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2/1 ダーチャ
2025年02月01日

2月になりました。雪が降るかもしれないという予報ですが、確かに2月の頭頃って雪が降りがちです。さて、どうなるのでしょう。

薔薇が咲きました。ちょっと長い枝を残していたらいつの間にか蕾がついてゆっくりゆっくり時間をかけて開きました。冬に花を咲かせるのはあまり良くないことかもしれませんが、冬枯れの殺風景な庭にまるで蝋燭の火が灯るように咲いた花に元気をもらえて感謝してます。

書店でたまたま見つけて購入した『ダーチャ…失われてゆくソビエト時代の小屋とコテージ』(写真/フョードル・サヴィンツェフ、エッセイ/アンナ・ベン、グラフィック社)。この本にも書かれていますが、ダーチャとは何であるかを説明するのは難しいのですが、簡単に言えば別荘、別宅みたいなもの。そういうとお金持ちだけのものみたいですが、ロシアの一般の人々からもちろんお金持ちの人まで、国から土地を貰い受けたり借りたりして郊外に建てた家のことを指します。

ただ、ダーチャもロシアのことですからご多聞に漏れず、歴史的、政治的、地域的な影響を受けまくりでその実態はとても複雑であることがアンナ氏の文章を読んでもよく分かります。まあ、そう言う背景は置いといてとにかくソ連時代に建てられた木造の創意工夫にあふれた個性豊かなダーチャが今存亡の危機にあるので記録として残さなきゃと言うのがこの本の大きなコンセプトです。

木造の古いダーチャが壊され新築する場合は、石材を使ったり手入れもしやすいプレハブ様式のものなども出てきているそうで、それはそれで仕方ないことかもしれないけれど、写真家のサヴィンツエフ氏は先を見据え、古い木造ダーチャの修復、新しく木造で建てる技術の継承こそがロシアが持つ豊かな文化的価値の復元になると活動を続けています。

写真を見ていると奇想天外とも言える形のダーチャに目を丸くします。でも、それは限られた材料で作らないとならなかったからこそのデザインの可能性もあると知ると本当にどの家に対しても拍手喝采をあげたくなります。ロシア人の美意識ともの造りの真髄ここにありと感じ入ります。

不思議なのは、見たこともないようなお菓子の家みたいな家や小さな宮殿みたいな家を見ていてに何故かものすごい懐かしさと親しみとを感じることです。それは木で作られた家だからですね、きっと。そういえば板張り外壁の建物はこのあたりでは最近ほとんで見かけなくなりました。(実は散歩コースに2箇所ほどそういう建物があってずっと長持ちして欲しいものだと全く勝手ながらいつも思っています)

新しい絵本を紹介しています。『雌鶏あるいは地下帝国の住人たち』はロシアでは魔法物語としてよく知られています。格調高く美しい挿絵はゲンナージ・スピーリン(1948〜)。ルブリョフやブリューゲルを崇拝し、精密でクラシカルで優美な独特の世界観で見る者を魅了しています。彼は1980年代からドイツやアメリカの出版社と仕事をしており1992年からはアメリカで暮らしており、アメリカでも高い評価を得ています。

魔法のお話ですが、スピーリンはこの芸術的な挿絵を下絵なしで描くそうですからこちらこそ魔法を使っているのではと思ってしまいます。多感な少年の表現にも注目です。贅沢な美の世界を堪能できます(直)

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