美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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ロシア絵本的日常【ダイアリー】:2010
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2026年05月23日
夏のように暑い日が続いたかと思えば、急に気温が下がり困惑の日々です。雨が降り紫陽花がだんだん本気を出し始めてきました。

国立科学博物館で開催中の「かこさとしの科学絵本展」に行きました。人の少ない平日を狙って行ったつもりが、ちょうど博物館の日ということで入場無料だったため結構な人手でした。

だるまちゃんと絵本の大きなパネルに迎えられ、かこさんの仕事部屋にワクワクしながら迷い込み、年表を見ながらかこさんの足跡を確かめ、そして『かわ』(福音館書店)を皮切りに『海』『地球』『宇宙』『人間』などの科学絵本を科博研究員の尊敬と親しみのこもった解説とともに楽しみ、生物進化を表現しようとした生命図譜の壮大で緻密な描き込みに息を呑み…かこさんの科学教育への情熱と信念がひしひしと伝わってくる見応えある展示でした。

『かこさとしの科学絵本』(主婦の友社)を購入しました。かこさんの科学絵本に対する考え方がよく伝わってくる内容でしたが、知識偏重とは異なる「かしこくなる」ことの大切さについて、かこさんは「民主主義は、その構成員が衆愚である場合悪平等の社会を現出し、やがて破滅の道をたどります」という言葉で説いています。科学の世界の入り口として、興味を促し、好奇心を育む絵本の役割は大きいと感じました。

図書コーナーでは、科博研究員が選んだ科学絵本が並んでおり『わいわいきのこのおいわいかい』も並んでいました。擬人化しているもののきのこ描写が正確で科学的にも認められたマーヴリナの画力!は本当に素晴らしいのだと改めて思ったことでした。

今週はクニーシカの会(指導ナディア・コズリナ先生)があり『СЕРЕБРЯНОЕ КОПЫЦЕ』を皆で読み進めました。ウラル地方のお話で鉱物が取れる村のお話です。一人暮らしのおじいさんが孤児の女の子を引き取ろうとその子を預かっている大所帯の家に行きます。

その女の子を指す言葉でПОДАРЁНКАという言葉が出てくるのですが辞書にはありません。ПОДАРОК(贈り物)という言葉がベースにあるので、参加者の方から貰いっ子という言葉の提案があり、なるほどと思いました。またТЫ(君=対等、目下に使う)という言葉を女の子がおじいさんに対して使っている違和感ついて質問したところ、昔、田舎ではВЫ(あなた=目上や複数に使う)という言葉は王様が来ても使わなかったと教えていただき驚きました。人間同士の距離感がとても近かったからだそうです。当時の相続の話なども教えて頂き色々勉強になりました。

ロシア&エストニアの絵本をご紹介しています。時差がありますがInstagramやYouTubeなどで中も少しご覧いただけます。よろしくお願いします(直)



2026年05月16日

我が家のバラはほぼ終わりましたが、アンジェラはまだ散らずにいて黄色いバラはこれからです。今年は塀際のクリーピングタイムがたくさん花をつけました。ヤマボウシの花が涼やかです。


日曜日はちひろ美術館「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展「ちひろ いつもとなりにー子どもと動物」展が最終日だったので行ってきました。

親子連れで賑っていた民話の世界の展示室は、絵を見るだけでなく、絵本もたくさん置いてあるので、子どもたちはもちろん大人たちもゆっくりと民話の世界に浸れるところがとてもいいなぁとあらためて思いました。

そしてロシア絵本の歴史がわかる展示もあったことはとても意義深いことでした。SNSでも発信されていましたが、国家や政治と芸術文化との関係を知ることはロシア絵本理解のためだけではなく、今とても大切なことだと思うからです。



いわさきちひろさんの絵の展示では、『つるのおんがえし』の表紙が懐かしく、子ども時代に美しいと思った気持ちが蘇ります。今回は図書館にも寄ったのですが、窓辺にはお話の世界そのままの何とも微笑ましいてぶくろのオブジェが飾られていました。嬉しいことに書棚に『うさぎのいえ』も並んでいました。

この展覧会が始まった頃は、美術館のお庭はまだ冬景色でしたし、コートを着て出かけていましたが、最終日には緑陰を初夏の風が通り抜け、白いバラを揺らすほど季節が進んでいました。期間中、想像以上にたくさんの来館者があったとお聞きしました。『てぶくろ』という1冊の絵本が持つ力、温かさ、そしてメッセージの大きさと深さは偉大ですね。

その『てぶくろ』のお話のように私たちは、ちひろ美術館という「てぶくろ」に呼び寄せられ、どんどん集まり、中に入れてもらって素敵な時間を過ごし、ありがたいことに一度家に帰ってもまた訪れることもできましたけれど、お話に終わりがあるように、展覧会も終わってしまいました。

でも、散り散りになった私たちは、きっと「てぶくろ」の中にいた温かいひとときのことを忘れないでしょうし、またいつの日か呼び寄せられたらきっと集まることでしょう。雨の日でも。雪の日でも。ですから、その日まで元気でいることにしましょう。感謝。

ロシア絵本を紹介しています。ラチョフの民話集ももちろんですが,ヴェラ・パヴロヴァ(1952-2015)の『ロシア民話集 きつねとつる』にも是非注目してほしいです。私が勝手にネオ・フォークロアと呼んでいる流れを汲むアーティストです。ラチョフの表現との見比べなども面白いです。
以下、以前書いた紹介文です。


「懐かしくて新しい昔話の挿絵の世界…色調を抑えた芸術的で美しい挿絵は独創的で不思議な魅力に満ち溢れている。大胆で斬新な構図が細かい丁寧な描き込みにより説得性を持ち、宗教画のような崇高ささえ醸し出している。ルボークを彷彿とさせるような懐かしさと、豊かな感性と。でも懐かしいけれど古くはない。奇妙で謎めいていて目が離せない」(直)






2026年05月09日

庭のバラは今年は一斉に咲き出して、いつもは一番乗りのアンネのバラもみんなと一緒のタイミングです。今年はエゴノキがたくさん花をつけてくれました。そして、ビオラたちは徒長してくったりしてきたのでそろそろ植替えのタイミングです。

5/4はビックサイトで開催された文学フリマ東京42に参加しました。おかげ様で新刊『ロシア絵本的日常ーねこ めくるめく』をたくさんの方々に連れて帰っていただくことができました。前回は完売したので今回は多めに準備してゆき良かったです。こちらはこのサイトで販売開始しますので、よろしくお願いいたします。また、ポストカードやピンバッチも好評でした。

一方『ロシア絵本的日常ーそんな甘い話なわけはないでしょう?』は2版分が全部売れしていました。準備が間に合わずお求めご希望の方にはご迷惑をおかけいたしました。こちらは3版発行をします。

