ダイアリー

11/27 おとうと

2018年11月27日

Nさんが訳してきてくださったもう1冊。「おとうと」アグニヤ・バルトー作、エリョーミノイ画。表紙には不機嫌そうな女の子の子が2人。そしてまだまだちいさな男の子が描かれている。これがそのおとうとだ。訳文を読むと女の子たちはお姉さん。絵本は弟が生まれたところから始まり、弟が初めてのくつを履くところで終わる。
「小鳥のさえずりが響き、庭にはリラの花が咲いている。アンドリューシャは春のすばらしいお天気の日に生まれた。お父さんは息子を誇りに思い、6歳のスベートは大きな声で『よく生まれてきたね!』と言った。」こんな風におとうとは家族の仲間入りをするのだ。
この絵本は赤ちゃんをむかえた家族の何気ない日常が、いくつもの短い章で語られている。何の事件も衝撃も冒険も思いがけない出来事も起こらない。本当にごくごく普通の日々のことが語られているだけの絵本。といえば物足りないだろうか。私はそこがいいなぁと思った。
そして最後まで文章を読み絵と照らし合わせると、表紙のお姉さんたちが決して不機嫌ではないことがわかる。それがごくふつうの表情なのだ。ロシアの人は不必要に微笑んだりしない、という言葉を思い出す。
きれいな日本語に訳されているので、読みやすく、絵と響き合って気持ちいい。Nさんの優しい眼差しも感じられる。
Nさんとはマルシャークの「森は生きている」の絵本のお話をしたり楽しい時間を過ごさせていただいたのだが、新幹線の時間があるからとカランダーシの部屋を後にされた。鞄の中にはまたまた次のソビエト絵本が入っている。
なんとも申し訳ない。でも、楽しみにもしている。
ソビエト時代の絵本はカランダーシの部屋へ来た方にもっと見てほしいなぁと思う。有名な作家のものでなくても本当に奥深く面白い。(直)






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