ロシアの絵本　карандаш(カランダーシ）

ロシア気鋭の画家が贈る美しすぎるアンデルセン絵本

文：アンデルセン　絵：アントン・ロマーエフ
ハードカバー・156ページ・オールカラー・280×237
マット紙

注目の挿絵画家のアンデルセン物語集。
「人魚姫」
「みにくいあひるの子」
「すずの兵隊」
「野の白鳥」
が収録されています。全てのページに挿絵が描かれており絵だけで展開を充分に追うことが可能です。
よく知られたお話ですが、画家による意欲的なアプローチにより、今まで見たことのないアンデルセン物語絵本という印象を受けます。構図は大胆ですが、表現はとても繊細です。人物は懐かしい時代の空気を醸しつつ表情や造形に現代的なセンスが取り入れられ魅力的です。豊かな背景描写。この作家は平面であることを逆手にとり、奥行き遠近を自在に操り、饒舌ながら深く味わいのある表現を届けてくれています。全体的に優しくも格調高い色彩感覚で彩色されているので、これがお話の世界であることを感覚的に理解させてくれていると思います。あくまでも心地よく。波しぶき、炎のゆらぎは音や温度を伝えてくれますが、特筆すべきは光の表現。ぺ－ジから溢れる光。ため息が出ます。