美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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ロシア絵本的日常【ダイアリー】
ロシア絵本的日常【ダイアリー】:2028件
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2026年10月31日
急に寒くなりました。日が暮れるのがずいぶん早くなりましたし、気がつけば今年ももうあと2ヶ月しかないなんて!

国立科学博物館筑波実験植物園で「きのこ展ー驚きの菌食の世界」が11/1まで開催中です。食用きのこの意外な側面や世界各地の独特の食文化などを最新の研究成果も含めて大特集です。

毎年大好評の保坂健太郎博士による園内きのこ案内や、きのこ展示、マッシュルーム掴み取りなど、グッズ販売なども楽しめます。https://tbg.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00004121.html

このところ文学フリマに向けて本作りをしていました。結局カレンダーを見てお尻に火がついてから集中勝負という感じで、なんとか間に合ってよかったとホッとしています。本の中身はInstagramで少しですがお見せしています。https://www.instagram.com/reel/DfKQc1Gy5r8/?srtk=NnV1cDJiOTlqeXZ3

当日のお取置きいたします。ご連絡ください。

日々、作業としては大変でしたが、ロシアのきのこと森の世界にどっぷり浸り『わいわいきのこのおいわいかい』という絵本をじっくり楽しむ時間を持てたことは私自身幸せなことでした。手にとってくださった方に森の雰囲気を少しでもたのしんていただけたら嬉しいと思っています。簡単なクイズもお楽しみに!

文学フリマ東京43は11/8に東京ビックサイトで開催されます。https://bunfree.net/event/tokyo43/ 出店名は「カランダーシ」ブースの」場所は【こー66】(南3・4ホール)です。『ロシア絵本的日常ーきのこ知れば知るほどーわいわいきのこのおいわいかいの世界』という新刊と過去2冊の既刊を販売します。よかったら遊びにいらしてください。

自分が文学と信じる作品を持ち寄り販売するとても自由な1日だけのマーケット。広い会場にあらゆるジャンルの作品が並びます。全てをじっくり見て回るのは結構大変なことです。事前にwebカタログを見たり、当日見本誌コーナーで目星をつけてから回るのがおすすめです。

さて、今回の本の中で、私はロシアのきのこの瓶詰めを食べたことについて書いたのですが、その瓶詰めを求めて東銀座のロシア食品輸入食品店ヴィクトリアさんのショールームに行きました。https://victoriashop.jp/

お茶やお菓子、黒パンを作る粉や、ジャムなどの瓶詰めや冷凍食品まであらゆる食品がきれいに並んでいて、誰でも購入することができます。以前「赤の広場」という名前でやはり銀座で路面店をされていましたが、今はビルの1室で営業を続けていらっしゃいます。

以前から通販で利用していましたが、場所を覚えたので、これからはこちらにお邪魔してお買い物したいと思いました。

きのこの瓶詰め(マリネ)の試食についてはぜひ新刊をご覧ください!(直)





2026年10月12日
気持ちの良い秋晴れが続くようになりました。風が爽やかです。山茶花が今年もたくさん蕾をつけていますし、ベランダの椿も前回より多く咲きそうで楽しみです。

カクトラノオやベコニアの花にハチドリのような虫が来て蜜を吸っています。ホウジャクという虫のようです。私は小さい頃庭でこの虫を見て、ハチドリだと思って喜んでいましたが、呆気なく父親に否定され、いたくガッカリしたことを覚えています。

文学フリマが11月8日に開催されます。https://bunfree.net/event/tokyo43/
カランダーシも出店します。ブースは南3−4【こー66】です。そこで発売予定書き下ろし本のタイトルや表紙のイメージをお知らせします。タイトルは『ロシア絵本的日常ーきのこ知れば知るほどーわいわいきのこのおいわいかいの世界』です。

今回はロシアの森ときのこの世界についてまとめました。絵本『わいわいきのこのおいわいかい』のお話に登場するきのこたちはロシアで親しまれている代表的なきのこです。

もちろん、専門家ではありませんから一般人素人初心者目線の内容ではありますが、それぞれのきのこの日露の呼び方の由来の違いや特徴についてまとめたものを中心に、絵本の中で個人的に気になっていた事柄を深掘りしたり、食品の試飲試食コーナーがあったり、簡単なクイズもありますし、楽しみながら絵本の世界、森の文化、に触れていただければ嬉しいなという読み物です。『わいわいきのこのおいわいかい』を読んでいただいている方はもちろんですが、読んでいなくても気軽に読んでいただけます

絵本の副読本、あるいはファンブック、あるいはオタク本みたいな感じかも知れません。興味津々できのこのことを調べたのですが、本当に奥深くそして面白い世界だとあらためて気付かされました。それが伝わったら嬉しいですし、昔話や物語の舞台でもあるロシアの森の雰囲気が少しでも伝われば幸いです。よろしくお願いいたいたします。

ロシア絵本、ヴァスネツオフティータオルなどを紹介しています。

ヴァスネツオフティータオルはしっかりとした布製で、さんびきのくまの冒頭のお散歩シーンがプリントされています。

アンナ・デスニツカヤの『星』は久しぶりの再入荷になります。戦地から逃れて知らない街に住むことになった親子。少ない言葉と暗い背景に光灯すともる星の飾り。何があっても日常を生きてゆかなくてはならないわたしたちの小さな救い。







2026年10月02日
東京は9月は毎日雨が降っていたそうです。10月はカラリと晴れた秋晴れの日がたくさんありますように!

ささまさんの栗蒸し羊羹。1年ぶりにいただきました。時の経つのは早いものです。

11月8日(日)東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京43に参加します。よかったら遊びにいらしてください。前売り券の販売もあります。カランダーシのブースの位置など分かり次第お知らせいたします。https://bunfree.net/event/tokyo43/

今回はロシア絵本的日常既刊2冊と、何とか新しい本も持っていけるよう目下取り組み中です。増やしたい内容もあったり結局ギリギリの出来上がりになりそうです。タイトルなどはっきり決まりましたらお知らせいたします。

ロシア絵本を紹介しています。『私たちの愛すべき草花たち』は実際にロシアの自然の中で咲く草花が21草登場する詩の絵本です。春夏秋冬を彩る足元の花たちは派手さはないかもしれませんが、その可憐な姿で私たちを常に慰めてくれ、生きる喜びを与えてくれます。

野の花が咲く草むらをのぞいてみましょう。そこで私たちは虫を探す鳥や、うっかり顔を出したもぐら、そしてハリネズミたちの姿を見つけるかもしれません。また、てんとう虫や花粉を運ぶ蜂や、きれいな蜘蛛の巣も見つかるでしょう。

