美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2024年10月20日


やっと秋本番という感じでしょうか。我が家の金木犀も満開になりました。ということで今年もささまさんの栗名月美味しくいただきました。先日出かけた山の麓では紅葉にはまだまだ早いものの木々の葉の色が少し変わりつつある様子が分かり趣深いことでした。

さて、夏に続いて今月も板橋中央図書館ボローニャ絵本館にてロシア語のお話をさせていただきました。

今回は猫やねずみの鳴き声を紹介したり、リズムに乗って詩を読んだり、そしてパペット人形と夫が製作してくれたお家を使って「テレモーク」という昔話をしました。

野原に建っている空き家に動物たちが次々にやってきて一緒に暮らし始めますが、最後にクマがやってきて…というお話です。

お家は夫が段ボールで作ってくれたものですが、窓枠もちゃんとついているような中々凝ったもので、動物たちの顔がちゃんと窓から見えますし、増築したりもできる優良物件です。

集まってくださった子どもたちも興味を持ってお話を楽しんでくれたのでは?と思いました。私自身も楽しんでお話ができたように思います。

カランダーシの部屋の住人であるパペット人形の動物チームたちも大活躍でした。50年前の古いお人形たちです。そんな事も伝えました。

このようにロシアのお話を紹介する機会が与えられることに感謝しています。本当にありがたいことです。(直)

2024年10月12日



庭の片隅に植えていたススキが今年は沢山穂をつけて秋風にサワサワ揺れてきれいです。鉢植えの矢羽ススキを求めたのですが、矢羽模様の葉は一部だけでちょっと残念です。元々普通のススキと鉢に混植されていてそちらの方が強かったのでは思っています。

ミズヒキも暑さが落ち着いてからわぁーっと花を咲かせ始めてます。ミズヒキもそうですが、最近いつの間にか増えてきたマルバフジバカマ。夏場生えてきたら抜かずに切り詰めて短い丈にして花を楽しむことにしています。

カランダーシ刊『わいわいきのこのおいわいかい』でお世話になったきのこ博士こと保坂健太郎博士から今年も「きのこ展」のご案内をいただきました。今年のテーマはーきのこの正体、菌糸と胞子ーです。20日まで国立科学博物館筑波実験植物園にて開催中です。私も参加したことのある園内きのこツアーはおすすめですよ。https://tbg.kahaku.go.jp/event/2024/10kinoko/

秋たけなわ。『わいわいきのこのおいわいかい』は国際アンデルセン賞受賞画家マーヴリナが描く森のきのこたちのお話絵本です。巻末の保坂先生のきのこ解説もとても読み応えがあってきのこの世界を身近に感じられます。是非ご覧になって下さい。

今週も絵本を新しくご紹介しています。よろしくお願いします。

『Звезда 』はBIB金のりんご賞受賞作家のアンナ・デスニッカヤの絵本です。幸せに暮らしていたところある日戦争で知らない国で暮らすことを余儀なくされてしまった母子のお話です。

受賞絵本である『ある古い家の物語』でロシアの20世紀の歴史を丁寧に振り返ったディスニツカヤが現状についてどように考えているのだろうと個人的に関心を持っていました。

『Звезда 』とは星のことです。新しい国の慣れない暮らしの中で平穏だった頃を思い出し少女は窓に紙で作った星を飾ります…2024年出版で戦争という言葉を使っていますから、もちろん現実を踏まえ、アーティストとして今何をどう表現すべきなのかを考えて生み出した絵本ということになります。

全ページ、描かれているのは夕刻であったり雨降りであったり視覚的に暗い場面ばかりです。そこに光を灯す星という存在。その星を少女は窓に掲げるのです。

もう一冊。ピーター・ラビットの作者ビアトリクス・ポター再話『赤ずきんちゃん』。赤ずきんちゃんの舞台がイギリスの牧草地帯に変わります。そしてお話の終わり方はとても唐突です。(編集からの付け足しはありますが)

また挿絵をつけた画家ヘレン・オクセンベリーは前書きでポターの赤ずきんに対する説明を行っています。

このお話の展開は厳しい自然を熟知しているポターならではのものでしょう。お腹を空かせた狼のリアルこそをポターは子どもたちに伝えたかったのだと思います(直)
2024年10月05日



庭に黒地に金の斑点のある豪華な装いの芋虫がいました。調べてみたらセスジスズメという蛾の幼虫でした。ヤブガラシを食べるそうです。ヤブガラシの繁殖力には手を焼いていていますが食草にしている虫がいることは初めて知りました。

今週ロシア語の先生と簡単な詩をリズミカルに読む練習をしました。夜中ネズミが輪になって踊っています。猫は寝床でスヤスヤ。猫をおこさないようにしましょう。目が覚めたらダンスをメチャメチャにしてしまうからね。という内容です。

