全ページに挿絵あり。カランダーシ史上一番の厚さをほこる重い1冊。ロシア絵本黄金期を牽引したマルシャーク(詩)とレーベジェフ(画)の作品を存分にお楽しみください。
《内容》
・厚さ28mm・287×217mm・ハードカバー・オールカラー・マット厚上質紙・304頁
1920年代〜1960年代の15作品を網羅。「サーカス」「アイスクリーム」「おろかなこねずみ」「なんたる怠け者」「昨日と今日」「しましまのおひげちゃん」「荷物」「職場の表彰板」などなど代表的な作品を収録。中でも「アイスクリーム」「なんたる怠け者」はコナシェーヴィチとのコンビでも作品が残っており、両方を見比べてみるのも面白いと思います。
http://karandashi.ocnk.net/product/50 この本をご覧になると同じ画家なのに年代により表現方法に大変な違いがあることに驚くはずです。それは何故なのか…。この本は重量だけではなく、そういう意味でも「重い」1冊といえるでしょう。資料としても、またアヴァンギャルド絵本のデザインの参考書としても大変価値のある1冊です。タイトルのフォントデザインも必見です。
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ウラジミール・ワシリエヴィチ・レーベジェフ(1891-1967)
ペテルブルグ生まれ。父親は機械技師。1910年からフランソワ・ルボーのアトリエに学び12年からはミハイル・ベルンシュテイン美術学校に在籍。革命後は、積極的に前衛芸術運動(ロシア・アヴァンギャルド)に参加、20-21年「ロスタの窓」という政治的宣伝ポスターの制作に従事。この時、民衆に伝える表現技法を身につける。22年、ロシア絵本革命の幕開けと称される初出版絵本「子ぞう」「かかしの冒険」発表。24年国立出版所児童書専門部門美術編集担当。マルシャークとの出会いは、彼がレーベジェフの校正刷りを印刷所で拾ったことから始まる。このコンビで25年「サーカス」「アイスクリーム」「おろかな子ねずみ」「昨日と今日」を出版。またレーベジェフは多くの後輩を発掘、教え育て、ロシア絵本黄金期を牽引する。しかし、スターリンを中心として文化政策転換がおしすすめられ、「社会主義リアリズム」のみが唯一の表現方法となる。35年レーベジェフの作品集は発禁となり、36年にはプラウダ紙一面に批判記事が掲載される。その後、レーベジェフのは生涯絵本の制作を続けるが、その作風はすっかり変わってしまい、第二次世界大戦後ももう元に戻ることはなかった。マルシャークとはずっと共に絵本を作り続け58年発行の「しずかなおはなし」などは日本でも大変親しまれている。
レーベジェフについては「ロシア絵本的日常」でも
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_24.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/06/blog-post.html
サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャーク(1887-1964)
ヴォロネシ生まれ。幼少から詩作を始め、ゴーリキーにその才能を見いだされる。20年過ぎから児童文学に取り組む。24年からはレニングラードの国立出版所の児童文学部部長。それは1年後後、児童図書出版所として独立するが、マルシャークはその中心、あたかも太陽のような存在であり、多くの児童作家たちを育てた。多くのコンビ作品を生み出したレーベジェフとは「アイスクリーム」やサーカス」などといった傑作を残す。また、英文学の翻訳者でもあり、自らの児童文学のルーツはウイリアム・ブレークであると述べている。日本で有名な作品として「森は生きている」がある。