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5/12 黄金の草原

2020年05月12日

急に暑くなった。もう少し穏やかに季節が進んでほしいな。気温が上がりバラたちも急かされるように開花を競っている。花に関してはちょっと待って!の魔法が使いたい。

プリーシヴィン作「黄金の牧草地」はロシアの自然についての著述集。挿絵はラチョフ。でもこれは圧倒的に文字量が多い書籍なのである。ではあるが、民話絵本挿絵とは異なるラチョフの自然描写表現を見ることができる。

この本の中の動物たちは、森の植生描写と共に、白黒でありながら生き生きと描写され、豊かで深いロシアの森の自然のありようを克明に伝えてくれる。プリーシヴィンは言葉による自然表現の第一人者であるが、ラチョフもまた、幼い時に暮らした自然の風景を心に宿し続けその表現を作品に反映させてきた画家である。

挿絵の中で動物たちは確かに今生きていて呼吸をしているかのような存在感を示す。またリアルを超えた気配のようなものも伝わってくる。生まれたばかりの子鹿を守るように立つ母鹿の眼差しの神々しさに、はっと息を飲む。

静かに森の音に耳傾けるよう向き合いたいような一冊。(直)

詳細と画像 https://karandashi.ocnk.net/product/455


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