今までも詩を読むときは語尾の韻やリズムを意識して読んできたつもりですが、今回はさらに積極的に1行を決めた数で区切ってリズムをきっちり揃えましょうということをやりました。1行の中にある単語の数も単語の長さもバラバラですが、先生はそれをとても綺麗に区切ってリズミカルに読むのです。その区切り方は読む人によって異なるので自分で言いやすいように考えてみてと言うことでした。

何回か読むうちにだんだんリズムに乗れてきました。そうなると楽しくなってくるものです。ロシアのお母さんはそうやってリズムを整えた詩に自分でメロディーをつけて子供に歌って聞かせたりもするそうです。それはさらに楽しそうです。そうやって言葉、詩が伝わってゆくのだなと感心しました。

今週、紹介している本の中から『きのこー驚くべき、知られざる事実図鑑』
はまさに驚くべき!きのこ図鑑です。きのことは何か?その問いにあらゆる側面からアプローチしてユーモアと鋭い考察を交えた「事実」を提示してくれます。

ポーランド版の翻訳出版ですが、画家のアーシャ・グェイスのイラストはは写実性を担保しながらもノストラジックなファンタジー要素と斬新なデザイン性で比類ないサイエンスファンタジーの世界を繰り広げていてどのページも目を見張ってしまいます。よくぞロシア語に翻訳してフォントデザインも含めうまく完成させたものです。

トルストイの絵本には4つのお話が収録されていますが、どれも深く心に残ります。「ライオンと犬」はライオンの檻に餌として入れられた犬との奇跡の友情の物語ですが、その結末に胸が抉られます(直)
2024年09月28日


先日の連休は娘と2人旅に出かけました。芸術鑑賞を楽しみ実家にも寄って慌ただしいながらも良き旅となりました。

束の間、稲穂が揺れる田んぼを散策。間近を赤とんぼたちが飛び交う中、乾いた草を踏みゆけばトノサマバッタたちが次々アクロバットを見せてくれますし、昼間でもコオロギたちはずっと鳴き続けて賑やかでした。そして畦道の曼珠沙華の美しさにはっと胸打たれたのも今回の旅の大切な記憶です。

そして東京に戻ってきたら行く前より10度も気温が下がっていて季節は秋に進んでいました。やっと過ごしやすくなってきました。今年の夏の長かったこと!

木曜日はクニーシカの会を開催。コズリナ先生のもとで『Сказки про МАМ』を読み進めてゆきました。感謝。

潜水士の息子が海に潜り、珍しい真珠と普通の真珠を一つずつひろい、それぞれ婚約者と母親に贈ります。でも珍しい真珠は海の王様の冠に付いていた真珠だったので、さあ大変。結局海の王様に捉えられ拘束された息子を助けるために母親が奔走します。

母親は珍しい真珠を返してもらおうと息子の婚約者のところへ行くも、彼女はすでに真珠を売り捌き、新しい大金持ちの恋人もできていて…という中々世知辛い内容でした。

Даを使った命令形の表現や、相手との距離感により女性の場合代名詞Таを使うことがある、海の中なのにЛететь 🟰飛ぶという動詞を使うのは何故?などなど色々教えていただきながら物語を楽しみました。

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いします。(直)







2024年09月15日



秋らしく少し気温が下がった日もあったのですがそれは一瞬のことでした。毎日真夏並の暑い日が続いています。そんな中外の塀と基礎の隙間に毎年勝手に生えてくるカクトラノオの花が咲き出し嬉しいです。かなり過酷な環境なのですが、あまり構いすぎると生育がかえって良くなかった経験があります。今年は割といい感じです。

今年もささまさんの青柿をいただきました。季節が進むと色が変わってゆきます。これから晩秋の熟柿まで楽しみです。

免許の更新に行ってきました。流れ作業であっという間に撮られた写真はあれれという感じで髪が乱れていましたけれど、勢いが感じられていいかと思うことにしました。

ロシア語の勉強で色々なお話を訳して楽しんでいるのですが、最近スズメが主人公のお話を読みました。そのお話の中で民間療法的にオーツ麦やヨモギ、そしてミントなどが使われていてとても興味深いと思いました。

調べてみると、ロシアにもヨモギの仲間があり、胃腸薬、チンキ剤、虫駆除剤を始めとして香辛料など様々な用途で使われているようです。お話の中では畑で栽培されていたようです。日本のヨモギとはまた少し異なるのかもしれませんが、よく知っている植物がお話に出てくるとすごく親しみを感じます。

新しく絵本を紹介しています。ヴァスネツオフの民話集は初めて見る挿絵もあり、またキツネの楽しい短篇がたくさん入っていたりとても充実した内容です。

『北へ-かもめを追う旅』は2021年の金のりんご賞受賞絵本です。姉妹と両親4人家族の夏の旅を記録した絵本です。サンクトから車で様々な場所に立ち寄りながら北へ北へ向かいます。歴史的な場所に立ち寄り、自然の懐に飛びこみながら10代のアーニャとヴァーリャの姉妹はスケッチやスマホで記録を残してゆき、それを元にこの絵本は作られました。そう、この絵本のアイディアとイラストはこの姉妹によるものなのです。

