ダイアリー

6/24 願い

2020年06月24日

7つの望みが叶う魔法があったらどうするだろう。結構悩む。悩んで一生を終えそうな気がする。

「7色の花」(カターエフ作・ブラートフ&ヴァシリーエフ画)の中で、主人公のジェーニャは次々と魔法の花びらを使い望みを叶えてゆく。昔の森英恵デザインをちょっと蓬髪とさせるような黒地に蝶々柄の服を着たおばあさんに、何でも望みを叶えられるお花をもらったのだ。

彼女は世界平和のことなど考えない。身近な出来事から願いは生まれる。まず犬に食べられたバランキという輪っかの形の乾パンを取り戻したり割れた花瓶を元通りにすることから始まり、北極へ行き、こわい北極グマを檻に入れ、世界中のおもちゃを集め、それを戻し、最後に足が悪く歩けない少年ヴィーチャに出会う。そして…というお話だ。


ブラートフ&ヴァシリーエフの挿絵はこの不思議な力を持つ花を各ページにとても大きく配し、ちぎられてゆく花びらも印象的に描いている。少女が主人公だが、お花こそこのお話の主役であることを強調した描き方だ。花びらが減ってゆくことで時間の経過も伝わる。

そしておばあさんの服の柄と同じ蝶々が多数登場するのも幻想性を高める。おばあさんの姿はそこに見えないけれど、あたかもおばあさんがずっとそばにいるようだ。

ソ連時代、芸術家たちは思うような表現活動をすることは許されなかった。ヴラートフ&ヴァシリーエフも。絵本を作るのは食べるためのあくまでも仕事だった。彼らだったら魔法の花にどんな願いをしただろうと思う。(直)

詳細と画像 https://karandashi.ocnk.net/product/353


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