初めてお会いする方が多い中、前回のフリマぶりにお会いする方や、オープンルームに来てくださっていた方々や絵本を購入してくださっている方々が来てくださったりは、本当にありがたいことでした。また、ロシアの方たちと本についてお話をさせていただいたり、ロシア文学に熱心な学生の方ともたくさんお話しさせていただいたり…普段はお会いできない方たちと触れ合うことができたことは得難い経験でした。

ちひろ美術館・東京で行われている「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界展」はいよいよ明日10日までの開催です。今週お邪魔した時にもたくさんの人たちがいらっしゃいましたしたが、連休中はかなりの人手だったようです。最終日はまた出かけて作品を目に焼き付ける予定です。

国立科学博物館で開催中の「かこさとしの科学絵本展」https://www.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00001839.htmlの科学絵本の図書館コーナーで『わいわいきのこのおいわいかい』が展示されています。
https://www.kahaku.go.jp/plan/2026/03kakosatoshi/artwork.pdf
私も近々行く予定です。行かれた方は是非ご覧ください。






2026年04月25日
カランダーシは4月29日から5月6日までお休みいたします。ご注文は自動受付します。発送は7日以降となります。よろしくお願いします。

寒かったり、暑かったりで振り回されますが、薔薇や紫蘭が咲き出しました。貧乏草とも言われますが、春紫苑の花も繊細で美しいと思って眺めています。

5/4(祝)東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京42に参加します。
・出店名: カランダーシ
 ・ブース: ち-16 (南3-4ホール)
  https://bunfree.net

ということで、ここのところ必死で出品する本を作っていたのですが、何とか出来上がりました。タイトルは『ロシア絵本的日常ーねこ めくるめく』です。

フリマ当日のお取置きを承ります。ご希望の方は「お問い合わせ」にてご連絡ください。よろしくお願いいたします。

ロシア絵本の「ねこ」にフォーカスした一冊です。
カランダーシの取り扱い絵本や資料絵本の中の「ねこ」の表現を見つめ、ロシアと「ねこ」の関わり方を紐解いています。読み物として、またロシアねこ絵本案内としても楽しんでいただければ幸いです。

InstagramやYouTubeで中身を少しお見せしますのでご覧ください(時差あり)

ロシアとねこのこと、ロシア絵本の表現とねこについて、とにかくロシア絵本を紹介しながらあれこれ書き綴りました。日本とはまた違う人々とねことの文化を絵本の表現を通して感じていただければ嬉しいです。

ねことロシアの関係は調べてみると興味深いものでしたからそこはきちんとお伝えしながら、なるべくたくさんのねこを表現した絵本も紹介したい!という思いも強いのですが、作業スピードは思うに任せず、途中で途方に暮れながらも何とか作り終えた感じです。

昨年秋に発作的!に『ロシア絵本的日常-そんな甘い話なわけはないでしょう?』を作った時は、半年たたずに書き下ろしでまた一冊作るなんて思ってもいませんでした。本当に自分で自分が面白いです。

文学フリマは、ありとあらゆるジャンルの方々が、自分で「文学」と信じるものを並べて売る催し(お祭り)です。今回は4082のブースが並ぶそうです。カランダーシは試し読みコーナーの近くです。お時間ありましたら、是非遊びにいらしてください!

気楽に楽しんんでいただける内容です。よろしくお願いします!(直)




2026年04月13日

急に暑くなり困惑です。庭のハナニラはだんだん勢いがなくなり、シラーや紫蘭が咲きだします。もうバラには蕾がついていますし、どんどん雑草も生えてきて、木々もどんどん芽吹いて葉を広げ、もう初夏の風情になってきました。

閉店した神楽坂の紀の善さんが経営者が代わりまたオープンしていたのを最近知り、久しぶりに抹茶ババロアを求めました。個人的には以前のものと特にババロアはちょっとだけ違うように感じましたが、懐かしく嬉しいことでした。

5/4(祝)東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京42に参加します。
出店名: カランダーシ
よろしくお願いします。


ちひろ美術館で開催中「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展講演会・松本猛氏による「ラチョフと絵本『てぶくろ』の魅力」をオープンルームだったため、オンラインで拝聴しました。

まず、『てぶくろ』の原画をモスクワのラチョフの元から入手する経緯など当時のロシアの様子がよく分かる臨場感のあるお話でしたし原画の価値についてのお話も興味深いものでした。

また、『てぶくろ』を見ている視点や時間の経過、対象物の向き、ページの配置、大きさの対比などなどに注目して解説してくださり、小さなてぶくろにどんどん動物がはいっていく不思議が成立する謎について貴重なお話を伺いました。この絵本の作り手としてのラチョフの手腕の凄さ=企みについて具体的には考えてこなかったので「不思議であればあるほど絵はリアルであることが大事」との言葉と共に、良き学びを得ることができました。

読者に想像させる大切さについてのお話がありました。個人的には、雪の日の設定というのも大きいと思いました。雪景色ですから、見える具体物があまりたくさんない、しかも視界を遮る雪がずっと降っているわけです。注意が登場動物に集中しますし、ページの白い部分が全て雪だというイマジネーションで、次のページの白い部分と自然とつながってゆきます。

お話を聞きながら、愛され続ける優れた絵本にはやはり理由と奥行きがあるものだとあらためて思ったことでした。私にとってはかなり久しぶりの絵本に関する講演会でした。様々な知見を得られましたし、絵本を知るためのアプローチの仕方や分析方法についてもっと学びたいと思いました。感謝。

ここからは全くの余談です。
講演会の中で絵本の中で動物に服を着せることは社会的な存在に見えるという言葉がありましたが、それを受けて思ったことです。かつて、うちで飼っていた犬(シェルティ、服を着せてはなかった)が、外でよく会う同じ犬種の子が服を着せられているのを初めて見た時、何かショックを受けたような表情の後「いいなぁ」という顔をしたのです(と私は感じました)

後日、着古したトレーナーを着せたら、とてもとても喜んだわけですが、彼にしてみると服を着るのはもしかして、人間と同じになれるとどこか無意識に思っていて(もちろん社会的な存在になるなどという考えはないのですが)なぜ自分は服を着ていないのだろうと常日頃不満に思っていたのかな、ふと思ったりしました。
もっとお洋服を着せてあげればよかったです。
2026年04月05日
今年は桜が咲いたと思ったら雨ばかり。おまけに強い風も吹いて花は散るばかり。季節はどんどん進んでゆきますね。