どのページのイラストも色味が抑えられ黒色が基調として取り入れられ、鋭角的な掠れを活かした貼り絵のようなデフォルメ表現も相まって、どこか緊張味のあるファンタジー感を醸しているように感じます。見たままのスケッチを消化してあらためてその画像をアートとして再構築し、伝えたい印象を大胆に効果的に表現しています。

現代のロシアの若い人の作品を見るのはとても嬉しいです。(直)




2024年09月07日



日中はまだ暑いですが、吹く風に秋を感じる今日この頃です。庭の植物は酷暑の夏を耐えに耐えてやっとひと息ついているように感じます。

数年前に比べて確実に気温が上がっていて、夏の植物選びは変えないといけないところまできていると感じています。因みにハイビスカスは元気いっぱい。流石だと感心しています。

露草があちこちで花を咲かせています。秋の空より深い青色。好きな花で割と優遇していますが摘んだらすぐに萎んでしまいますよね。

先週、コズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会議がありました。感謝。テキストは『Сказки про МАМ』今回は3つのお話を読みました。アル中の両親がウォッカの瓶に閉じ込められる話、クマネズミが欲を出したために29階から放り出される話。永遠に繰り返される赤頭巾ちゃんの話など今回もびっくりの連続でした。

赤頭巾はロシアでのタイトルは『Красная Шапка』です。つまり赤い帽子です。日本では昔から頭巾と言っています。先生と頭巾がどんなものか話をしました。一番身近な例が防災ずきんだったのでその話をしましたけれど、後で私自身頭巾の実際についてよく分かっていないと反省です。

新しい絵本。『民話集ーゆきむすめ』はラチョフ生誕110周年を記念して出版されたもので、作家であり民俗学者であるウラジーミル・ダルィが収集編集したロシア民話集です。民話は同じお話でも収集者によって展開や細部が異なることがあり、そのあたりも注目すると面白いです。

『ウクライナ民話ツヴァシーク・ティルィシーク』は、とても有名なお話でアニメ化もされています。水辺やヘビが出てくるところは地域性なのでしょう。7匹の子ヤギのようにヘビが声色を変えて主人公を騙して誘拐…ハラハラドキドキの展開です(直)



2024年09月01日


9月が始まりました。台風や地震、ゲリラ豪雨そして連日の酷暑など今年の夏は中々手強かったという印象です。

そんな夏の日々の中、急遽思い立ってある分野の検定試験にチャレンジしました。かなり無謀な試みでしたが、ぎゅっと集中勉強して無事合格できました。ちょっと大変でしたけれど、視野が広がったのは収穫ですし嬉しいことでした。

つい先日、ふたつの公共施設にロシアの原書絵本を納品させていただきました。選書のリクエストにお応えするというミッションもクリアできてホッとしました。ロシアの絵本を求めてカランダーシにお声掛けいただけるということ、本当にありがたいことと思っています。

また、先週は板橋区立中央図書館で開催中のボローニャブックフェア「世界の絵本展」の一環として行われている外国語お話会にて今年もロシア語絵本を読みました。絵本は『マーシャとくま』と『きのこの御殿(お家)』の2冊、そしてカエルのジェスチャーを楽しむ歌も歌いました。

相棒はいつものおじいさんやおばあさんのパペット人形、それから今回はきのこのマトリョーシカやマールイ・ミールさんで求めた指人形たち!お話と一緒にロシアの文化も親しんでもらえたらと思っています。

持ち時間は30分。いつもあっという間、無我夢中です。毎回絵本選びやお話選びで悩みますが、ロシア絵本を知ってもらう良い機会なのであれこれ楽しみながら準備をしています。

「世界絵本展」は7日まで開催しています。世界中の新しい絵本に触れることができる機会です!(直)







2024年08月04日


カランダーシは8月10日から18日までお休みします。ご注文は自動で受け付けています。発送は19日以降になります。よろしくお願いします。

庭に水を撒くと葉陰に隠れていたシジミ蝶がびっくりして何頭か飛び立ちます。だからといって遠くへ逃げるわけでもなくチロチロと辺りを飛び回る様が可愛らしいです。

あまりにも毎日暑いので植物たちも今はじっと息を潜めて耐えているように見えます。コンクリートの塀沿いなど照り返しもあるせいか、丈夫が取り柄の柊南天でさえ葉が黄色っぽくなって心配です。

さて、そんな日々ですが、以前から気になっていた徒歩圏内にある農園のブルーベリー狩りに行くことができました。朝7時〜8時30分の間しかやっていないのですが、夏休みの親子連れで結構賑わっていました。

指先で触れると実がホロっと枝から採れる感触を楽しみながら、枝から枝へ、木から木へ移動しながら、あっという間にプラカップは濃い藍色の実でいっぱいに!