ステファニヤ・ヤンコスカヤは、エカテリーナ・セロワの草花に寄せたささやかだけど誰の心に届く詩の世界を美しい色合いと柔らかさと端正さが同居する現代的なニュアンスも感じる表現で描いています。

よく見ると、植物の表現は正確さを担保しつつも、デフォルメも効いていて切り絵のような手法(もしかして切り絵?)を用いており、シンプルでありながらとても複雑な表情も楽しめて興味深いです。

また、植物と共鳴するように登場する生き物たちのいくつかは植物に隠れた姿で表現されており、そこでは自然界のリアルを感じますし、一方鳴き声が聞こえてきそうな小鳥たち、うっとりとした表情を見せるカエルなど皆とても魅力的です。個人的に好きなところは、小鳥たちのまつ毛でしょうか。可愛らしいです。

雪割草、たんぽぽ、鈴蘭…案外日本の草花と同じものも登場しますし、ロシア独特のお花ももちろんあります…草花のことを調べたくなりますし、絵本の挿絵で見た花が見つかるかもしれませんし、それはとても嬉しいことです。

詩を書いたエカテリーナ・セロワはロシア児童文学の古典的名手で、この絵本の詩は初版刊行時に驚異的な人気を博したそうです。これは、素晴らしい詩であることはもにろんですが、自然や草の花に親しみを感じている人が多いということでもあるのでしょう。






2026年09月25日

本当に雨の多い9月です。先日の台風での千葉の水害被害が甚大です。また雨の予報が出ていますし、お見舞いを申し上げると共に1日も早い復旧を願っています。

今年も塀際のカクトラノオが咲き出しました。そして女郎花の男版のオトコエシという野草も咲いています。新芽は食用にもなるようですが、切って花瓶に挿していると水が醤油の腐ったように臭いになるそうです。そもそも醤油の腐った臭いというものが分からないのですが、今花瓶に挿しているのでその内わかるでしょう。

新しく3台目のサモワールが届きました。以前から電気式ではない旧式の炭でお湯を沸かすものを何となく気にして探していたのですが、良いものが見つかりました。大きくて立派です。多分ほぼ使っていない状態のものできれいです。

ポットの中に炭を入れる筒があります。炭を燃やしてお湯を沸かします。涼しくなってきましたのでまずはベランダでお湯沸かしの実験をしてみようと思います。楽しみです。

100年ぶりに現れた猫科の新種ティルカヨのニュースに驚いています。イエネコだと思って拾ったネコが野生のネコでしかも新種だったなんて、そんなこともあるんですね。強い眼差しが印象に残る魅力的なネコだと思っています。

ロシア絵本を紹介しています。マーヴリナの民話集は久しぶりの入荷になります。

型押しの雄鶏の立派な姿が印象的なタチヤーナ・マーヴリナ挿し絵のこの1冊はアファナーシェフが集めたロシア民話の中から67話も収録されている分厚い本です。

マーヴリナは、ロシアの古くからの民族的な文化をとても大切に考えており、よく研究もして多数の民話の挿絵に取り組んでいますが、独特の鮮やかな色選び、大胆な筆使いと柔軟な表現で、本当にお話が生き生きと新しく生命を得て輝いて伝わってきます。マーヴリナは国際アンデルセン賞受賞画家です。

この本の挿絵はカラーで描かれていますが、各お話のタイトルは黒のペンの手描きで、それにちょっとした小さな線描きの絵がお話の最初と最後に添えられています。それがユーモアもあって素敵で楽しいです。

表紙の雄鶏は、「雄鶏と石臼」というお話の挿絵です。ロシアの民話にはよく雄鶏が出てきます。バーバヤガーの小屋も鶏の足の上に建っていて、足にケヅメという突起があるのが雄の特徴です。

Instagram、YouTubeもご覧下さい!


2026年09月19日


歩いていて金木犀の香りに気づきました。我が家の木も咲き出したところです。斑入りヤブランも咲き出しました。それにしても雨が多い秋の入口です。

今週はクニーシカの会がありました。コズリナ先生のご指導のもと『Серебряное Капыце』を読み進めて行きました。感謝。

冬の森の家でおじいさんは、鹿を狩り毛皮を蓄え肉を塩漬けにしますが、その年はたくさん獲れたので荷を運ぶ馬の為に村に帰ることになります。小屋に残された猫と6歳のダリョンカは寂しくなりますが、夜にとうとう憧れの銀の蹄を持つ特別な鹿に会うという箇所です。

о пяти ветках という表現がありました。о という前置格は「〜について」と訳すものだと思っていましたが、「〜を持つ」などの使い方もあるということを教えていただきました。これは古い表現だそうで知りませんでしたが、今でも使うとのこと、勉強になりました。この場合は5つの枝を持つという意味になります。

いよいよ次回でこのテキストは終わりそうですが、次も同じバジョーフの新しい物語を読んでゆくことになりました。この作家のテキストは難しさもありますが、それだけに理解ができた時の面白さがありますから楽しみです。

ロシア絵本、そして図鑑などを紹介しています。 『セイウチはどんな夢を見るのかな?』はパタパタとページを広げてゆくにつれて動物たちの違う姿が現われて来るのがとても楽しい絵本です。

この絵本は実際にボローニャ絵本館のお話会で読んだことがありますが、孔雀の羽根が広がったり、眠っていると思っていたライオンが大きな口を開けたり、その展開に子どもたちはとても興味を持って見てくれていました。

ソビエト時代からずっと人気の絵本だというのも納得です。
2026年09月12日
今週は実家のある福岡へ行って来ました。今回は季節は移ろい、色々な意味で歳月が過ぎゆくことをいつも以上に感じる旅になったような気がします。

今回少し歩いた天神周辺などは昔と随分変わっていて寂しさも感じましたが、だからこそ昔から変わらぬ懐かしい場所を見つけた時の嬉しさはひとしおでした。

宗像というところにある実家は、両親がリタイア後の住まいとして求めたものですが、田園風景広がる場所にあります。私はいつも家の中に入ると、その静けさに感動します。漫画で「しーん」などと書かれているのはまさにこのような状態のことをいうのだなと思うのです。本を読み、文章を書き、ものを考えることが日常だった父にはもってこいの場所だったはずです。雨上がりの庭には小さな茶色いカエル、トイレには大きな蜘蛛がいました。

現在入院中の母を見舞い、妹とはあれこれたくさん話をしました。普段はメールや電話などで連絡を取り合っていますが、実際会えば会ったで話は尽きません。お互いに歳をとったなぁと思いますが、だからこそ話せることもあったり、歳月とともに関係性も変わってゆくのも感慨深いものです。