庭はハナニラが咲き揃いビオラと春の競演です。小さな野原の庭の方はもうすっかり草の緑に覆われています。

カランダーシの部屋のベランダのオーニングが経年劣化で破れ始め難破船の幌のようにボロボロなってきたので新しいものと交換しました。今度は何年くらい持つかしら。


5/4(祝)東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京42に参加します。
出店名: カランダーシ
 ブース: ち-16 (南3-4ホール)
目下絵本にまみれ、資料にまみれながら『ロシア絵本的日常』の新作をまだまだ制作中です。ということで再び無印のノートが大活躍しています。
https://bunfree.net

この作業の流れで1900年代初頭の絵本のことについて『 ロシアの子どもの絵本1900-1941 』を見ていたのですが、ビリービン以降アヴァンギャルド絵本の誕生まで出版されていた絵本でナールブトやベヌアは知っていたけれど、他はあまり知らないというか関心を持ってこなかったのですが、結構バラエティに富んでいて面白いなぁと思いました。そしてアヴァンギャルド絵本との表現の落差にただただ驚嘆するばかりです。

ロシア絵本を紹介しています。
マーヴリナの絵本は3つのお話が収録されています。ちひろ美術館で開催されている「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展に行った方々からマーヴリナの絵のパワーが凄かったという話を聞きますが、この絵本もまたはち切れんばかりのエネルギーが満ち満ちています。

色々な魅力が詰まった絵本ですが、大胆なページデザインとページ割は特筆すべきでしょう。文字ページと挿絵ページを分け、絵のページはどーんと見開きを使って迫力ある表現で読者を驚かせます。文字ページも活字部分を取り囲むように絵や文字が描き込まれて飽きさせません。こういう絵本の作り方は珍しいです。

絵の魅力は言うに及ばずですが、特にこの絵本では、明るい色彩使いにおける黒の使い方が効いてるなぁと感じます。輪郭線の強弱、濃い薄い、太い細い、掠れ滲みなど表情豊かな黒使いが巧みだなぁと感心させられます。

マーヴリナのえの魅力はその絵が放つスピード感にもあると私は思っているのですが、この絵本ではそれを特に感じます。戸惑うことなく絵筆が動き、跳ね、次々と絵が出来上がっていく速さが「勢い」としてこちらに伝わってくるのです。

もしかするとマーヴリナは絵描きうたのようにお話をしながら絵を描いているのではないかと思ったりもします。

考えてみたら、お話が始まったら途中で止まることはありません。言葉はつながれてどんどん次から次へとと進んでゆくのですから、そもそも絵が「止まって」いてはおかしい、とも言えるのではないでしょうか。

ということで絵を動かしたのはアニメーションという発明ですが、マーヴリナは絵にスピード感を持たせることで、止まってるけど動いている絵を描こうとしていたのではないか、そんな風にも思ってしまいます。

あと、絵に文字をたくさん描き入れていますが、これは読者がそれを読むということは、マーヴリナの手描き文字を一文字目からからなぞることですから、それにより読者自身とその言葉を通してある意味時空を超えて交流することにもなると思いますし、読むという行為も途中で後戻りもできない時間の流れが生じますから、このことも、止まっている絵だけど、前に進む動きを内包させようとするマーヴリナの企みなのかしらと思ったりもしています。(直)







2026年03月29日

遅咲きの絵日傘という椿が今年も咲きました。この椿は咲くというよりほどけるという感じでゆっくり花が開いてゆきます。とても美しいと思います。

この2日間くらいで、こんな所で?という場所ですみれが咲き出し、申し合わせたかのようにあちこちのムスカリの花芽が顔を出し始め、ハナニラがどんどんどん咲いています。

春らしいおやつ、いちごシャンデをいただきました。ずっとシャンテと思っていたのですが、この春、シャンデが正解と知りました。シャンテの方が可愛いのに。

5/4文学フリマ42回東京に参加します。新しい本をそこでお披露目する予定です。実はまだまだ制作半ばで今回は完全全部書き下ろしの上、図版沢山でもあり、デザイン含めて目下おおいに悪戦苦闘中です。間に合うよう頑張ります。『ロシア絵本的日常-そんな甘い話なわけはないでしょう?』はおかげさまで2刷もだんだん残り少なくなってきました。感謝です。

少し前、カランダーシで長い間扱ってきた『 木の絵本』という絵本のテキストを翻訳してみました。随分前にざっくりと訳してはいたのですが、見直しました。そして、あらためて木と小さな生き物たちとの関わり合いがよく描かれている素敵な本だと思いました。

ということで次のお話会で読めたらなぁなどと考えています。カランダーシでは品切れになりましたが、また入手できるようなら仕入れたい絵本です。こういう絵本と出合えてみなさんにご紹介できることが私の喜びでもあり、ありがたいことなのだなぁと思うなどもして。

さて、そんな日々の中、ご縁があって目黒川沿いにお花見に行きました。桜を楽しみながら、雪洞を眺めたり、たくさんたくさん歩きました。途中、桜の木の根元に大きな青大将がいました。普段なら悲鳴をあげているはずですが、どういうわけか怖いと思わなかったのは不思議なことでした。




2026年03月21日

春分の日は冷たい雨。また冬のコートを纏って郊外まで墓参りに行きました。芽吹きを待つ静かな丘陵の景に名残の椿が色を差していました。

あちこちで雪柳が綺麗でした。来週あたりは桜が主役になるでしょう。お花の季節到来です。私の庭のフリフリのビオラも本気を出してきました。

ちひろ美術館・東京では現在「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界展」開催中ですが、それに合わせた美術館のテーマブックブログ「ラチョフと東スラヴの民話絵本」にてカランダーシ刊『わいわいきのこのおいわいかい』もご紹介いただきました。感謝です!スラヴの物語の世界を知り、楽しめる全7冊の絵本が丁寧に紹介されています。是非ご覧ください!
https://chihiro.jp/tokyo/blog/67262/

木曜日はナディア・コズリナさんのご指導によるクニーシカの会が開催されました。いよいよ『Моя собака любит джаз 』も今回が最後です。

クマネズミだと獣医師に決めつけされたダックスフントのキート。捕まえられ連れ去られそうになりますが…。というお話です。
 
今回、叫ぶという動詞が2種類出てきますがвскричатьは大声を出す、оратьは力をこめて怒鳴るという感じと先生に教えていただき、状況把握の解像度がグッと上がりました。

次回からはロシア人が誰しもが知っているというБажов作『СЕРЕБРЯНОЕ КОПЫЦЕ』に入ります。楽しみです。

ロシア絵本を紹介します。
ニカ・ゴルィツの『世界のお話集』には「くるみ割り人形」「眠り姫」「裸の王様」などよく知られたお話やトルコの「小人のムーク」イラク共和国「コウノトリのカリーフ」そして中国を舞台とした「ナイチンゲール」など6つのお話が収録されています。