農園の方によると6月末から始まったシーズンもほぼ終わりとのこと。ハイシーズンはもっと実の量も多く実も大きいそうです。なるほど、確かに実は小粒です。何とか今年のシーズン中に来ることができて良かったです。

帰宅後、すぐにさっと水で洗っていただきました。甘くて美味しかったですし、まだお日様の温もりも残っていて、夏の恵みそのものをいただいている気持ちになりました。
感謝です(夏)
2024年07月27日


かなり暑い日々が続いています。

昔はこの辺りでも狭くても草生い茂る空き地みたいな場所があって、蕗の薹を見つけたりしていましたけれど今はそんな場所は無くなってしまいました。子どもの頃、近所の野原で花を摘んだり、草の上に座ってぼんやりととりとめのないことを考えたりする事が好きでした。最近そういう時間を懐かしく思い出すことが多いです。

本屋さんで見つけた『草の辞典』。私の野原への憧れをぎゅっと詰め合わせたような内容でこれから重宝しそうです。奥付けを見ると発行している雷鳥社さんの住所が結構ご近所でした。イラストを描いているささきえみこさんは刺繍作家でもある、というところが素敵です。

木曜日にコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会を開催しました。嬉しいことに最近の中では参加者が多く賑やかな会となりました。感謝。今回も『Cказаки про мам』を皆で読んでゆきました。ミイラの呪いでワニにされた末っ子息子がナイルの川底で見つけた宝物を貧しい家族の元へ運んできます。そのおかげで大金持ちになった家族の子供たちは良い教育を受け世界中に活躍の場を広げます。母親だけがワニが末っ子息子であることに気が付いているのですが、結局末っ子息子はワニのままでお話が終わります。

次のお話は気性の激しいお母さんが癇癪持ちの子どもを往来で叱っていたら突然「不死身のコシチェイ」(テキストではコシェイ表記)にさらわれてしまうという内容です。本当にこのテキストの面白さは予想もつかないストーリーの展開です。ワニのお話もそうでしたが、え、それでいいの?といつも新鮮に驚かされています。

コシチェイはロシアの昔話によく出てくる魔力を持つ痩せこけて骨のような身体を持つ老人です。誘拐が特技?でとても恐ろしい存在です。現代のロシア子どもたちにとっても怖い存在なのか先生に聞いたところ、多分今の子たちはネットの電源を切られることの方が怖いでしょう。と笑っていました。画像はビリービン画の馬に乗るコシチェイ。

今回面白いなと思ったのはロシアでベランダ(веранда)とは1階についているものでガラス張りなどのものも多くそこでお客さんと会ったりもするとのこと、バルコニー(балкон)とはロシアでは2階以上の部屋に付いている、いわゆる日本でいうところのベランダのことを指すということを教えていただいたことです。

クニーシカの会には、皆でテキストを読み、内容を分かち合い、理解を含めてゆく楽しさがあります。興味のある方、ご参加お待ちしています!

あたらしく絵本を紹介しています。よろしくお願いします(直)
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2024年07月21日


梅雨も明けていよいよ暑さ本番です。体調に気をつけて今年も何とか乗り切りたいものです。コロナもまた流行していますね。気をつけられるところは気をつけた方がいいなと思っています。

庭でアオスジアゲハを見かけました。綺麗だなぁとしばし見惚れてしまいました。昔はそこまで思わなかったのですけど、最近はそんな感じです。でもレモンの木に卵は産まないで!とは思ってます。

春に一階のベランダテラスを作り直しました。以前のは基礎や床面が弱ってきて危険な状態でしたので新しくすることにしたのです。せっかくなのでこれまでと違う新しいイメージのものがいいなと思いながら業者さんと話し合いながらデザインなど決めました。

床面は濃いめだけど柔らかい色にして、それまでの目隠し用の焦茶のトレリスを新しくアイボリーの背の高いフェンスに替えました。そうしたら窓からの眺めが一気に変わり明るくなり、部屋の中もその明るさを反映して明るさが増したように思いますし良い感じです。

このアイボリーのフェンス。良い背景になるので絵本を撮影したりしています。最初は椅子などを利用して撮っていましたが、あれこれ考えて夫に絵本ラックを作ってもらいました。取り外し可能なので好きな場所で撮れます。外は暑いですけど庭で絵本を撮るのは楽しいです。

今回もそんな環境で撮った絵本たちを紹介しています。よろしくお願いします。

今回はオレイニコフの『みにくいアヒルの子』が登場です。アヒルの子の身体に対して大きな丸いあたまの羽毛のホワホワ感が何ともいたいけです。独特の深い寒色系の色遣いにも注目です。

カラウーシンのポップな絵が魅力の『詩の絵本・起き上がりこぼし』はユーモアたっぷりの絵本で見ているだけで笑顔になります。Ванька-Встанькаという原題ですが、玩具の起き上がりこぼしをこう呼ぶことは知りませんでした。

そういえばカランダーシの部屋にもロシアの起き上がりこぼしがいました(直)
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2024年07月13日



