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商品詳細

トラウゴート画『お人形』

販売価格: 4,620円(税込)
220✖️282 40ページ オールカラー  ハードカバー

チェルカシン画、トラウゴート画の『お人形』という絵本は、独ソ戦で包囲された旧レニングラードで暮らしていた少女とお人形、そして家族の物語です。
戦後、レニングラードの街の古道具屋で少女は学校帰りに偶然かつて祖父から贈られたお人形を見つけます。大きくて立派なお人形は贈られた当時少女と同じくらいの大きさがあり、マーシャと名付けられ、二人は同じベッドで眠りました。
やがて戦闘激しくなる中、少女はお人形をレニングラードの祖父の元に置いて疎開しなければなりませんでした。封鎖解除後、レニングラードに戻った時、祖父たちは餓死したことを知らされ、アパートの部屋には知らない家族が勝手に暮らし始めていました。その後、少女は母親と一緒に学校帰りにお人形を見た古道具屋に行き、お人形、そして見覚えのあるお茶のセットはアパートの部屋に勝手に越してきた家族によりこの店に売られたを知ります。店主に交渉しても返却はできないと言われ、母親は頑張ってお金を貯める努力をし、やっと古道具屋に行ける日が来て、少女も楽しみに待っていましたが、すでにお人形は他者へ売られた後でした…。

チェルカシンは幼少期、戦火で父親を失い包囲や避難を経験した経験があり、この物語は彼の妻の思い出に基づいて書かれました。具体的な戦闘場面などではなく、白湯を「白夜のお茶」と言い飲む事や、倒れたままの電車を目を覚ます元気もなく凍りついてしまっていると言ったりする日常の会話や、疎開先の寂しさ、包囲された祖父たちが餓死して余儀なく集団墓地に埋葬されたこと、勝手にアパートに住んでいる人の傍若無人ぶりなどなどを通して戦争がもたらす非情さを実感を持ってにそして文学的に伝えます。戦争は人の心の最も大切な物をも理不尽に奪い去ります。「お人形」はその象徴なのです。

トラウゴットの沈んだ色合いの滲んだ水彩の筆先から生まれる心の中を映し出す人物表現ーー祖父の優しくも威厳に満ちた眼差し、母親の憔悴しながらも尊厳を失わない表情、感受性豊かな少女の瞳のゆらめきなどが胸に迫ります。冒頭見開きには戦闘機により攻撃を受けるレニングラードの様子が描かれています。

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