが色彩画と線描画を寄せて纏められている絵本だ。

スタツィンスキーは1928年にカザフスタンに生まれた。父親は1938年にスパイ活動をしていたというかどでに捕らえられ射殺されている。41年、13歳のスタツィンスキーはドイツ軍からモスクワを守るため私的に武装したグループの一員となり捕えられ刑務所に入っている。出所後は絵を学び、子どもの雑誌で活躍するが、1970年代になると仕事をもらえなくなり、1976年にはフランスに移住して2011年に亡くなっている。

この絵本はフランスに行く直前に描かれたようで、移住後フランスで出版されている。色彩画の方は前衛的で芸術性に富み、大胆で、表現者としての意志が強く感じられる。線描画の方も、ユニークでかなり自由な描き方だ。そしてこちらは明らかにロシア民衆版画のルボークがベースにある。

面白いなあ!すごいなあ!とページをめくりながらこの魅力的な絵を残した画家の生涯についてやはり知ることは重要だと思う。
今後も注目していきたい。(直)





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