去年は庭の南西側でこんもりと元気に育っていたクリーピングダイムを夏枯れさせてしまいました。同時期に他の場所に植えたものは元気です。枯れた原因ははっきりしませんが湿気に弱いようなのでそうなのかもしれません。蒸し暑い日が続くと植物たちも大変だろうなと思う今日この頃です。

違う場所ですが百合が大きな花を咲かせてくれました。室外機が近い場所で申し訳ないなと思いながら眺めています。去年より大きな花です。

毎日暑いですが、モスクワも暑いらしく大勢の人たちがモスクワ川で泳いでいると聞きました。街中を水着で歩いている人たちもいるそうです。そんなお話をロシア語の先生を聞きました。

それからロシアには老人ホームがないそうです。なので昔は(多分今でも)クバルティーラ(マンション)の入口辺りのベンチに座っておしゃべりをしたりして長い時間を過ごしている老人たちがいるそうです。

先生は子供の頃、毎日そのお爺さんお婆さんたちに挨拶して学校へ行き、また帰ってきたら挨拶していたそうです。

新しく絵本を紹介しています。ウクライナ出身ヴァレリー・ゴルバチョフ画の『さんびきのくま』はくまの家に忍びこむ女の子がちょっと生意気そうで可愛いです。くまのお父さんはバイオリンを弾きますし、お母さんは耳に大きなイヤリングをしてとてもおしゃれです。

チャルーシン画『面白話集』はカランダーシでソフトカバー版が好評でしたが、今回はハードカバーで登場です。本当に見ているだけでニコニコしてしまう楽しい絵本で私も大好きです。

仙台・松島の瑞巌寺のお香を貰いました。嬉しいです。松島は小さい頃に行ったらしいのですが記憶がありません。いつか訪れてみたいです。(直)









2024年07月06日


暑い日が続いています。庭で珍しくシオカラトンボを見かけました。鉢植えのレモンの木があるのでアゲハ蝶はよく飛んでいます。でも今年はバッタを見かけません。去年はあんなにたくさんいたのに不思議です。コオロギの赤ちゃんは見かけます。

少し先ですが今夏も板橋区立中央図書館ボローニャ絵本館のブックフェア外国語おはなし会でロシアの絵本などを読むことになりました。感謝です。秋にもやります。さて、どんな内容にしましょうか。お人形は連れて行きましょうか…。楽しみながら準備をしたいと思います。

ロシア語は細々と学びを続けていますが、思い立って今年は春から文法のオンライン講座に参加しています。若い方ばかりなので皆さんの熱心な姿に新鮮な刺激をもらっています。ロシア語は多分死ぬまで勉強し続けるんだろうと思っています。諦めないことを諦めないという感じでしょうか。

新しく絵本を紹介しています。やはりアントン・ロマーエフの『おやゆび姫』は美しいなぁと見惚れてしまいます。

先日訪れた那須どうぶつ王国のホッキョクオオカミに赤ちゃんが生まれたそうです。私たちが見た際、檻の中の2頭の内一頭が一生懸命脇目も振らずに穴を掘っていました。あれは出産の準備だったのでしょう。親は真っ白ですが赤ちゃんは茶色です。これから白くなるのでしょうか。成長が楽しみです。画像は行った時に写したものです。直)

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2024年06月30日



まさに梅雨最中、蒸し暑いと感じる日々が続いています。やはり気分が何だかシャキッとしません。そこで集中してやるべきことをするために少し早起きを始めました。時々こうやって早起きブームがやってきます。ブームはブームであって定着しないというところがとても私らしいのですが。

今年も玉川をいただくことができてありがたく嬉しいことです。ささまさんのファンになったのは確かこのお菓子からです。

木曜日にコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会がありました。テキストに入る前の雑談で、先生から日本の5月は春なのか夏なのか、という問いがありました。暦の上では立夏を過ぎれば夏だけど、本格的な夏は6月からかしら…なんて話しをしたのですが、先生にしてみると6月はイメージ的に夏っぽくない梅雨もあるし日本の春と夏の概念が今ひとつよくわからないということでした。そう言われれば確かにそうなのかもしれません。もう暦による季節の進み方が染み付いている者からすると新鮮な問いでした。

テキストの『Сказки про мам』はまず親指くらいの小さな男の子とお母さんのお話などを読みました。その小さな男の子を買いたいというお金持ちと最後には何故かお母さんが結婚するというお話でした。お話の中でお金持ちがキャデラックからトヨタに乗り換えるというエピソードが出てきます。トヨタはロシアでも普通に有名で良い車として認識されているそうです。それにしてもトヨタのロシア語表記が「ТЙОТА」なのが仕方ないにせよちょっと不思議な感じです。

このお話の次のお話はエジプトのミイラにワニにされた男の子とお母さんのお話です。全く展開が読めない奇想天外な短編をたくさん読めるのは楽しいですし、先生に色々質問させていただきながら理解を深めてゆくのは勉強になります。興味のある方はよかったらご一緒しませんか。ご連絡お待ちしています。