1925年、ニカ・ゴルィツはモスクワで著名な建築家とバレリーナの間に生まれ、幼いころから美術書に囲まれ文学や芸術に親しみ、いつも絵を描いていました。挿し絵画家になったのは父親を亡くしたため収入を得る必要に迫られたからです。

そして彼女はこの仕事が天職だと気づいたそうです。本は小さな劇場で、挿し絵画家は舞台演出家であり、俳優であり、デザイナーであり…ひとりで何でもこなさないとならない仕事は何て刺激的なことだろうかと。

その言葉通り、彼女の挿絵は臨場感があり、構図もダイナミックですし、絵柄は古典的な趣きを持ちつつも洗練されたアクティブな表現が冴え渡り、まるでバレエや戯曲を見ているような印象を受けます。

エレガントですが甘くはなく、とてもノーブルで美しい挿し絵です。特にこの本では繊細なレースの描き分けが素晴らしく見飽きることはありません。芸術レベルの高い、もっと知られてもいい素晴らしい画家だと思います。




2026年03月15日

ハナニラやユスラウメの今年最初の花が咲きました。だんだんと春本番の感。八重のクリスマスローズも綺麗です。

でも10日火曜日午前中にはなごり雪。されどその威力は儚く、あっという間に降りやみ、午後には晴天の空が広がりました。

雪といえば、現在開催中の「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界展」の『てぶくろ』の雪を見て、これは水分たっぷりのもうすぐ春の雪なのだろうとあらためて思いました。

しんしんと、というよりはひらひらと柔らかな雪が降っていて、同時に水色の雨粒が降っている様子も描かれているのが、原画を見るとはっきり分かります。みぞれ混じりという感じなのかなとも思います。また、極寒なら手袋を落としたりしないですよね。

『ロシア絵本的日常-そんな甘い話なわけはないでしょう?』の「マトリョーシカをめぐって」のところに書きましたが、ずっと見たかったマトリョーシカの元祖とも言われている七福神人形をとある場所で見ることができました!本当にマトリョーシカみたいな作りで、これは元祖説も致し方なしと思った次第です。

ロシア絵本を紹介しています。ヴァスネツオフ画の『麺棒を持ったきつね』は再入荷です。人を騙す狡賢いきつねのお話です。この挿絵は多分ヴァスネツオフの初期の作品なのではと思っています。

とても写実的に動物もそして背景も描いているからです。それでも、ああヴァスネツオフの絵だなぁと思いますが。表現の制約がある中でそれでもギリギリにデフォルメをきかせて、独特のヴァスネツオフスタイルが出来上がっていったのですね。(直)










2026年03月07日

庭の春の2番手の球根植物、黄色いミニ水仙が開きだしました。秋、場所を決めずにあちこちに球根を植えているので、え、私こんなところにも植えていたんだ!という記憶の答え合わせも楽しいものです。

少し前に我が家にやってきたミニサモワール。1980年代のものでお土産品の玩具だと思っていましたが、中を見ると旧式のちゃんと燃料を入れる筒がある仕様になっていますし、先日水を入れてみたら、ちゃんと蛇口から水が出てくるではありませんか!

次は実際にお湯を沸かす実験をしたいのですがいつのタイミングになるのか今のところ残念ながら未定です。実験成功のあかつきには、うちのパペット人形たちにちょうどよいサイズ感なので、一緒にお茶会ごっこができるなぁとワクワクはしているのですが(お湯だけに)。

今週はロシア語の先生とちひろ美術館・東京で開催中の「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展に行きました。平日の午後でしたがたくさんの方が訪れていました。先生にとってはロシアで育った子ども時代の懐かしい世界です。モスクワのご実家にラチョフの絵本などとってあるそうです。楽しい鑑賞の後は美味しいコーヒーとお菓子で一服です。楽しいひとときでした。

ロシア絵本を紹介しています。BIB金のりんご賞受賞画家アントン・ロマーエフのサーカス絵本『ボム・ボム・ボム』はゴージャスな迫力と美しさで読者を圧倒します。

ソ連時代、サーカスはとてもポピュラーな娯楽でした。けれどロマーエフが生まれた街は小さく、サーカスが来ることはなく、尊敬するピカソやロートレック、シャガールなどの絵でその世界を知ったそうです。

初めてサーカスを見た時、干し草や動物の匂い、ロープの軋む音…生きた人と動物が繰り広げる、絵ではわからなかった世界に魅了されたと前書きにあります。

サーカスが始まるバックヤードでひとりぼっちで孵化したペンギンの雛が、一体自分が何であるかを演者たちに聞いて回ります。彼らは少し相手をしてくれますが、皆やがて薄暗いバックヤードから光に満ちたサーカスの舞台へ去ってゆくのでした。そしてついに雛もその目眩く光の中へ…。というお話です。

暗闇の中、蛾が群がる野外灯に誘われて、サーカステントの幕布を潜ったらそこは不思議な別世界。時を忘れて楽しむことにしましょう!(直)









2026年02月28日


一瞬初夏のような陽気になったと思ったら、久しぶりにまとまった雨が降ったり、ちょっと激し目の季節の変わり目です。今年も蕗のとうが顔を出し、クリスマスローズもめでたく花開きました。

モスクワは1月に200年ぶりくらいの降雪量だったのですが、今も2メートルの雪の山が積まれてると聞き、キルギスの在住の人からはビシュケクはマイナス5度で寒いと聞きました。それでももう3月。北半球はだんだんと春に向かっているはずでしょう。

金曜日、ちひろ美術館・東京で3月1日から開催の『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界展の内覧会に行ってきました。

これから行く方のために詳しい内容をお伝えするのは控えつつ、感想などお伝えします。

まずラチョフに関しては、『てぶくろ』の原画はもちろん、それ以外の様々な作品の原画がたくさん見られて素晴らしいです!

いくら印刷技術が発達しても、原画に勝るものはありません。原画から画家の体温、気持ちが伝わってきます。この物語をどうやって子どもに伝えようか、そのために動物をどう表現しようかか…というその温かくてユーモアもある心、眼差しを原画からダイレクトに感じることができ、ロシア絵本の原画展が久しぶりなのも相まって、私などは感極まるものがありました。

動物民話の原画だけではなく、プリーシヴィン作品やミハイルコフの寓話の挿絵など多様な表現が楽しめたのも良かったです。私はプリーシヴィンの挿絵が好きです。

楽しみだったマーヴリナのいくつかの作品は流石の存在感でしたし、私も頑張らなくちゃと思えるエネルギーを貰いました。

そう、ラチョフからは温もりを、マーヴリナからは熱量を受け取りました。マーヴリナ作品は絵本でさえずっと見入ってしまうのですから、原画のパワー、魅力は圧倒的です。ずっと見ていたい、見るというかずっとそのパワーを浴びていたいと思いました。

