ハードカバー 130✖️205 96ページ オールカラー
【ダイアリーより】
マヤコフスキーの詩にユヴィナリー・ドミトリー・コローヴィン画の は小ぶりの体裁ながら、とても芸術性が高く美しい挿絵に魅了されてしまいました。
この画家の絵本はカランダーシでは初登場だと思います。1911年生まれでモスクワ美術大学を卒業、大戦後1950年代以降、水彩画、油彩画、そして児童文学作品を通し高い評価を得ます。トレチャコフ美術館サイトの紹介文にはソビエト絵画界の巨匠と記述されています。
絵本を見ると、まず表紙の少年の華奢な肩や長いまつ毛、斜めに座っている姿勢や長く細い指、そして柔らかく明るい色調…このような表現は特にマヤコフスキー関連の挿絵の世界では見たことがありません。明るい優美さに惹きつけられます。
そういう意味でこの絵本は、アヴァンギャルドの旗手と言われるマヤコフスキーの詩の世界を社会主義リアリズムの巨匠がどのように表現したのか、という視点で見るとさらに興味深く思えるかもしれません。
挿絵全体を通して見ても、やはり明るさと柔らかさが印象に残りますし、そして表紙にも見られる赤とオレンジの中間色のような色が意図的に使われてことに気づきます。光に関してはどちらから光が差し込んでいるのかわかる絵が多く、それが一見ライトな雰囲気の絵の奥行きとなっています。ライトと言っても決して軽薄という意ではなく詩の意図を汲み取り、柔らかな美に昇華させたような表現のように受け取りました。
どうあるべきか的な詩の精神性を押し付けがましくなく表現できるなんて凄いことだと感心さえしました。デザインの力と繊細さとデフォルメ感が混在する絵柄、そしてユーモア表現や時々登場するリアルな動物の表現など最初から最後まで目の離せない絵本です。
ウラジ-ミル・マヤコフスキー(1893-1930)
グルジア生まれの詩人、芸術家。少年時代から政治活動を始め、15歳でロシア社会民主労働党に入党、3度逮捕され獄中生活を送った後、芸術を学び、美術、演劇を含むアヴァンギャルドの旗手になる。1917年10月革命を「わたしの革命」と呼び熱狂的に支持、叙事詩「150000000」を発表する。革命政府のプロパガンダポスター「ロスタの窓(ロシア電報通信社の壁詩)」の制作も数多く手掛け、広く国民に親しまれ愛された。しかし、37歳のときピストル自殺する。その理由は、官僚主義に向かう政府への絶望、恋愛事情などのもつれなどともいわれているが、はっきりとこれだということはわかっていない。そして、彼の自殺はアヴァンギャルドの運命を象徴しているといわれているが、皮肉なことに、彼の死後、スターリンがプラウダ紙に「もっともすぐれた詩人」と掲載したことにより、英雄化され、町名や広場に名前がつけられ記念像が建てられた。その生涯における20年の創作活動で、叙情詩5百数十編、叙事詩19編、詩劇7編、映画脚本9編、その他多数の評論、エッセイ、演説、前述の「ロスタの窓」ポスターなどを残した。また25年から29年にかけて、13編の児童詩を書き、子どもたちに朗読して聞かせ喜ばれた。「私は社会についての若干の最も初歩的な理解の仕方を子どもたちに教えるという目的を、自分に課しています。これはむろん、最も慎重な形式で行うわけです」と語っており、情熱と使命感をもって取り組んでいた。