新しく絵本や今回は楽しい手芸書もご紹介しています。編み針がなくても紐や毛糸を使って作れる夢が広がるアイデアグッズ満載の素敵な一冊です。(直)

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2024年06月23日


夏至の日は肌寒い雨の1日でした。カランダーシの部屋の窓辺には鉢植えの楓があります。雨の雫が葉に落ちそれがまた落ちていく様子などを見ているのは私は好きなので多分何時間でも見ていられます。というか、そういう景色を見たいがために鉢植えの木を置いているところもあります。

あさイチという朝の番組で荻野恭子さんが出演されて冷製ボルシチを紹介していました。簡単にいうとヨーグルトと牛乳の白色にビーツの赤が混ざったピンク色のスープにきゅうりや玉ねぎのみじん切りを混ぜて作ります。調べたらボルシチという名前は案外守備範囲は広いようです。

カランダーシの資料棚の荻野先生の『家庭で作れるロシア料理』(河出書房)の表紙にもこの冷たいボルシチが使われています。こちらはヨーグルトでなくサワークリームがベースになっています。この本は沼野恭子先生によるロシアとロシア料理についての文章もたっぷり読めるのも魅力です。

新しく絵本を紹介しています。Instagramでもご紹介していますのでこちらもご覧いただけると嬉しいです。今回は庭に椅子を置いて撮りました。https://instagram.com/p/C8jbzUtSfLk/?utm_source=qr

苗を植えたグランドカバーが繁って草ぐさと混じり合い混然一体となっています。そこが面白いですし、日々様子が変わるのも楽しいです。(直)
2024年06月15日


急に暑くなりました。半夏生の花が咲きだしました。一番うえの葉だけが白くなって花穂が出ています。この葉の白い色は花が終わると緑に戻る不思議なお花。涼しげな風情に魅せられています。

今週は児童書も2冊ご紹介しています。『カトラリーたち台所大冒険』の画家マリヤ・パブロワはカランダーシでも過去に取り扱いがあり、久しぶりに作品を見ることができて嬉しいことでした。

彼女は1979年生まれ。猫の描写を得意としていますが、実際にはこどもがアレルギーがあるので飼ってはいなくて、ダーチャで出会う猫たちをモデルにしているそうです。クラシカルな表現が持ち味ですが、古くて美しいサンクトペテルブルク在住ということも大いに関係しているだろうと思っています。

さて、ものすごくご近所に創作フレンチレストランがオープンしたのでランチに出かけました。ラトリエ・デュ・グーさんといって吉祥寺から越してきたお店です。

前菜もメインも素材の持ち味を大切にして優しいけれど輪郭を感じられるお味で美味しかったです。女性のシェフがテキパキと料理を供する活気と緊張感がお店全体に伝わるのもいい感じです。本当にあまりにもご近所なのでオープンルームの際にもおすすめです。席数が少ないのため予約はマストです(直)

2024年06月09日


今年もアナベルが綺麗に咲いています。白くてまんまるのお花がぱっと辺りを明るくしてくれます。そういえば鳳仙花の種を買ったのですが早く植えないとですね。

少し前に行ったSOMPO美術館「北欧の神秘展」は普段まとめて目にすることがあまりない北欧の美術の歴史と特徴が良く分かる内容で勉強になりました。

イタリアやドイツ、フランスに追従していた北欧諸国の美術界は19世紀に自然や民話など独自のテーマに着目するようになり独特の発展を遂げます。そこにはジャポニスムの影響も見られます。

個人的に好きだったのが深い森を舞台とした神話や民話や民俗叙事詩を題材とした美術です。トロル物語「ソリア・モリア城-アスケラッドの冒険」を描いたテオドール・キッテルセンによるトロルのシラミ取りをする姫は、今展のリード画としても用いられていますが、不思議さと不気味さと神秘性そしてなんといってもその物語性が秀逸過ぎて暫し見入ってしまいました。

またガーラル・ムンテの英雄物語の絵画やタピスリーはビリービンを想起させて興味深かったです。ビリービンも同じ時期に民族性や民話をテーマに創作を始めていますから関連性もあるのかもしれません。

実際ロシアと北欧は近いですし、現代でも想像以上に影響し合っているようです。というか北欧の文化の影響をロシアはとてもよく受けているし、とても好きなのだということを複数のロシア人から聞きました。そのひとつの証となるのかは分かりませんがロシアにもIKEAがありとても人気があるのというのは確かです。

新しく絵本をご紹介しています。刺繍の本は物語とハンドメイドの世界を繋げたユニークで美しい一冊です。手にとって是非見てもらいたい素敵な内容です。よろしくお願いいたします(直)


2024年06月02日


6月になりました。早速雨模様の日々ですが体調に気をつけて過ごしてゆきたいものです。

先週はお声かけをいただいてロシアで大変人気のあるモスクワ芸術座公演チェーホフ作『決闘』を観劇することができました。感謝。怠慢、我儘、傲慢、排他…人間誰しもが持つ手前勝手さの造形が見事で、芯のあるしっかりとした演技に惹きつけられ3時間があっという間の大変見応えのある舞台でした。