個人的にはこれだけでも大満足なのですが、他の民話挿絵の画家のどの原画も(え、この画家の原画が見られるなんて!という作品も)テキストの解釈がそれぞれ個性的で魅力的で、遠くから近くからその世界観を楽しめました。

ソ連時代、厳しい社会的制約がある中で、たくさんの芸術家たちが子どもたちのために、その才能を絵本挿絵に注ぎこみました。私が当時の絵本に魅力を感じるのは、社会主義リアリズムという縛りの中で、自分にできる表現を探り、葛藤を抱えながらも将来を担う子どもたちに渡すという事の重要性を鑑みて、精一杯取り組む姿勢が感じられるからなのだと今展覧会を見てあらためて思うなどしました。

同時開催の「ちひろ いつもとなりにー子どもと動物ー」は、身近な犬や猫をテーマとした作品や、鳥たちを描いた作品たちを見ることができます。

人の目を通した小さき動物の姿のありようは、いたいけで儚さをまとっています。特に取り上げられている鳥や小鳥たちはその際たる存在といえるでしょう。

動物たちという存在は命ある限り、命を全うしようとすることに疑いを持ちませんし、ほぼ生涯ただそのことだけで生きています。ちひろの絵を見ていると、そのことを思い起こさせられて心がきゅっとなります。

そして、ラチョフの動物民話挿絵が説得力を持つのは、その動物が持つ本来の姿をきちんと投影させているからだとあらためて思ったわけです。擬人化されていても野生動物の命のありようが損なわれていないから、そこに何か畏敬の念のようなものを持って対峙させられるところがあるんじゃないかと。

ラチョフ、ちひろ、ふたつの動物表現の展示を通して、そんな事を思いました。

展示にはお話の内容が添えらていますから、面白さに笑ったり、たくさんのロシア民話の世界に浸れますし、何といっても芸術家の息吹感じられる原画を見られる機会は貴重です。ロシア動物民話に関心のある方にはもちろん良い機会ですし、ロシアという国の文化の一端に触れ、知ることは今だからこそ意味があることでもあるでしょう。

私が知る限りにおいて本当に久しぶりのロシア絵本関連の展覧会です。ちひろ美術館が持つアットホームな雰囲気の中で、展示された作品たちはお話の世界を知ってもらおうと張り切って見えましたし、生き生きとした動物たちの話し声が聞こえてくるようでした。いや、聞こえたような気がしました。何があってもどんな事が起こってもお話の世界の中で動物たちは変わらず生き続けているからです。

期間中、バスに乗ってまた何度か足を運びたいと思います。今展覧会の開催に感謝しつつ。

カランダーシでは資料のラチョフ絵本コーナーを作っています。良かったらオープンルームでご覧ください。(直)

2026年02月28日


一瞬初夏のような陽気になったと思ったら、久しぶりにまとまった雨が降ったり、ちょっと激し目の季節の変わり目です。今年も蕗のとうが顔を出し、クリスマスローズもめでたく花開きました。

モスクワは1月に200年ぶりくらいの降雪量だったのですが、今も2メートルの雪の山が積まれてると聞き、キルギスの在住の人からはビシュケクはマイナス5度で寒いと聞きました。それでももう3月。北半球はだんだんと春に向かっているはずですが。

金曜日、ちひろ美術館・東京で3月1日から開催の『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界展の内覧会に行ってきました。

これから行く方のために詳しい内容をお伝えするのは控えつつ、感想などお伝えします。

まずラチョフに関しては、『てぶくろ』の原画はもちろん、それ以外の様々な作品の原画がたくさん見られて素晴らしいです!

いくら印刷技術が発達しても、原画に勝るものはありません。原画から画家の体温、気持ちが伝わってきます。この物語をどうやって子どもに伝えようか、そのために動物をどう表現しようかか…というその温かくてユーモアもある心、眼差しを原画からダイレクトに感じることができ、ロシア絵本の原画展が久しぶりなのも相まって、私などは感極まるものがありました。

動物民話の原画だけではなく、プリーシヴィン作品やミハイルコフの寓話の挿絵など多様な表現が楽しめたのも良かったです。私はプリーシヴィンの挿絵が好きです。

楽しみだったマーヴリナのいくつかの作品は流石の存在感でしたし、私も頑張らなくちゃと思えるエネルギーを貰いました。

そう、ラチョフからは温もりを、マーヴリナからは熱量を受け取りました。マーヴリナ作品は絵本でさえずっと見入ってしまうのですから、原画のパワー、魅力は圧倒的です。ずっと見ていたい、見るというかずっとそのパワーを浴びていたいと思いました。

個人的にはこれだけでも大満足なのですが、他の民話挿絵の画家のどの原画も(え、この画家の原画ぎ見られるなんて!という作品も)テキストの解釈がそれぞれ個性的で魅力的で、遠くから近くからその世界観を楽しめました。

ソ連時代、厳しい社会的制約がある中で、たくさんの芸術家たちが子どもたちのために、その才能を絵本挿絵に注ぎこみました。私が当時の絵本に魅力を感じるのは、社会主義リアリズムという縛りの中で、自分にできる表現を探り、葛藤を抱えながらも将来を担う子どもたちに渡すという事の重要性を鑑みて、精一杯取り組む姿勢が感じられるからなのだと今展覧会を見てあらためて思うなどしました。

同時開催の「ちひろ いつもとなりにー子どもと動物ー」は、身近な犬や猫をテーマとした作品や、鳥たちを描いた作品たちを見ることができます。

人の目を通した小さき動物の姿のありようは、いたいけで儚さをまとっています。特に取り上げられている鳥や小鳥たちはその際たる存在といえるでしょう。

動物たちという存在は命ある限り、命を全うしようとすることに疑いを持ちませんし、ほぼ生涯ただそのことだけで生きています。ちひろの絵を見ていると、そのことを思い起こさせられて心がきゅっとなります。

そして、ラチョフの動物民話挿絵が説得力を持つのは、その動物が持つ本来の姿をきちんと投影させているからだとあらためて思ったわけです。擬人化されていても野生動物の命のありようが損なわれていないから、そこに何か畏敬の念のようなものを持って対峙させられるところがあるんじゃないかと。

ラチョフ、ちひろ、ふたつの動物表現の展示を通して、そんな事を思いました。

展示にはお話の内容が添えられいますから、面白さに笑ったり、たくさんのロシア民話の世界に浸れますし、何といっても芸術家の息吹感じられる原画を見られる機会は貴重です。ロシア動物民話に関心のある方にはもちろん良い機会ですし、ロシアという国の文化の一端に触れ、知ることは今だからこそ意味があることでもあるう。