今回は自宅用のお土産にいつもと違うものを求めました。2021年に閉店してしまった天神のロシア料理レストラン「ツンドラ」のボルシチ缶詰と冷凍ピロシキです。明太子の「ふくや」が製造方法を伝授してもらって販売していると知りました。レトルトもあります。流石に重たいので送りました。実はツンドラの実店舗に行った記憶はなく(多分)、その後福岡を離れてしまいましたけれど、昔バスでよく前を通っていましたから懐かしさはあります。いただくのが楽しみです。

帰りの福岡空港では、今回もTSUTAYA BOOKSTORE のシェアラウンジに寄って、飛行機が滑走路を離着陸するのを見ながらひととき作業をしたり、お茶を飲んだリ。

そして、帰ってきたら、東京はすっかり秋の気温で長袖の国になっていました。
2026年09月04日

今年もススキの穂が出てきました。出てきたばかりの若い穂は細くて頼りなくて、それもまた美しいなぁと眺めています。

庭にポット苗から育てて大きくなった月桂樹があります。シチューやカレーの時に葉っぱを摘んできて入れたりしているのですが、つい最近白湯に入れて飲むと血流に良いと知りました。効果のほどはわかりませんが、アロマ効果にも期待して朝の一杯をしばらく続けてみようと思います。

先週、クニーシカの会があり、コズリナ先生のご指導のもと『Серебряное Копыце』を読み進めました。感謝。主人公のダリョンカはお爺さんと森の冬の小屋に行くことになり、2人は準備を始めます。お爺さんはСухари (辞書には乾パンとあります)を荷物として橇に積みます。コズリナ先生からそれがどんな物なのか教えていただきました。

日本で乾パンと言うと防災用の硬いビスケットを思い起こしますが、この場合の乾パンは普通のパンを薄くスライスして乾かしたラスクみたいな物のことを指すと言うことでした。後日私のロシア語の先生にお聞きしたら、黒パンを賽の目に切って乾かし、オーブンで軽く焼いてお塩を振ったお母様の作る乾パンが大好きだったとのこと、確かに美味しそうです。

そしてダリョンカは布を広げて自分の荷物をまとめて縛ります。この包みのことを
Узелок と言い、ロシアでも昔は日本の風呂敷のように四角い布に何かを入れて結んだものを作って出かけたりしていたそうですが、それで思い出すのは『霧の中のハリネズミ』でしょうか。

さて、2人が出かけるにあたり、猫のムリョンカは家に置いていかれることになりますが、こっそりと着いてきてしまいます。途中犬たちに吠えられても何のその、とても行動力のある猫だと感心です。

ロシア絵本を紹介しています。その中の『スーザンと蛾』という絵本は、フランスの児童詩をコナシェーヴィチの繊細でフェミニンな魅力溢れる挿絵が彩っています。

「スーザンと蛾」という詩では、学校へいく少女が頭上の蛾に話しかけます。この少女はバラの模様のバックと多分お弁当が入った小ぶりのバスケットを持っています。道端には色とりどりの花が咲いていて、少年の姿に美しい羽根が生えたように描かれている蛾の髪はブロンドです。小指の先まで神経の行き届いた優美な表現に注目です。

「魚」という詩では、水中の魚たちのまるで人間のような暮らしぶりがユーモアたっぷりに描かれていて見飽きません。おしゃれをした奥様から自転車に乗る子どもたちまで賑やかです。水中で洗濯物を干しているという何ともシュールなおかしさに拍手です。
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2026年08月29日
コオロギが鳴き始めました。このところ災害も多く、穏やかとは言い難い夏の終わりです。

お休みの間にタカサゴユリが咲きましたと言いたいところですが、どうやらこの花の本当の名前はタカサゴユリとテッポウユリの交雑種のシンテッポウユリらしいことが分かりました。

暑さに耐えて来た私の秘密の庭の花たちは、ここに来て雨も多く朝夕凌ぎやすくなったせいでしょうか、生き生きとし出しだして嬉しいです。

少し前になりますが、宇都宮美術館で開催中の「ワシリー・カンディンスキー 世界は鳴り響く」展を見に行ってきました。緑豊かな郊外に建つ美術館のゆったりとした環境は大ぶりの作品を鑑賞するのにふさわしく、芸術とじっくり向き合う濃度濃い時間を過ごせました。

1866年モスクワで生まれ、法学と経済を学び、芸術に関心を寄せるようになり、30才で画家になるためミュンヘンに渡り、ユーゲントシュテイルの影響も受けながら生み出した初期の油彩の風景や木版画の数々など、多彩は芸術表現は「その先」に進むカンディンスキーにとってなくてはならなかった活動であることは納得ですし、内面の発露として彼が絵筆を握ったことは必然であったのだなぁと、その才能に目を見張りました。

そこから抽象への道を拓いてゆくわけですが、その礎にあるカンディンスキー第一著作『芸術における精神的なもの』の理論の中の、内的必然性に従うこと、しかも熟考した作品=コンポジションという考え方を提唱し、「青騎士」という活動も始めた時期の作品は、具象から抽象への行きつ戻りつの移行の軌跡が見てとれて大変興味深いものでした。

次のコーナーでは、日本画家たちにいかにカンディンスキーが多大な影響を与えていたことにあらためて驚かされましたし、当時の画壇で抽象絵画が大きな唸りとなっていたことがよく分かりました。

そして、次のロシア構成主義時代を経てのバウハウス時代の作品群では、幾何学性、円を取り入れた、いわゆるこれぞカンディンスキーという作品群をたくさん見ることができ、ここで私は、言葉にするのは難しいのですが、絵から音楽が聴こえてくるような感覚を得て、展覧会のテーマである「世界は鳴り響く」という概念を身をもって理解するに至ったわけですが、バウハウス閉校移行のパリでの作品では、さらにもっと音楽を感じながら作品を楽しめました。この時代の作品の中でも「活気ある安定」という作品がとても気に入ったのでしばらく椅子に座って眺めました。

解説書の中で「直観と理知との美しい矛盾」という言葉を見つけましたが、カンディンスキーが理性を持ち理論に裏付けされた抽象性という道を編み出したのは、私は彼が若い頃美術学校などで学ばなかった独学の芸術家であることが大きのではないかと思いました。自ら理論を立ててそれに即して新しい表現を開拓してゆくっていうのは特にロシアの当時の美術教育のメソッドに乗ってしまうと難しかっただろうと想像するからです。

たっぷりとした広さのある美術館だからこそ、たくさん歩きながら多くの作品に邂逅できありがたかったですし、だからこそ作品が奏でる音楽も聴けたように思います。ハードカバーの図録は一旦完売したらしく充実の内容です。カランダーシの部屋の資料本と共にページをめくり展覧会を回想します。

