ソフトカバー(表紙艶箔押し) 210✖️280 15ページ オールカラー
ロシアアヴァンギャルド絵本の中でも特に画期的なデザインで注目を集め続けた作品。
元々はポスターだったものが1冊にまとめられました。それまでは別々だったテキストと絵が一つの絵の中におさめられ、シンプルながら本質を伝える表現や、色味は少ないのにもかかわらず鮮やかで華やかな印象を与える色使いなどなど、新しい絵本の幕開けと言われました。
【ダイアリーより】
『サーカス』は詩人マルシャークと画家レーベデフの黄金コンビによるアヴァンギャルド時代の代表的な絵本ですが、この度МАЛЬШという出版社の「私の最初の古典」という小さな子ども向けのシリーズの1冊として登場しているのを見つけました。
このタイトルの復刻は、私が知る限りにおいて資料的な意味合いでの制作として、あるいは画集の一部としてしか見たことがありませんでした。ですから、現代の小さな子どもに向けて、まっさらな児童絵本の体裁で出版されていることに新鮮な驚きを持ちましたし、「革命的!」と興奮してしまいました。
なぜなら、長きにわたり、忘れ去られた時代のあたかも遺品扱いだった絵本がこうやって蘇っているのですから。
今状況下であまり注目されていませんが、この絵本の初版から2025年がちょうど100年ということで、今やロシア絵本黄金期から1世紀が経とうとしているわけですね。
レーベジェフもマルシャークも100年後の今のロシアを見たら何を思うでしょう。でも、残された素晴らしい作品が、こうやって再びまた子どもたちに手渡されることはきっと喜んだに違いありません。
◆ウラジーミル・ワシリエヴィチ・レーベジェフ(1891-1967)
ペテルブルグ生まれ。父親は機械技師。1910年からフランソワ・ルボーのアトリエに学び12年からはミハイル・ベルンシュテイン美術学校に在籍。革命後は、積極的に前衛芸術運動(ロシア・アヴァンギャルド)に参加、20-21年「ロスタの窓」という政治的宣伝ポスターの制作に従事。この時、民衆に伝える表現技法を身につける。22年、ロシア絵本革命の幕開けと称される初出版絵本「子ぞう」「かかしの冒険」発表。24年国立出版所児童書専門部門美術編集担当。マルシャークとの出会いは、彼がレーベジェフの校正刷りを印刷所で拾ったことから始まる。このコンビで25年「サーカス」「アイスクリーム」「おろかな子ねずみ」「昨日と今日」を出版。またレーベジェフは多くの後輩を発掘、教え育て、ロシア絵本黄金期を牽引する。しかし、スターリンを中心として文化政策転換がおしすすめられ、「社会主義リアリズム」のみが唯一の表現方法となる。35年レーベジェフの作品集は発禁となり、36年にはプラウダ紙一面に批判記事が掲載される。その後、レーベジェフのは生涯絵本の制作を続けるが、その作風はすっかり変わってしまい、第二次世界大戦後ももう元に戻ることはなかった。マルシャークとはずっと共に絵本を作り続け58年発行の「しずかなおはなし」などは日本でも大変親しまれている。
レーベジェフについては「ロシア絵本的日常」でも
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_24.html
http://lucas705karandashi.blogspot.jp/2012/06/blog-post.html
◆サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャーク(1887-1964)
ヴォロネシ生まれ。幼少から詩作を始め、ゴーリキーにその才能を見いだされる。20年過ぎから児童文学に取り組む。24年からはレニングラードの国立出版所の児童文学部部長。それは1年後後、児童図書出版所として独立するが、マルシャークはその中心、あたかも太陽のような存在であり、多くの児童作家たちを育てた。多くのコンビ作品を生み出したレーベジェフとは「アイスクリーム」やサーカス」などといった傑作を残す。また、英文学の翻訳者でもあり、自らの児童文学のルーツはウイリアム・ブレークであると述べている。日本で有名な作品として「森は生きている」がある。