私が知る限りにおいて本当に久しぶりのロシア絵本関連の展覧会です。ちひろ美術館が持つアットホームな雰囲気の中で、展示された作品たちはお話の世界を知ってもらおうと張り切って見えましたし、生き生きとした動物たちの話し声が聞こえてくるようでした。いや、聞こえたような気がしました。何があってもどんな事が起こってもお話の世界の中で動物たちは変わらず生き続けているからです。

期間中、バスに乗ってまた何度か足を運びたいと思います。今展覧会の開催に感謝しつつ。

カランダーシでは資料のラチョフ絵本コーナーを作っています。良かったらオープンルームでご覧ください。(直)

2026年02月20日
今年も2月がスーッとアクセルを踏んで逃げていこうとしています。時は来たと庭の地面から色々なものの芽がつんつんと顔を出し始めました。

意外な場所で古書のロシア絵本を見つけ、お値段も求めやすいものでしたので購入しました。偶然にしては読みたいテーマのものもあって、これはきっとご縁があったのだと思うなど。

久しぶりのカフェ・ロシアのテーブルのお花は桜。花屋にはチューリップやミモザが並んでいます。街はもうとっくに春色を纏い始めていますから、嬉しいような困ったような心持ちになります。

木曜日はクニーシカの会がありました。『Моя собака любит джаз 』をコズリナ先生の腰とのもと読み進めてゆきました。

ダックスフントのキートは獣医からお前は犬ではなくアメリカの下水管に住んでいたクマネズミだと言われます。パパとママはキートの過去の行状をふりかえり「そうかもしれない」と思ってしまうのですが…という内容です。

今回、先生からは、窪地やソ連時代に動物を売っていた鳥市場のこと、ダーチャの小窓のことなど実際の様子を教えていただくことで物語の背景理解を深められましたし、孤独によるストレス症状、ため息で辺りを困惑させる様子などについて補足説明をしていただき物語をより深く受け取ることができました。感謝。

ロシア絵本と手芸書など紹介しています。時間差がありますがInstagramやYouTubeもご覧ください、。

ブラートフ&ヴァシリーエフコンビの『七色の花』には国内外の作品が19編も収録されています。小ぶりなサイズですが、手元で楽しめる良さがあります。

エリック・ブラートフとオレグ・ヴァシリーエフはソ連時代に30年にも渡り、2人で一緒に創作活動を行ってきました。多分絵を見てもそれに気づく人はいないでしょう。

2人はそれぞれ立派な成果を上げている芸術家でありましたが、イリヤ・カバコフの助言も受け生活のために絵本の挿絵を描き始めました。

主にデッサンをエリックが、彩色をオレグがしており、1990年にオレグがアメリカに渡った段階でコンビは解消します。

この絵本は2人の表現の変遷も見ることができるのが興味深いです。アヴァンギャルド絵本のようなテイストを感じる表現やチャルーシンやヴスネツオフのような動物や自然表現も見られます。

そして、この2人のスタイルとして一般的に認識されている、カラフルで独特の柔らかな線使いが魅力の優美な世界観は人気を博し、現代に至るまで何度もな何度も様々な形で再発行され続けています。

コンビ解消のあと、2人は個々の芸術家として目覚ましい活躍をします。そして2人はもう絵本を描かなくなりました。

そして!今回、2人の仕事の軌跡を調べていたら、カランダーシの資料のソビエト時代の絵本の『Голос Моря』がこの2人の作品だったことが分かりました。自然科学系絵本ということもありますが、これまた全然違う画風なのでびっくりです。




2026年02月15日

先週の日曜日に雪が降りました。身支度を整えて転ばないように慎重に歩きました。中央線が止まったので東西線で大井町まで行き地下通路を歩いて東京駅へ。雪の東京駅は風情がありました。一服のコーヒーとケーキでほっとひと息。

と思ったら週の後半は気温が急上昇してポカポカ陽気になりました。クリスマスローズの花芽が大きくなってきました。これからが楽しみです。

用事で帰国されていたロシア語の先生にお願いして買ってきていただいたお茶をいただきました。箱の中に猫がテーマのお話が書かれた12の小さな本が並んでいて、その1冊に一つずつハーブティが挟んであるのです。『長靴を履いた猫』『巨匠とマルガリータ』…などなど箱にタイトルのリストが書いてあります。猫のイラストも可愛らしく楽しいお茶の時間になりました。

ロシア絵本を紹介しています。マヤコフスキーの詩にユヴィナリー・ドミトリー・コローヴィン画の『良い事ってどんな事?悪い事ぅてどんな事?』は小ぶりの体裁ながら、とても芸術性が高く美しい挿絵に魅了されてしまいました。

この画家の絵本はカランダーシでは初登場だと思います。1911年生まれでモスクワ美術大学を卒業、大戦後1950年代以降、水彩画、油彩画、そして児童文学作品を通し高い評価を得ます。トレチャコフ美術館サイトの紹介文にはソビエト絵画界の巨匠と記述されています。

絵本を見ると、まず表紙の少年の華奢な肩や長いまつ毛、斜めに座っている姿勢や長く細い指、そして柔らかくクリアな色調…明るい優美さに惹きつけられます。このような表現は特にマヤコフスキー関連の挿絵の世界では見たことがありません。

そういう意味でこの絵本は、アヴァンギャルドの旗手と言われるマヤコフスキーの詩の世界を社会主義リアリズムの巨匠がどのように表現したのか、という視点で見るとさらに興味深いでしょう。

挿絵全体を通して見ても、やはり明るさと柔らかさが印象に残りますし、そして表紙にも見られる赤とオレンジの中間色のような色が意図的に使われてことに気づきます。光に関してはどちらから光が差し込んでいるのかわかる絵が多く、それが一見ライトな雰囲気の絵の奥行きとなっています。ライトと言っても決して軽薄という意ではなく詩の意図を汲み取り、柔らかな美に昇華させたような表現のように私は受け取りました。

どうあるべきか的な詩の精神性を押し付けがましくなく表現できるなんて凄いことだと感心さえしました。デザインの力と、繊細さとデフォルメ感が混在する絵柄、そしてユーモア表現や時々登場するリアルな動物の表現など最初から最後まで目の離せない絵本です。

画集を見てみたくなりました。(直)


2026年02月07日

2月になりました。庭の日本水仙は、苞のある茎が見えていても、そこから中々開花に進んでいなかったのですが、やっと一番日当たりのいい場所の花が開き始めました。

東北の大雪を心配しています。関東は今日は雪がちらつき始めましたが、水不足が懸念される程ずっと雨が降っていませんし、からっからでインフルエンザが大流行しています。こんな時期に入試そして今年は選挙があるのは本当に大変です。

今週は調べ物があり、久しぶりに資料本のルボーク集『the lubok』を広げたら、あらためてぐいっとひき込まれてしまいました。不気味で不思議な絵、そしてその絵に込められた本当の意味…じっくり向きあいたいたという思いはずっとあるのですが。