木々の緑が美しいレストランも素敵でした。

Instagram
https://www.instagram.com/reel/Dcn_ziKyRwX/?igsi=dWlmaXV5aXlxcjZ6















2026年08月01日
熊本で大きな地震が起きました。
お見舞いを申し上げます。
余震もある中、連日の酷暑に胸が痛みます。避難所の環境が残念過ぎます。早急に改善されるよう強く願っています。

8月です。連日の暑さに身体も頭もぼんやり気味ですが、日々乗り切って行きたいものです。カランダーシは8月10日〜23日までお休みします。ご注文は自動で受け付けています。発想は8月24日以降となります。よろしくお願いいたします。

木曜日はクニーシカの会がありました。嬉しいことに久しぶりに新しい参加者をお迎えして『Серебряное Копыце』をコズリナ先生のご指導のもと、読み進めることができました。

6歳の女の子が、不思議な銀の蹄の鹿を見たいためにおじいさんに冬の森へ連れて行ってと頼みますが、おじいさんはあれこれ理由を話して諦めさせようとします。二人の会話のやりとりが、先生の説明を聞くことでよりホットに、臨場感も伴って理解できるようになり勉強になりました。

冬の間、狩をするための森の小屋「балаган」(バラガーン)の画像を見たり、また今回は「Чур」(チュール)という言葉が印象に残りました。

これは会話の中で「いいかい?」という意味で使う言葉で、このテキストでもそのような使い方でをしていましたが、ロシアでは「悪霊退散!」的な意味でも使われていると先生から教えていただきました。

なるほど。これは覚えておいて何かの時に使いたいものです。でも、日本で「チュール」と言ったら、ねこが喜んで寄ってきてしまいますね(直)










2026年07月25日
猛暑の日々です。冷たいものばかり食べてたせいでちょっと体調を崩してしまい目下猛省中です。

今年も暑い中、ベコニアがきれいに咲いてくれてありがたいです。夏場のプランターのメインはずっとこの花でしたが、近年、あまりの猛暑のせいもあり栽培の難しさも感じて、違う花へのチェンジも検討しましたが、土作りを工夫して今年は様子を見ることに。

我が家の玄関辺りを、ごくたまにハクビシンが通過することがあるのですが、つい先日久々に出没しました。火鉢だった甕に水を張って外でメダカを飼っているのですが、その甕を覗いて立ち去る姿が防犯カメラ映像に残っていました。

ここにはやはり夜間に時折黒白模様のねこもやってきます。どちらもすぐにどこかに行ってしまいますが、一体どこに住んでいるのでしょう。そして随分昔ですが、庭にたぬきが座っているのを見かけたこともあります。

『すばらしい展覧会をつくろう』(HeHe)という絵本を読みました。別々の場所で活動する彫刻家と画家の作品が長い旅を経て美術館に到着します。美術館の専門職の人たちの働きによって展覧会の準備が始められ、オープニングを迎えます。その過程をカラフルな絵で紹介してゆく絵本です。

まず、アーティストの頭の中にあった創作のヒントがやがて形になり、唯一無二の作品になるところが丁寧に描かれています。「アーティストであるということは、目の前の世界の見かたを少し変えてみるということです」という言葉が印象に残ります。

そしてまた美術館の仕事も作品を最大限に活かして展示しようとするクリエイティビティの現場でもあることが伝わってきます。実は先週ご紹介したヴァチカン展で、私がとても興味をひかれたのは、本を展示するためにダンボール紙で作られたおそらく一つずつが手作りの陳列ベースでした。本の展示の仕方としてとても参考になりましたし、作品があるだけでは素晴らしい展覧会にはならないのだなぁと思わされたのです。この絵本を読んでそのことを思い出しました。

ロシア絵本、解説書など紹介しています。エフゲーニー・チャルーシン画の『だれが、どんなに賢いの?』はうさぎの子どもが、様々な動物たちに出会い、それぞれの能力を知ってゆくという内容です。

モグラやビーバーなど、普段あまり絵本には登場しない動物が出てきます。チャルーシンは写実的で特徴をよくとらえた動物画の第一人者ですから、その表現に注目です。

以前調べたのですが、ロシアにもヨーロッパビーバーという種類のビーバーがいて、体調100センチ、20キロくらいになるそうです。この絵本でもずんぐり大きなビーバーが登場しています。

動物がどんな姿で、どんなことをしているのか、チャルーシンの魅力あふれる絵を通して自然に知ることができる絵本です。








2026年07月18日
お天気が良い日は水遣りのために少し早起きをします。最近は、バッタやカマキリの子どもたちを見かけます。ウチの庭では年々数減ってきていますから元気でいてね、と思います。

日中は暑いですが、1階のベランダのハンギングの夏の花たち、そして毎日グングン背丈が伸びているタカサゴユリの緑を部屋の中から見て、元気をもらっています。

数年前から野原をテーマにしている場所には、今年は丈夫な日々草を中心に色々な色のお花をちょこちょこ植えて様子を見ています。草もお花もどちらも主役と考えていてだらしなくならない程度に手を入れています。私以外に人の目にはほぼ触れることのないプライベートゾーンなので「好き」を優先して勝手に楽しんでいます。このゆるい雰囲気が好みです。

飯田橋の凸版印刷博物館の「ヴァチカン教皇庁図書館Ⅲ十 名著誕生展」を見てきました。印刷博物館は久しぶりでしたけれど、レストランなどの雰囲気は変わらず、昔、勤めていた会社が近かったのでお昼休みにランチを食べに来ていたことなど懐かしく思い出しました。

ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の珠玉の8点を中心に、歴史の篩にかけられて残った「名著」と呼ばれる特別な書物が3つのコーナーに分けて展示されていました。

名著のルーツと位置付けられる偉人たちのコーナーでは、ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の書物が集中して展示してありました。一番古いものはアリストテレス『自然誌および天体論(写本)』(13〜14世紀)で、本そのものを広げた状態で見ることができるので、当時の人と同じ目線で情報を受け取るという追体験ができ、感慨深いものがあります。情報をぎっしり詰め込みながらもページデザインとしてもまとまりがあり、尚かつ優雅さもあり、後世に残る名著に相応しい品格を感じました。

次のコーナーでは近代の科学、技術、哲学の名著を見るコーナーですが、書物だけではなく、ガリレオの望遠鏡(複製)や、フックの顕微鏡、なども展示もあります。デカルトの『方法所叙説』(初版)、ダーウィン『種の起源』が並ぶ中にデュフォーによる点字本『地理学の基礎』もあり印象に残りました。そして科学、技術、印刷の発展の結実としての「百科事典」の豪華な存在感!

