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商品詳細

ロシア絵本・2019BIB金のりんご賞「小さな海賊のための子守唄」

販売価格: 3,300円(税込)
父親と息子のおやすみタイムの攻防戦


ハードカバー オールカラー


【ダイアリーより】
今までアンデルセンやペローなどの古典作品の挿絵で活躍していたアントン・ロマーエフが文章も書いた絵本「小さな海賊のための子守唄」。ロシア国内の名誉ある賞のみならずく2019年B I B世界絵本画展で金のリンゴ賞も受賞した。

2017年に同じく金のリンゴ賞受賞のアンナ・デスニツカヤや2019年に国際アンデルセン賞受賞のイーゴリ・オレイニコフなど、このところのロシア絵本画家たちの国際的な評価は目を見張るものがある。今回のロマーエフもすごいぞ!と思っていたので大納得だ。

海賊船が舞台。中々眠らないやんちゃな息子を父親が歌を唄い、お話をして眠らせてようとするが、かえって興奮させてうまくいかない…という筋立てだ。

父親はがっしりとして強面で百戦錬磨の風防だが、息子には滅法弱い。手を焼きながらもかわいくてしょうがないのだ。かわいがるだけではない。海のような深い愛で息子を包む慈愛に満ちた大きな存在であることもロマーエフは絵で教えてくれる。

この絵本の魅力は、南極のペンギンやサメたち、熱帯のライオンやキリンなどなどについて父親によって語られるイメージが、父と子を取り巻くように青い色で描かれているところだろう。無限に広がる想像のカンバス。親子は南極の冷たい海や熱帯の温かい風を共に感じながら濃密な時間を過ごす。息子はまだ見ぬ世界の果てに憧れる。

最後、成長した息子が一艘の小船で漕ぎだすページが印象的だ。海賊として強く生きて行く彼に必要なのは逞しさであり、戦う術であり、武器なのだろうが、彼の心を大海原に向かわせるのは心の中にある父親から語られた物語であり、子守唄なのだ。

ロマーエフ自身に(制作当時)3歳の息子がいて、このような絵本を作れたことを喜んでいるようだ。これは実際の父親としての日常から生まれた体温を感じさせる絵本でもあるのだ。あとがきには親子ショットも掲載されていて微笑ましいし、制作スケッチ掲載の見開きも楽しい。

元々精密でクラッシックな絵柄に、構図やデザイン、独特の明度、人物の表現、動き、などで現代的なニュアンスも取り入れて古典物語を描いてきたロマーエフ。今回はオリジナルのお話ということもあり、より夢溢れるダイナミックで壮大な世界観と、また海賊船の細かな描きこみ、チャーミングな人物造形など、のりにのって(多分)描かれていているように感じる。

ロマーエフが文章の長さと絵のバランスについて語っているのを読んだことがあるが、この絵本はテキストも短く(ロシアのお話絵本にしては)読みやすさも考慮されているところもいいな、と思う。

とても素敵な絵本だ。(直)

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