ちひろ美術館・東京で3月1日から開催される「『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展のチラシができ、どなたでもダウンロード可能とのことです。暖かな色合いが春を待つ心と重なります。どんな人もぬくもりを感じられるような展覧会になるのではと期待が膨らみます。https://chihiro.jp/wp-content/uploads/2025/12/b5e5152d4e6e46c041444cbac52dc4a2.pdf

ロシア絵本や書籍をご紹介します。『サーカス』は詩人マルシャークと画家レーベデフの黄金コンビによるアヴァンギャルド時代の代表的な絵本ですが、この度МАЛЬШという出版社の「私の最初の古典」という小さな子ども向けのシリーズの1冊として登場しているのを見つけました。

このタイトルの復刻は、私が知る限りにおいて資料的な意味合いでの制作として、あるいは画集の一部としてしか見たことがありませんでした。ですから、現代の小さな子どもに向けて、まっさらな児童絵本の体裁で出版されていることに新鮮な驚きを持ちましたし、「革命的!」と興奮してしまいました。

なぜなら、長きにわたり、忘れ去られた時代のあたかも遺品扱いだった絵本がこうやって蘇っているのですから。

今状況下であまり注目されていませんが、この絵本の初版から2025年がちょうど100年ということで、今やロシア絵本黄金期から1世紀が経とうとしているわけですね。

レーベジェフもマルシャークも100年後の今のロシアを見たら何を思うでしょう。でも、残された素晴らしい作品が、こうやって再びまた子どもたちに手渡されることはきっと喜んだに違いありません。

InstagramやYouTubeでもご覧ください(直)
2026年01月30日

寒くてとても乾燥した日々が続いています。今は冬の殺風景な眺めの庭ですが鉢植えの紅梅やスノードロップの可憐な姿に心和みます。スノードロップは別名待雪草。花言葉は「希望」「慰め」だそうです。

今週は調べ物をしていて、「あれ、あの資料どこだっけ?」からのあちこち大捜索。やっと見つかり「ああ、確かにここに挟んでいた」と思い出してひとり苦笑するということがありました。でも「あの資料」の存在を思い出しただけでも上出来だし、自作ながら良い資料だと昔の自分に感心する始末だからつくづく私はおめでたいのでしょう。

この度、10代の頃からの宝物の星の王子様のお人形の悪かった手足の具合を夫が直し、リクエストに応えてスタンドまで作ってくれたので、仕事机の上に置いて見守ってもらうことに。そしておめでたい私は、こんな素敵なお人形を選んだ10代の自分に感心したりもしているのです。

今週もピックアップしたロシア絵本を紹介しています。InstagramやYouTube(時差あり)などでも是非ご覧ください。

アンナ・デスニツカヤの『世界の果てに』は、それぞれ自分はどうやら世界の果てに住んでいるのだと感じているチリに住む少年ルーカスとカムチャツカに住むベラの物語です。

まず、2人のプロフィールや日常生活が語られますが、それぞれ片親が不在であること、孤独を抱えて友達を求めているという共通点があります。そして2人はある時、それぞれの世界の果ての海から懐中電灯でもう一方の世界の果てに信号を送るのです。

この本は作りがとてもユニークで表紙から読めばベラの、裏表紙から読めばルーカスのストーリーが展開してゆきます。そしてお互いの懐中電灯の光が本の真ん中で…

物理的に世界の果てという場所に住んでいなくても、いくら周りにたくさんの人間がいても孤独を抱える人はその場所が世界の果てのように感じるでしょう。

この本の2人はお互いのモールスの光を受け取ります。だからといってこの物語を優しいファンタジーと片付けてしまうのは残念なことです。どんな状況でも希望を捨てないこと、方法を探ること、諦めないこと…そこに必ず光があることを信じてゆきたいと思うからです。

この本は2年ほど前に、個人的にロシアにから帰国する方に頼んで買ってきてもらいました。でも今回皆さんにも紹介できたらと、はるばるとした経路を辿る発注品のリストに入れました。

現状、隣ともいえる国が、あらゆるアクセスが制限され、カランダーシにとってはとてもとても遠い世界の果てのような存在になりました。

それでも暗い海に懐中電灯の光を放つように、ロシア絵本を求めることを細々とですが続けていますが、本当にこれは相当おめでたいことに違いありませんね。(直)

2026年01月24日

大寒です。ということで防寒のギアをひとつ上げて出かけています。今年に入り2回ボルシチを食べました。簡単お料理キットで作ったものと久しぶりのロゴスキーのテイクアウトです。どちらも美味しくいただきました。

カランダーシの部屋の眺めが変わりました。しばらく絵本を大きなテーブルの上に積み重ねて置いていましたが、壁面やホワイトボードスペースを活用して新刊本、ソ連時代の絵本を表紙が見えるように並べました。眺めが変わると気分も変わりますね。新春らしいことができました。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもと、今年最初のクニーシカの会がありました。テキストは『Моя собака любит джаз 』の「ノミだらけの怪獣」という章です。主人公の飼い犬に突然ノミが発生するという内容でした。

夏の草原ではしゃぐ犬(キート)の様子や、ノミが洗浄を逃れて鼻先に移動する様子や、うじゃうじゃバイ菌が動き回る様子を想像するなど、コミカル要素も含めて漫画やアニメ表現がピッタリくるような描写が結構多い箇所でした。

忘れるという動詞を重ねて使っている箇所はチェーホフ的であることや、「そこが自分の墓になる」=死ぬという表現はよく戦争文学で使われること、場面展開の緩急が意味すること、父親や息子の人物像についての説明などを先生から教えていただきながら、文学と向き合う楽しさを共有することができました。感謝。

今週もロシア絵本や手芸書などを3冊ピックアップしてInstagramやYouTubeなどでも紹介しています(時間差有り)『僕たち、いつも一緒にいるよね?』はセルゲイ・コズロフ作のお話集。久しぶりの入荷です。前回と表紙が変わりました。

コズロフはこの本にも収録されていますが「霧の中のハリネズミ」の作者です。その他のお話も単独で絵本になっているものもありますし、ロシア、そして東欧などでも根強い人気のある児童文学作家です。

森に住むハリネズミ、こぐま、ろば、うさぎたちが出会うささやかだったり、不思議だったり、びっくりしたりするような出来事のお話たちは派手さはありませんが、きっとどれも心の中の宝箱にしまっておきたくなるはずです。

巻末に「言葉と言葉の間にはそよ風が吹いていないといけない」というコズロフの言葉が紹介されていました。物語を読んだ後に残る静かだけれども深い余韻はきっとこの「そよ風」のなせる技なのでしょう。