最後のコーナーはまさにこれもあれも名著コーナーで、詩や楽譜など芸術分野、さらには漫画、雑誌などの大衆文化にも注目した百花繚乱の展示で面白かったです。個人的には貴重なオリジナル木口木版を使った『不思議の国のアリス』を見ることができたのは嬉しいことでした。

歴史とともに印刷と紙により遺されてきた知の遺産。今後デジタル化によってどのように名著は生まれ未来に手渡されて行くのかーというまさに現代はその転換点になるわけですが、データとして残すという意味ではデジタル技術は大変有用ですが、書物という「形」が持つ意味を人類はきっと手放すことはないのではと思いますし、そう思いたいと改めて思いました。

羊皮紙サンプルに触れることができたのは良い経験でしたし、内容だけではなく、経年変色した紙、書き込みの跡、インクの滲み、人の手が触れたための変色のあとなど、古い本から放たれる様々な物質としての情報に至近距離で対峙できるのも醍醐味でした。

ロシア絵本、そして聖書など紹介しています。
中を少しですが時差がありますがInstagramやYouTubeなどで紹介しています。ご覧ください。よろしくお願いします。


2026年07月11日

晴れて暑くなった庭先で地植えの百合が咲いています。先週、鉄砲百合とこちらに書いたのですが、カサブランカですね。身長を越える高さで年々立派になっています。

まだ気温が低い時に、カランダーシのベランダの椿三姉妹を一回り大きな鉢に植え替えました。手前は初めて植えてみた八重のベコニア。花は小ぶりですが小さな薔薇のように花びらが重なって綺麗です。

今月号の『MOE』(白泉社)を買いました。それはもちろん特集が「憧れの少女漫画」で付録が大島弓子作「綿の国星」のチビ猫クリアファイルだったからですが、表紙も綺麗で眼福です。

漫画の影響を言葉にするのは難しいのですが、心の中にに大島弓子の作品はいつもずっとい続けていて、だからこそ、私は今こういうことをやっているのだとも思っています。

ということで久しぶりに『大島弓子にあこがれて』(ブックマン)でも眺めましょうかと棚から引っ張り出してきたのですが、薄桃色の背表紙が陽に焼けて白っぽくなっているのに驚き、そして少々切なくなりました。ちょっと前に購入したような感覚でしたが、奥付けで10年前に買ったとわかりました。時が経つのは存外に早いものです。

ロシア絵本を紹介しています。InstagramやYouTubeもご覧ください
『くじらが来たとき』はベルギー、オランダで出版されたものの翻訳版です。

母親が病気になり父親によりある島の海辺の祖父の家に連れてこられた「私」。少年カイと仲良くなりうさぎと遊んだりガラスの瓶に手紙を入れて海に流したりします。

そしてある時海岸に打ち上げられた鯨たちを見つけます。母親の容態は悪くなりそして…。私は海岸へ行き、鯨の背中に乗り沖へ行こうとします。

重いテーマを扱った絵本です。悲しみと不安な日々が丁寧に描かれます。そしてそのはかりしれない私の不安と悲しみに寄り添ってくれる祖父、そしてカイという少年の存在、そして父親のありよう。

絶望の底に落ちながらも生きてゆくことの尊さ…淡々とした文章表現と幻想的な絵の表現でこの絵本はそっと教えてくれます。




2026年07月04日

7月になりました。梅雨空が続く毎日です。鉢植えの百合が咲揃って良い香りを漂わせています。百合は種類も多く最近注目しています。我が家ではこれから鉄炮百合や高砂百合が咲きます。

年に一度の健康診断の帰りはお決まりのカフェ・ロシアさんへ。空腹の胃に熱々のきのことサワークリームのつぼ焼きが沁みました。ボルシチも美味しかったですし、ここはいつ来ても変わらない雰囲気でホッとします。そして今週はちょっと頭に来ることがあったのですが、近江屋洋菓子店の「もも」を食べて気持ちを立て直しました。

先週の木曜日になりますが、クニーシカの会を開催しました。『Серебряное Копытце』のお話をコズリナ先生のご指導で読み進めて行くことができました。このテキストは昔の言葉が多く、また作家独特の言葉使いもあって中々手強いです。

孤児だった女の子とひきとってくれたおじいさんとの新しい暮らしが始まります。皆日中はそれぞれの仕事をこなし、夜になるとおじいさんがお話をしてくれますが、女の子は伝説の銀の蹄を持つ鹿のことが気になって仕方ありません、という内容です。

文中にда(andなどの意)という言葉がたくさん出て来るのですが、これは19世紀あたりの特徴で、それがだんだんと時代が進むについてれиという言葉に変わってきたということだそうです。時代と共に同じ意味でも表現が変わる実例ですね。他にも古い表現が出てきますし、難しさもありますが、そういう物語を丁寧に読んでゆく面白さがあります。

ロシア絵本を紹介しています。再入荷した『アレクセイ・トルストイのお話集』には
69篇の昔話やおとぎ話が収録されています。ヤナ・セドバが描く美しい幻想的な挿絵が魅力です。

セドヴァは1985年生まれの若き実力者で国内外のコンクールの受賞歴があり、最も期待されているアーティストの1人です。

お馴染みの素朴な昔話を芸術性の高い不思議な印象を残す表現で描いており驚かされます。今みで見たことのない「おおきなかぶ」や「マーシャとくま」の挿絵にこの本で出会えます。その豊かなイマジネーションの賜物を是非じっくり味わってほしいです。

青など寒色の様々な表情が出てきます。そのひんやりとした感触が独特の世界観を伝えます。民話表現の未来を感じさせる見応えのある一冊といえるでしょう。

『森のきのこバスケット(62個のきのこ)』もご紹介していますが、実物の様子がよくわかるInstagramも是非ご覧ください(時差あり)
2026年06月27日
今週は何回か地震があり、台風のせいで雷が鳴り、そして駅前で火事騒動があり、ジシンカミナリカジオヤジのオヤジ以外の怖いものに遭遇してしまいました。

台風なので咲きだした百合を玄関に避難させました。家中が甘いいい香りに満たされています。そしていよいよ最後の紫陽花が咲きだしました。お花も葉っぱも小ぶりですが、我が家で一番大きな株です。

雨の合間を縫い、ご近所の「もりのこと」https://morinokoto.stores.jp/で開催中の矢原由布子さん原画展+村松昭さん絵地図の世界展を見てきました。

矢原さんの草花の作品は、お花の色などが濃くはっきりしていて、嫋やかでありながらイキの良い瑞々しさを感じました。手描きのお散歩日記には押し葉やイラストや細かい文字がびっしり!絵が描ける事、文字がきれいに書けることって本当に素敵なことで羨ましいと思いました。

