
オープンルームのために久しぶりにソ連時代の絵本を飾りました。実際に手に取って見ていただくと様々な発見があると思います。ほとんどが紙をホッチキスでとめただけの簡単な作りの絵本です。カランダーシの貴重な資料として大切にしてゆかなければとあらためて思います。

6月10日、早稲田大学で行われたナディア・コズリナさんの講演会「ソビエト・アンダーグラウンド・アート:誠実に創作すること:見えないと感じる時でも、精神を保ちながらアートに忠実でいること」(1960〜1980年代)」に行ってきました。
「鉄のカーテン」の向こうでどんな芸術活動が行われていたのか、アヴァンギャルドの衰退以降のアンダーグラウンドのムーヴメントを時代背景と共に具体的に網羅してゆくという非常に濃い内容の講演でした。
表現者、芸術家として生きるにはあまりにも不自由な時代の中で、それでも自らのテーマをどうにかして発表しようとしてきたアーティストたちの軌跡。ただ、暗くて辛いという印象よりも創作と発表の場を創意と工夫で作りだすアーティストたちのバイタリティに驚かされ感服しました。


カバコフやブラトフのような生活のために絵本の仕事をしていたアーティストの話もありました。本来描きたいものとは別に向き合っていた絵本の世界。結局はソ連終焉と共に見向きもされなくなるのは、個人的には絵本で出会ったアーティストたちなのでちょっと複雑な気もします。だからこそクオリティの高い絵本も作られたとも言えますが。
最後にコズリナさんはカバコフの言葉を引用して講演を終えました。「私は進んだり戻ったりしながら、また前へ進んでゆくのだと思う。閉じた後には必ず開かれる時代がやって来る」良き学びとなりました。


新しく絵本を紹介しています。カバコフの作品もあります。よろしくお願いします。