オストロフの絵は、美しく、暖かく、そして儚くて愛おしさに胸がギュっとなってしまいます。表紙のキラキラ加工が素敵です。(直)

https://www.instagram.com/reel/DT7RuWnkQOZ/?igsh=MXE0cXdocXJ6aWJnOA==

2026年01月17日

まだまだ山茶花が綺麗です。この季節、時折庭にヒヨドリたちが庭に遊びにきます。ビオラを食べないでねと祈りながら鳴き声を聞いています。

時の流れは早すぎて、お正月も何だか遠い過去の出来事のように感じられますが、今日はロシアのお正月料理の定番、オリヴィエサラダの素敵な画像をロシア語の先生からいただいたのでご紹介します。

じゃがいもと人参を茹でたものと、きゅうりのピクルス、ゆで卵をサイコロ状に切って、牛肉、グリンピースと一緒にマヨネーズで和えます。きゅうりのリボン!で飾り付けてあるところがエレガントで素敵です。

味の決め手はマヨネーズです。ロシアの人たちはマヨネーズが大好きです。先生によると日本のマヨネーズが美味しいと評判で、お土産にとても喜ばれるのだそうです。

そうそう、今年の我が家のお正月は先生から頂戴した缶詰のロシア産イクラを家族皆でいただきました。塩味が効いていて美味しかったです。緑と赤そして金色を使った缶のデザインもインパクトがあります。キリル文字は強いですね!

カランダーシの部屋の模様替えを遂行中です。より楽しく絵本を見ていただける空間になるといいなと考えながら。

ロシア絵本を紹介しています。アントン・ロマーエフ画『豆の上のお姫様』はアンデルセン作の有名なお話。たくさん重ねられたお布団の下に仕込まれたたった一粒のえんどう豆のせいで眠れないと言ったお姫様が本物認定され王子様と結婚するお話です。

ロマーエフが細部にわたり丁寧に描く、装束や調度など貴族の暮らしぶりの優美さを楽しみながら、登場人物たちひとりひとりの表情からその心情を想像するのも一興です。結構たくさんの人たちが立場立場で色んな表情を見せて面白いです。

また目を引くのは犬たち。ボルゾイみたいな大型犬、テリア系の狩猟犬たち、パグやパピヨンみたいな小型犬までたくさん登場しています。そして管理されて庭園の造形の美しさ…。

ロマーエフは1971年生まれ。アンデルセンを中心として挿絵絵本を手がけてきましたが、初のオリジナル絵本でBIB金のりんご賞を受賞しました。今後の活躍にも注目したい画家です。





2026年01月09日
本年もよろしくお願いいたします。

お正月は家族揃ってのんびり過ごすことができてありがたいことでした。今年は食べすぎないように結構注意しましたので例年より少し健康的に過ごせたかなと思います。さて、今年はどんな年になるのでしょうか。日々を大切に過ごしてゆければと思います。平和を願いつつ。

年末にラチョフの息子さんから干支に因んだラチョフの絵とメッセージをいただきました。今年の絵はロシア民話『シーフカ・ブールカ」というお話の挿絵です。いつもバカにされていた三男坊のイワンが、夜中麦畑を荒らしていたシーフカ・ブールカという魔法の馬を捕え、逃す代わりに自分の命令に従うよう約束をします。そして後にイワンは塔の上のエレーナ姫の指輪を奪えば婿になれるというおふれを知り、シーフカ・ブールカに乗り挑戦します。

この絵はそのエレーナ姫に3度目の挑戦で到達する、まさに目標達成の場面ですね。シーフカ・ブールカの鼻息がまるでビームを放っているように見えますし、逆巻く立髪と長い尾の力強い表現が印象に残ります。嗎まで聞こえてきそうです。背景の木造のお城の様子もよく分かります。

この絵には新年のメッセージとして(今年の干支である)馬が皆さんを高みへ導くように…との言葉も添えられていました。感謝です!

さて、新年早々嬉しいお知らせがあります。ちひろ美術館・東京で3月1日から5月10日まで「生誕120年『てぶくろ』の画家ラチョフと民話絵本の世界」展が開催されます!何と嬉しいことでしょう。サイトには「ラチョフが生きた激動の時代の絵本の歴史を紐解くとともにちひろ美術館コレクションのなかから、困難な時代でも表現の道を模索し、豊かな文化を後世にと願って描かれた民話絵本を紹介します」とあります。詳細https://chihiro.jp/tokyo/exhibitions/29881/

画像の絵本はラチョフ生誕110周年を記念してロシアで復刻出版された『てぶくろ』の絵本です。本当に長い間愛されている絵本ですね。

展覧会の開催が待ち遠しいです。(直)

2025年12月27日


カランダーシは12/27〜1/6までお休みします。ご注文は自動受付しています。

今年も難しい状況が続きましたから、引き続きやれることをやりましょうという感じで歩んできた1年ではありました。

その中で、今年はYouTubeを始めてカランダーシのことを紹介したり、このダイアリーとほぼ同じ内容のテキストをnoteでも発信を始めました。広い範囲にロシア絵本のこと、カランダーシのことが届くといいなと思っています。

『ロシア絵本的日常-そんな甘い話なわけはないでしょう』を作って文学フリマというイベントに参加させていただいたのは、中々勇気のいることでしたけれども、ロシア絵本についてのあれこれを1冊にまとめて、今までこのサイトにいらしたことのないような方たちへ直接アプローチできたことはありがたいことでした。

これらの事を通し私自身が視野の広がりを感じている事は良かったですし、新しい事を始める緊張を伴う格別な面白さを体験できたのは収穫でした。

クニーシカの会は、マリナ・マスクビーナさん作『僕の犬はジャズが好き』を使っているのですが、今年は奇跡的に?来日したマリナさんにお会いすることができました。テキストは簡単ではないのですが、コズリナ先生のご指導でより深い理解が得られ楽しいです。今年は早稲田大学でコズリナ先生の講義を2回も聴くことができました。感謝。

オープンルームは、絵本を見ていただくだけでなく、貴重なお話を伺ったり、色々勉強させていただくこともあり励まされています。来年も月2回くらいのペースでやっていこうと思います。

来年度もロシア語お話会の活動は継続させていただけるようですので、また楽しいお話を準備してして取り組みたいと思います。今年は特に『うさぎのいえ』をお人形や段ボールの組み立て式の家を使ってお話できたことは嬉しいことでした。

画像はソ連時代の子ども向けの雑誌の1968年1月号です。中を見るとお話や漫画や切って遊ぶカードや子どもたちの投稿など賑やかです。

ホッチキスで2箇所とめただけの作りで紙も薄く決して丈夫な作りではありませんが、1956年発行のこの楽しい雑誌は大人気で1980年初頭には何と950万部も発行されていた!とこの雑誌のサイトに記述があります。

今年も1年間ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。


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