新刊『ココロはなやぐ草花ノート』(文一総合出版)を購入しました。矢原さんの観察眼と知識と好奇心が詰まった身近な草花の素敵な「見所」が書かれているので、見過ごしがちな足元にある宝物を再発見させてくれそうです。

村松昭さんは、今まで鳥瞰絵図を50点も作っていらっしゃる鳥瞰図絵師さんですが、それが独学によるものと知り、驚きました。奥多摩、野川、高尾山、富士山…などの大きな鳥瞰絵図が広げて展示されていましたが、普通の地図を見るのとは違う「眺め」が面白く、そう、自分が空を飛んでいるみたいな視点にワクワクしてしまいました。身近な『たまがわ』(偕成社)を購入。水源地から羽田空港までの旅を空を飛んでいる気分で楽しみたいと思います。

このお二方の作品は、その内容から表現の正確さや緻密さがもちろん必要とされるものであるけれど、それだけではないそれぞれの作家らしい才能と個性と体温が伝わってくること、何よりクリエーターとしてのマジの熱量が感じられたところがとても素晴らしいと思いました。長靴を履いて出かけて良かったです。

ロシア絵本を紹介しています。その中から『バジル君の庭でー木はどうやって排泄するの?』は、バジル君の庭シリーズの中の1冊でフランスで作られた絵本の翻訳版です。
植物の不思議に興味を持ちはじめ、色々考えるバジル君にキャロットおばあさんが答えゆく形で自然の秘密を学んでゆきます。

今回はなんと木はどうやって排泄するのか?というユニークな疑問に注目したお話です。ある日、バジル君はおばあちゃんのお庭で犬のピートのウンチを踏んだと思ったら、おばあちゃんから、それはハリネズミのウンチだと教えられます。バジル君はハリネズミがウンチをすることを知りませんでしたからびっくりして、そこから他の生き物、さらには木もウンチをするのか疑問を持つのです。

この絵本では木は取り込んだ物質中の利用できない物質や害になる物質を、蓄えたり排出したりしている仕組みを説明しています。同じ理論でオナラもしていると教えます。

人間も木もいらないものは体外に排出しているんだよ、ということですね。動物と植物と並列に考えるというところがユニークですね。という、とても科学的で少し難しい内容とも言えますが、絵を見るとバジル君は素朴な愛らしさ満開の小さな男の子ですし、キャロットおばあさんは緑のブーツにボブカットのおしゃれさんで親近感がわきますから堅苦しさはなく、それに季節の花や実が描かれたお庭がとても魅力的で見ているだけで楽しくなってしまうわけです。(楽しみながら一緒に自然の不思議を知るこのシリーズの他の本も読んでみたくなりました)(直)

2026年06月21日

半夏生の花が咲き、小さな鉢の梅も実も熟してきました。紫陽花とアナベルが通路を塞ぐ梅雨最中、今年も夏至がやってきました。

滝野川の小学校の火事は衝撃でしたが、怪我はあったものの無事だったことに安堵するとともに咄嗟に冷静に命を守る行動が自分にできるのかということを考えさせられています。というのも先日地震があり、カランダーシの部屋にいた私は、結構長く揺れたのでどうしたらいいのかちょっとオロオロしてしまったわけです。

予約していた『すみれのさとうづけ』が絵本のセレクトショップ「絵本の小径」さんhttps://ecomichi.base.shop/から届きました。文章の石井睦美さんと絵のKrimgenさんのサイン入りです。優しい気持ち溢れる素敵なお話と温かで愛らしい絵に、思わずニコニコしてしまいました。すみれのさとうづけの作り方も載っています。そして裏表紙の情景がまた良くて…

ロシア絵本を紹介しています。InstagramやYouTubeでも時差がありますが中を少しだけお見せしています。

その中から、サンクトペテルブルク在住で、1979年生まれのねこを描く画家として人気のマリヤ・パブロワ画の『ねこについてーロシア詩人たちの詩による』は、芸術的で美しい珠玉のねこ鑑賞絵本です。ダニイル・ハルムス、ユンナ・モーリツ、イワン・ブーニン、などのねこについての詩とパブロワの油彩で描かれた優美なねこたちのコラボレーション。

言葉の煌めきは絵画のねこたちをさらに輝かせる力を持っていますが、ねこたちはそんなことにはお構いなく、ただ明度の高いサンクトの陽射しの中で自由に自分たちの人生を生きているだけという表情を見せています。

拙著『ロシア絵本的日常ーねこめくるめく』でもご紹介させていただいたのですが、サンクトは歴史ある街並みが魅力ですが、ねこの街としても有名です。パブロワは、そのサンクトのクラシカルな雰囲気の中で暮らすねこたちのあまりにねこらしい姿の描写が魅力の画家で、人々の暮らしと共にあるねこへの愛情とそして尊敬とが伝わってきます。

ただ、ねこへの深い愛情を持っているからこそ感じてしまう「種」の違いによる距離感というものもパブロワは描いているのだなと個人的には思っています。じっと見つめ合っても、美しい瞳の奥にあるものは永遠に謎だと気付かされてしまいますから、見ているうちにちょっとだけ切なくもなってきます(個人の感想です)

さて、前述の命を守る行動についてですが、一人暮らしをしている娘が飼っているまだ生後半年にも満たない子ねこが、地震の時、抱いていた娘の腕を振り解き、ソファーの下に逃げていったと聞きました。人間の腕の中よりもソファーの下が安全だと、誰にも教わらずに咄嗟に判断できる能力が小さなねこにもあるわけで感心させられました。このこと以降、敬意を表してこのねこの名前に先輩をつけて呼ぶことにしています(直)

2026年06月13日

梅雨らしい日が続いています。家の壁際の片隅の擬宝珠が今年も花を咲かせ始めました。決して条件の良い場所ではないので申し訳ないと思っていますが少しずつ株が大きくもなっています。

申し訳ないと言えば、今年もアイビーを植えているハンギングの鉢で捩花が一つだけ健気に花を咲かせました。昔は地面で咲いているのを見かけていましたが、工事などを経てその場所もなくなり、絶滅してしまったかと思っていたのですが、どうやらこの鉢に種が飛んでいたらしく、ひと株だけ生き残っているのです。

この鉢にはいつの間にかスミレの株もいくつか定着していて春に花を咲かせます。昔の庭の記憶を凝縮したような不思議な寄せ植えです。ギュウギュウ狭くて申し訳なく思ってもいるのですが植え替えが上手くいくのか自信もなく見守っています。

近江屋さんのさくらんぼのタルトをいただきました。前回、いちごのケーキをいただいた時は中東関連で箱の絵の印刷はなかったのですが、復活したようです。

先週、クニーシカの会の講師をしていただいているナディア・コズリナさんの公開講義が早稲田大学でありましたので行ってきました。テーマは「ソ連におけるパフォーマンス・アートー鉄のカーテン崩壊前に開かれたもうひとつの現実」というものでした。