そして先週は重要文化財でもある神田駿河台のニコライ堂(東京復活大聖堂)を拝観することもできました。コロナの時はクローズされていましたが今また見学できるようになっているのを知り出かけました。

一歩聖堂の中に足を踏み入れると、高くて大きなビザンティン様式のドーム、歴史の重みを感じさせるイコンやステンドグラスを始めとする聖堂芸術などの美しさに圧倒されますが、飾られていた白百合の甘い香りや蝋燭の揺らめきが心を解きほぐしてくれたせいでしょうか、不思議と居心地の良さを感じて立ち去り難い気持ちになりました。

ニコライ堂のお庭は大変良く手入れがされていて、たくさん実をつけている大きな枇杷の木もあり、紫陽花やランタナなど季節の花も綺麗でした。オナガ鳥が群れで賑やかに木から木へ飛び回っている様は都会の中とは思えない光景で印象に残りました。

ニコライ堂で購入した『日本光照者亜使徒聖ニコライの歩み』という冊子を読みました。サンクトペテルブルク神学大学を出たひとりの若き修道士ニコライが日本に宣教に来て北海道の地を経て東京に東洋一の聖堂を建立し幾多の歴史的な荒波にもまれながらも神にその生涯を捧げて一筋に歩んだ軌跡が良くわかりました。

この冊子には牧野富太郎の植物学の師だったマクシモヴィッチ博士についても書かれており、来日時に博士の弟子として働いた須川長之介はロシア正教徒であったことなどが分かりましたし、牧野がロシア行きを決意する過程でニコライが連絡の労をとったことなどが分かり興味深いことでした。

さて、前述のニコライ堂訪問の後は、神田の達人!に案内していただいて甘味処の竹むらや藪蕎麦で舌鼓をうち、大好きな近江屋洋菓子店にも寄るという流れでした。「虎に翼」を毎日観ていますのでその辺りも含めてとても楽しい神田散歩でした(直)

https://www.instagram.com/karandashi_ehon/?igsh=MTIzZW4yZXFqMDVyNA%3D%3D&utm_source=qr

2024年05月25日

今年も神保町ささまさんの大好きな紫陽花をいただくことができました。庭の紫陽花やアナベルの蕾もだんだんと大きくなってきまし、終わってしまったバラの枝を整理してプランターも一気にビオラからベコニアに植え替えを済ませました。雨の季節がもうすぐです。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会がありました。今回は新しい方の参加もありました。感謝。色々なお母さんが登場する『 Сказки про МАМ』というテキストを読んでいますが、今回は子どもにご飯をあげたのかあげてないのかすぐ忘れてしまうお母さんや、食材を買いに出かけたのに自分の洋服を買ってきてしまうお母さんなども登場。皆で楽しく訳してゆきました。

あるお母さんを表現する形容詞に「Рассеянный」という言葉が出てきました。辞書によるとそそっかしい、ぼんやりしている、怠惰なという意味があるようです。個人的にこの言葉をどう捉えていいのかピンとこなくて、具体的なイメージについて質問してみました。

そこで先生はこの言葉のニュアンスの例としてマルシャークの「Вот какой рассеянный」という詩を紹介してくださいました。この言葉についてロシアではこの詩をイメージする人が多いかもしれないということでした。

この詩は以前、クニーシカの会発足以前に3人程で集まってロシア語絵本を読んでいた頃に「何たる怠け者」と訳してひととおり読んだことがありました。やることなすことチグハグでダメダメなおじさんの一部始終を表現したユーモアのある詩です。

資料の棚からその詩が収録されているマルシャークの2冊の詩集を取り出して改めて見てみました。チュコフスキー版は一見生真面目そうなおじさんが淡々とドジを重ねてゆく感じがシュールです。一方レーベジェフは喜劇王チャップリンを模した哀愁のあるコミカル表現で惹きつけらます。

この詩を紹介してくださったので、ああ、注意力が散漫で見当違いのことをしてしまう、側から見るとおかしなお母さんという感じかな、と私なりに理解が深まりありがたいことでした。

そういえば今週、ベランダのステップで足を踏み外し転んで足を捻ってしまいました。最初くるぶしあたりが腫れてちょっと痛かったのですが大事には至らなくてホッとしているところです。注意散漫だったのだと思います。気をつけなければです。

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いいたします。(直)

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2024年05月18日


そろそろバラの季節もおしまいです。ツルバラを生けて飾っています。甘い香りに名残を惜しみつつ。

新しく絵本をご紹介しています。その中でチェコそして世界でも人気のキャラクター、クルテクの露語版絵本をご紹介しています。

クルテクとはチェコ語でもぐらのこと。画家であるズデニェク・ミレルが森の散歩中にもぐらの穴で転んだことから生まれたキャラクターだそうです。絵本では他にも森の動物たちが登場します。

