目眩くサーカスの世界へ
ハートカバー 300✖️340 64ページ オールカラー
【ダイアリーより】
アントン・ロマーエフの絵本「ボム・ボム・ボム!」の舞台はサーカス!大盤で迫力満点の絵本だ。まず、サーカスの様子をテントからのぞいている視点の表紙からひきこまれる。そして真ん中に描かれた卵が気になる.。
サーカスの世界に誘う最初の数ページ。闇を背景とした浮かぶような沈むような不思議な感覚のイントロダクションンの息を飲む美しさ。もうロマーエフが創り出すサーカスというファンタジー装置に身を委ねるしかない。
そしてここからは、表紙の卵から生まれたひよこのささやかで心温まる物語が目眩くファンタジーの世界を舞台として語られてゆく。
以前からロマーエフは光の描き方が素晴らしいと言ってきたけれど、この絵本の挿絵はまさに光と闇のせめぎ合いがテーマといっても過言ではないように思う。
光(サーカスというファンタジー)、闇(現実的な夜の世界)の領域が各ページで様々なバランスで繊細に描かれていることに注目したい。光は闇があるからこそ妖しく輝きを増す。
楽しい時間には終わりがある。最後のページでこの絵本はこのファンタジーが現実と地続きであることを教える。大人はそのことを充分に悲しいくらい理解しているがこのページを子どもはどう思うのだろうと思ったりもする。
中々出かけることが難しい現状があるが、アントン・ロマーエフの素晴らしきサーカスの世界へは絵本を開けばすぐ行くことができる。
賑やかで華やかなエンターテイメントを絵本で楽しむのも素敵なことだ(直)
【ダイアリーより】
BIB金のりんご賞受賞画家アントン・ロマーエフのサーカス絵本『ボム・ボム・ボム』はゴージャスな迫力と美しさで読者を圧倒します。
ソ連時代、サーカスはとてもポピュラーな娯楽でした。けれどロマーエフが生まれた街は小さく、サーカスが来ることはなく、尊敬するピカソやロートレック、シャガールなどの絵でその世界を知ったそうです。
初めてサーカスを見た時、干し草や動物の匂い、ロープの軋む音…生きた人と動物が繰り広げる、絵ではわからなかった世界に魅了されたと前書きにあります。
サーカスが始まるバックヤードでひとりぼっちで孵化したペンギンの雛が、一体自分が何であるかを演者たちに聞いて回ります。彼らは少し相手をしてくれますが、皆やがて薄暗いバックヤードから光に満ちたサーカスの舞台へ去ってゆくのでした。そしてついに雛もその目眩く光の中へ…。というお話です。
暗闇の中、蛾が群がる野外灯に誘われて、サーカステントの幕布を潜ったらそこは不思議な別世界。時を忘れて楽しむことにしましょう!(直)