1930年代後半以降、社会主義リアリズム以外の表現が禁じられアーティストたちは芸術家同盟に登録しないと絵具も与えられないし美術展を開くこともできない状態でした。そんな中で、限られた人たちにしか届かないし絵画や彫刻のように後世には残らないけれど、パフォーマンスという表現方法でアクションを起こす芸術家たちがいたこと、そしてその具体例について紹介と説明がありました。

1974年有志により開催された野外展示会が当局によりブルドーザーで破壊された事件は世界にも報道され衝撃を与えましたが、そういう時代にあって、行動するアーティストたちはグループを作り、家の中に巣を作り巣篭もりをしてみたり、地球の反対側に向かって穴を掘ったり、森に出かけて謎の遊びをしたり、突如プラカードを掲げてみたり、演奏会の舞台に馬を連れてきたり…多様な実践を繰り広げたのです。

これらの試みは儚い試みであったのでしょうか。ある人々たちからすれば、一見それらはあたかも何もなかったかのように見えるかもしれませんが、彼らは閉塞の中で芸術の新しいあり方を提示しましたし、何よりも創造を諦めなかったという事実が私は大切だと思っています。彼らが残した波動の軌跡は多くの示唆を含んでいますし、アートとは何かという問いも含めて今後も意識してゆきたいです。

ロシア絵本を紹介しています。コナシェーヴィチ画『マルシャーク作品集ーこどもたちへ』について下記商品紹介文です。InstagramやYouTubeで時差がありますが、中身も少しご紹介しています。

アヴァンギャルド絵本の時代から1959年までのマルシャークとのコンビで作られた作品集です。
コナシェーヴィチは1888年生まれ。レーベデフと共にロシア絵本の黄金期のダブルセンターをつとめた画家です。ビリービンと同じく「芸術世界派」出身で、こどもはリアリストであるとの見解から、正確でディティールにこだわりながらもわかりやすさに注力し、ストーリー展開を映画に参考にするなど絵本の革命を推し進めてゆきました。

やがて表現の世界は暗い雲に覆われてゆき、仲間たちや芸術家たちの悲劇や苦悶を目の当たりにします。その時代の真っ只中にありながら、こどもたちには楽しく明るい世界を届けようとマルシャークと共に真摯に取り組んだ作品の数々が網羅された作品集です。
代表作『火事』や珍しい日本を舞台にした作品なども収録。


2026年06月06日

6月。雨の季節が始まりました。いきなり台風が来て近所の川の増水がテレビで取り沙汰されるなど波乱の幕開けですが、それはそれとして今年も無事にささまさんの紫陽花をいただけました。

台風が来る前の月曜日に、八ヶ岳の絵本美術館に「アルプスが生んだ絵本画家・エルンストクライドルフの世界展」に行ってきました。Instagramもご覧くださいhttps://instagram.com/p/DZNLWjVSwwx/?utm_source=qr

クライドルフの展覧会はBunkamuraで開催されてものを見たのが14年前になりますし、絵本美術館に行くのは7年ぶりとなります。この季節に行くのは初めてなのでそれも楽しみに出かけました。

カッコウが鳴く声を聞きながら、青葉の小径を歩き階段を登り美術館のポーチに着いた時、ああ、そうそう、ここで靴を脱ぐんだったと思い出したり、元気でまた来ることができて良かったなぁなんて思ったり。

今回は、静かな環境の中、クライドルフの作品と資料など150点の展示品をそれこそ間近で心ゆくまで見ることができてありがたかったですし、リトグラフの技術や、浮世絵との対比など学びも得られましたし、大変贅沢な時間を過ごすことができました。

クライドルフは、三鷹台にあったビーラビッツの店主の熊谷さんから教えていただいたのですが、擬人化したお花など美しく繊細で柔らかい絵柄と、その密やかで愛すべきお話の世界観に魅かれ好きになりました。『ふゆのおはなし』は心の宝物ですから、初版刷り出し作品と同じ空間にいられるだけで幸せなことでした。

絵を見た後は、テラスでお茶を飲みながら、しばらく梢をわたる風の音を聞いていました。色々な鳥の声も。

広々

とした原村の景色や、お昼に寄ったレストランのお庭やあちこちで見かけたお花たちにクライドルフの絵本のイメージを重ねてみたり、八ヶ岳の自然も楽しみながらのありがたい初夏の1日でした(直)
2026年05月30日

緑濃くなってきた庭に白いアナベルが映えます。薄紫の八重の額紫陽花もきれいです。今年も暑くなってきたので朝早い時間の水遣り習慣が始まりました。良い習慣とも言えるのですが、寝ぼけ気味なので躓いたりしないように、慌てない、走らないが鉄則です。

さて、先週の「かこさとしの科学絵本展」について追記です。かこさんはソビエト時代の子供向け雑誌を20年間にわたりお茶の水の書店を通じて定期購読しており、感心されていたということ、そしてその雑誌で見たマトリョーシカの絵物語にヒントを得てだるまちゃんが誕生したを知っておりましたから、展覧会のかこさんのパネルのお部屋の展示のどこかに当時の雑誌が紛れてないかなぁと期待して探しましたが残念ながら見つけることはできませんでした。

カランダーシの部屋にも資料としてかこさんが読んでいた簡素な作りの当時の雑誌と立派な復刻版があります。子どもを楽しませたい!という作り手の熱意伝わるとても素敵でユーモア溢れる内容なのでかこさんもきっと面白がったに違いないと確信できますし、色々なヒントを得られたのではと思います。興味のある方は是非オープンルームでご覧ください。


今週、タイトルを知っていて、ストーリーも大体知っていて、原画も見たことがあるのに、ご縁がなくて?絵本を見たことがなかったナタリー・パラン画の『バーバ・ヤガー』(福音館)を入手しました。

ナタリー・パランは1897年生まれのロシア人ですが、モスクワで構成主義など前衛的美術教育を受け、その後フランス人と結婚して渡仏してカストール文庫で絵本の仕事を始め、ロシアアヴァンギャルド絵本の流れを海外で開花させます。

お話は継母にバーバ・ヤガー(森に住む妖怪お婆さん)のところへ行くよう言われた女の子が、親戚のおばさんに教わった脱出方法を駆使して無事に帰ってくるというものですが、バーバ・ヤガーの家の労働環境がブラックだったことも暴かれて面白いお話です。

色味を絞ったシンプルで親しみやすい図柄と大胆な構図は、視覚的にとてもわかりやすく小さな子どものことをよく考えられて作られていることが伝わってきますし、なんて素晴らしい絵本だと今更ながら驚嘆した次第です。扉絵の民族衣装を着た女の子たちの可愛らしいこと!