ミレルは最初アニメーターとしてスタートします。終戦後に初監督作品「おひさまを盗んだ億万長者」で1948年ヴエネチア映画祭特別賞を受賞しています。クルテクもアニメーション作品として人気を博しますし、その第一弾「もぐらくんとズボン」はヴェネチア映画祭やモンテヴィオ映画祭などで受賞を重ねています。

もぐらは絵本の主人公としてはあまり見かけることはありません。実際の姿を見ることが中々できないからかもしれません。でも、友人がもぐらはお庭の敵だと言っていましたし、公園などでもぐらが掘った後の土の盛り上がりは見かけます。もっと注目しても良い動物なのかもしれませんね。

個人的にチェコの絵本は数冊持っていますが、その中でもトゥルンカ画『動物と人間(多分)』という絵本は大好きでずっと壁に飾っています。この表紙イラストはチェドックザッカストアの谷岡氏の著書『チェコへ、絵本を探しに』の表紙にも使われています。興味がある方はオープンルームの時にぜひご覧ください(直)

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2024年05月12日



段々と夏が近づいてきました。今年も庭の6種類のバラが綺麗に咲いています。あっという間にブワッと満開になるものや蕾のままじっと何日もそのままのもの…個体によって咲き方に個性があって面白いです。

GWに金沢の石川県立美術館で「脇田和と佐藤忠良ー子どもへのまなざし」展を見てきました。脇田和さんは福音館書店刊絵本『おだんごぱん』の絵を、佐藤忠良さんは同書店刊『おおきなかぶ』の絵を描きました。

このふたつの絵本は福音館書店の月刊絵本『こどものとも』の中から生まれたロングセラー絵本です。日本でロシアの絵本といえばこのふたつを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

石川県立美術館では脇田和さんの作品を321点収蔵しており、交流の深い作家の作品を交えてその魅力を伝える企画展の第2弾として、美術教育に長い間携わり、家族や子どもなどをテーマにした作品が多い、絵本画家としての活躍という共通点があり、本人たちにも直接の交流があったことなどから佐藤忠良さんとの今展が開催されたということです。

会場にはおふたりの多数の美術作品や資料、そして絵本の原画(『おおきなかぶ』からは1点のみでしたが)が展示されており、芸術家としての全体像をしっかりと受け取ることができました。

ロシアという視点からですと、彫刻家である佐藤さんはシベリア抑留の体験があり、その時に紙も鉛筆もない中で、目だけでロシア人や風物をデッサンしていたと言われ、絵本の絵にリアルさを追求したかった当時の編集担当の松居直さんによって『おおきなかぶ』の「画家」として抜擢されたという経緯があります。

脇田さんは直接ロシアとの接点はありませんが、やはり松居さんがロシア昔話のおだんごぱんのリズムを表現するにあたり、当時注目していた脇田さんに白羽の矢をたてたという背景があります。

実際の作品を見ると佐藤忠良さんのブロンズ像は対象者のリアルが静かな説得力を持って迫ってきますし、脇田さんの抽象性を取りいれた創造性に富んだ独特の世界観のある絵画作品には想像力を刺激されました。

作品を見た後で今一度ふたつの絵本について考えてみました。今展の二人の芸術家の作風と絵本への起用についてです。ふたつともロシアの昔話が題材で次々と登場人物が登場して展開してゆくお話です。けれどもゆきつく結末は異なります。

『おおきなかぶ』という絵本は、佐藤さんの絵で視覚的な写実性を持たせることで読者はきっと実際的(リアル)な共感を持ち、かぶが抜けた時に実感を持って共にめでたし的な気持ちになることに成功した作品なのだと改めて思い至りました。今回佐藤さんの多くのブロンズ像を見たことでその納得度が深まった気がします。

そして一方『おだんごぱん』のように主人公が最後にキツネに食べられてしまうという結末のお話の場合、おだんごに感情移入する読者もいますから絵本作りを考えた場合難しさもあったのではと推測します。でも脇田さんの絵の落ち着いた色調のファンタジー性のある表現を用いたことで、何かちょっと不思議な余韻を持つ絵本となりました。脇田さんの多くの作品から受ける「もの悲しさ」みたいなものも松居さんがこの絵本に込めたかったニュアンスだったのかもしれません。

というわけで脇田さん、佐藤さんの作品を通して松居直さんの絵本の作り方についてあれこれ想像を巡らすこともできましたし良き学びとなりました。

私はこのふたつのお話はすでにボローニャ絵本館でロシア語絵本でお話をしています。同じお話でも絵の違う絵本を用いましたので、聞いていた子どもたちはまた異なるイメージを持ってお話を受け取ったかもしれません。そのあたりは興味深いことです。

作品鑑賞のあとで美術館のカフェで『おだんごぱん』のチーズタルトをいただきました。タルトには顔が描かれていましたが、これも脇田さんによるおだんごぱんの絶妙なお顔のデザインのおかげなのか?あまり良心をいためずにパクリといただくことができました。

窓からは美しい新緑が見えて綺麗でした。同館で開催中の工芸品の展示も素晴らしかったです(直)





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