で、実は今回ちょっと調べてみてわかったのですが、名前のロシア語の名前の表記がПарэнとなっており、ロシア語の読み方としてはパランではなくパレンということ。フランス語的にはパランなので、日本でもパランなのでしょう。

カランダーシではチェーホフ作の『カシタンカ』を扱っています。こちらの挿絵はシンプルながら陰影があり、物語の内容と呼応し合い余韻が残る味わいがあります。こちらもフランスで作られたものですが、異国でバーバ・ヤガーやチェーホフの本を作るパランに祖国への愛を感じます。

ロシア絵本を紹介しています。『エルミタージュ美術館の全て』はその歴史や、驚くべき収蔵品である孔雀時計や空中庭園、騎士の間などについて、そしてねこがなぜ飼われているのかなどについても知ることができる絵本です。








2026年05月23日
夏のように暑い日が続いたかと思えば、急に気温が下がり困惑の日々です。雨が降り紫陽花がだんだん本気を出し始めてきました。

国立科学博物館で開催中の「かこさとしの科学絵本展」に行きました。人の少ない平日を狙って行ったつもりが、ちょうど博物館の日ということで入場無料だったため結構な人手でした。

だるまちゃんと絵本の大きなパネルに迎えられ、かこさんの仕事部屋にワクワクしながら迷い込み、年表を見ながらかこさんの足跡を確かめ、そして『かわ』(福音館書店)を皮切りに『海』『地球』『宇宙』『人間』などの科学絵本を科博研究員の尊敬と親しみのこもった解説とともに楽しみ、生物進化を表現しようとした生命図譜の壮大で緻密な描き込みに息を呑み…かこさんの科学教育への情熱と信念がひしひしと伝わってくる見応えある展示でした。

『かこさとしの科学絵本』(主婦の友社)を購入しました。かこさんの科学絵本に対する考え方がよく伝わってくる内容でしたが、知識偏重とは異なる「かしこくなる」ことの大切さについて、かこさんは「民主主義は、その構成員が衆愚である場合悪平等の社会を現出し、やがて破滅の道をたどります」という言葉で説いています。科学の世界の入り口として、興味を促し、好奇心を育む絵本の役割は大きいと感じました。

図書コーナーでは、科博研究員が選んだ科学絵本が並んでおり『わいわいきのこのおいわいかい』も並んでいました。擬人化しているもののきのこ描写が正確で科学的にも認められたマーヴリナの画力!は本当に素晴らしいのだと改めて思ったことでした。

今週はクニーシカの会(指導ナディア・コズリナ先生)があり『СЕРЕБРЯНОЕ КОПЫЦЕ』を皆で読み進めました。ウラル地方のお話で鉱物が取れる村のお話です。一人暮らしのおじいさんが孤児の女の子を引き取ろうとその子を預かっている大所帯の家に行きます。

その女の子を指す言葉でПОДАРЁНКАという言葉が出てくるのですが辞書にはありません。ПОДАРОК(贈り物)という言葉がベースにあるので、参加者の方から貰いっ子という言葉の提案があり、なるほどと思いました。またТЫ(君=対等、目下に使う)という言葉を女の子がおじいさんに対して使っている違和感ついて質問したところ、昔、田舎ではВЫ(あなた=目上や複数に使う)という言葉は王様が来ても使わなかったと教えていただき驚きました。人間同士の距離感がとても近かったからだそうです。当時の相続の話なども教えて頂き色々勉強になりました。

ロシア&エストニアの絵本をご紹介しています。時差がありますがInstagramやYouTubeなどで中も少しご覧いただけます。よろしくお願いします(直)



2026年05月16日

我が家のバラはほぼ終わりましたが、アンジェラはまだ散らずにいて黄色いバラはこれからです。今年は塀際のクリーピングタイムがたくさん花をつけました。ヤマボウシの花が涼やかです。


日曜日はちひろ美術館「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展「ちひろ いつもとなりにー子どもと動物」展が最終日だったので行ってきました。

親子連れで賑っていた民話の世界の展示室は、絵を見るだけでなく、絵本もたくさん置いてあるので、子どもたちはもちろん大人たちもゆっくりと民話の世界に浸れるところがとてもいいなぁとあらためて思いました。

そしてロシア絵本の歴史がわかる展示もあったことはとても意義深いことでした。SNSでも発信されていましたが、国家や政治と芸術文化との関係を知ることはロシア絵本理解のためだけではなく、今とても大切なことだと思うからです。



いわさきちひろさんの絵の展示では、『つるのおんがえし』の表紙が懐かしく、子ども時代に美しいと思った気持ちが蘇ります。今回は図書館にも寄ったのですが、窓辺にはお話の世界そのままの何とも微笑ましいてぶくろのオブジェが飾られていました。嬉しいことに書棚に『うさぎのいえ』も並んでいました。

この展覧会が始まった頃は、美術館のお庭はまだ冬景色でしたし、コートを着て出かけていましたが、最終日には緑陰を初夏の風が通り抜け、白いバラを揺らすほど季節が進んでいました。期間中、想像以上にたくさんの来館者があったとお聞きしました。『てぶくろ』という1冊の絵本が持つ力、温かさ、そしてメッセージの大きさと深さは偉大ですね。

その『てぶくろ』のお話のように私たちは、ちひろ美術館という「てぶくろ」に呼び寄せられ、どんどん集まり、中に入れてもらって素敵な時間を過ごし、ありがたいことに一度家に帰ってもまた訪れることもできましたけれど、お話に終わりがあるように、展覧会も終わってしまいました。

でも、散り散りになった私たちは、きっと「てぶくろ」の中にいた温かいひとときのことを忘れないでしょうし、またいつの日か呼び寄せられたらきっと集まることでしょう。雨の日でも。雪の日でも。ですから、その日まで元気でいることにしましょう。感謝。

ロシア絵本を紹介しています。ラチョフの民話集ももちろんですが,ヴェラ・パヴロヴァ(1952-2015)の『ロシア民話集 きつねとつる』にも是非注目してほしいです。私が勝手にネオ・フォークロアと呼んでいる流れを汲むアーティストです。ラチョフの表現との見比べなども面白いです。
以下、以前書いた紹介文です。


「懐かしくて新しい昔話の挿絵の世界…色調を抑えた芸術的で美しい挿絵は独創的で不思議な魅力に満ち溢れている。大胆で斬新な構図が細かい丁寧な描き込みにより説得性を持ち、宗教画のような崇高ささえ醸し出している。ルボークを彷彿とさせるような懐かしさと、豊かな感性と。でも懐かしいけれど古くはない。奇妙で謎めいていて目が離せない」(直)






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