美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2025年5月
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2025年05月31日
落ち着かない天気が続いています。今日は激しい雨や風、そして雷も鳴ったり大荒れです。気温も低いので、しまいこんだ冬物再登場です。


善福寺川には様々な水鳥がいますが、アオサギを見かけました。以前は見かけなかったように思います。「君たちはどう生きるのか」で有名になったせいでしょうか。道ゆく人たちが歓声をあげて見ていました。そしてよく見かけるコサギ。川沿いを歩くのは楽しいです。

今週は美容院に行ったのですが、私の担当の方はこの時期、ルバーブのジャム作りに勤しむそうです。お休みの日に、赤い茎の良きルバーブを売っているお店にわざわざ出かけると聞きました。

私が初めてルバーブを知ったのは、30年くらい前になるでしょうか、軽井沢の沢屋さんのジャムからです。蕗のような植物の茎をジャムにするというのに驚いたことを覚えています。『軽井沢週末だより』(伊藤まさこ著、集英社)によると軽井沢のルバーブは宣教師が種子を持ち込んだことが始まりとのこと。軽井沢の冷涼な気候が合ったということでしょう。

ってことを思い出して「だとすれば、ロシアでも栽培されてるのかしら」と調べてみたら、ルーツはシベリアやアジアとあり、ロシアは原産国的立場でした。17世紀以降に欧州などで栽培が広がったようです。ロシアでもポピュラーな存在で古くからジャムや料理で親しまれていたようですが、知りませんでした。ロシアではРевень(リベーヌィ)と言います。

前述の『軽井沢週末だより』が出版された2012年当時では、日本ではルバーブがまだまた珍しい存在だったことが読むとわかります。でも最近は近所のお店でも見かけますし、だんだん知名度をあげてきていて興味深いです。

新しく絵本をご紹介しています。よろしくお願いします。『すずの兵隊』はアンデルセンの物語をアントン・ロマーエフの美しい挿絵が彩ります。

一本のすずのスプーンから作られた25人の兵隊のお人形。最後にできた兵隊はすずが足りなくて片足だけでした。その兵隊は方足で立って踊る姿の踊り子のお人形に恋をします…。

片足という運命の上に、小鬼のせいで窓から落ち、過酷な目に合うすずの兵隊。ロマーエフはその状況ひとつひとつを丁寧に緻密にそして華麗な筆致で描写し、小さくて哀れな無表情の兵隊の存在との対比を際立たせています。

暖炉の火で焼かれる兵隊と、その火に風で飛んでくる踊り子のページは、炎があまりにも美しく輝いているせいでかえって胸に迫るものがあります。

この物語は、小さい頃結末に釈然とせず、多分記憶から消したような気がします。久しぶりに読んでまたずんとしてしまいました。(直)
2025年05月24日

暑かったり、寒かったりな日々が続いています。終わったバラの枝の整理、プランターの植え替えなどを徐々に進めながら夏に備える日々です。草も木も、葉の色が芽吹の柔らかな色から濃い色に変わってきました。そんな緑色づくしの庭の中で、今はユスラウメとヘビイチゴの赤色が映えています。どちらも娘が小さい時には一緒に小籠に摘んで遊んでいましたが、さて本人は覚えているでしょうか。


木曜日はクニーシカの会がありました。テキストの『Моя собака любит жадно』をコズリナ先生のご指導のもと読み進めていきました。主人公のアンドリューハのおじさんは小さい頃はピオネールのラッパ奏者として結構認められていたけれど、結局はありふれた耳鼻咽喉科の医者になったと悔やんでいます。だからこそ、甥には若いのだから、ジャズを学べとハッパをかけます。そして文化の家で学ぶことを勧めます。


ソ連時代のロシアでは、学校は勉強だけをするところだったそうです。クラブ活動のようなことは、地域にある文化の家に行き、指導してもらっていたとのこと。これは私のロシア語の先生からも聞いていて、学校は日本の塾みたいで、運動会や学芸会もなかったそうです。文化の家は各地域にあり、規模や取扱う文化の分野もそれぞれで異なっていたそうです。わざわざ遠くの文化の家まで通ったり、いくつも掛け持ちする子がいたり、文化の家事情は中々興味深いと思いました。

アンドリューハは俄然やる気になりますが、一緒に歌う仲間がいない事を嘆きます。僕の孤独を癒すのであればうるさいハエでさえ、そう、誰だって構わないのにーと言います。ここは表現自体難しい箇所でしたが、先生からは、芸術家と孤独という哲学的な意味合いまで読み取りましょうとご指導がありました。

クニーシカの会では、時代背景を把握し、政治、文化なども理解した上で「文学」としてテキストを読んで行くということを大切にしています。先生は私たちの質問に丁寧に答えてくださいますし、予習でははっきり見えなかった世界が色つきで見え始めるような感覚があります。今回も革命以前の農民文化についてなど貴重なお話を伺って、よき学びの時となりました。


絵本をご紹介しています。人気のチャルーシンの『鴨っ子ちゃんのお話』はちょうど今は鴨に雛が産まれて親鳥と一緒に過ごす季節ですからピッタリですね。(直)



2025年05月17日


バラがピークを迎えました。今年も梅雨に入る前にビオラからベコニアへ植え替えようよ思っています。ベコニアといえば、毎年越冬できなかったのですがベランダに避難させてみた2つのプランターは大丈夫でした。モリモリ花を咲かせ始めています。


先日ビックサイトで開催された「文学フリマ」に初めて行ってきました。個人やグループで参加する様々なジャンルの文学創作作品の展示販売イベントですが、総出店者数は2747だそうで思ったより大きなイベントで驚きました。


気になった作品を色々ゲットしましたし、個人的にたくさん刺激をもらえて行って良かったです。ここではロシアに関連するものを3冊ご紹介します。まず『絵本で読むノーベル作家』(ノーベル文学賞を見守る会U美作)。ノーベル文学賞受賞作家あるいは候補作家の翻訳児童文学や絵本にスポットを当てるというたユニークな着眼点の1冊です。


ロシアからは『大きなタグボートのバラード』。(訳/沼野恭子、東京外国語大学出版)が紹介されていました。1987年に亡命先に米国でノーベル賞を受賞したヨシフ・ブロツキーの詩に、国際アンデルセン賞画家であるイーゴリ・オレイニコフが絵をつけた絵本です。U美さんも挿絵の美しさに注目しています。ブロツキーは22歳で詩人としてデビューしたものの詩作は労働ではなく「寄生」であるとして逮捕され、その後亡命先でノーベル賞受賞したら、本国から何度も帰国の誘いがあったとあります。死後約40年の月日を経てロシアでこのような美しい絵本が出版されたことをブロツキーは知りません。カランダーシで露語版を扱っていましたし、邦訳版は現在もお取り扱い中です。


また番外編として、ノーベル賞最有力候補であるリュドミラ・ウリツカヤの『子供時代』(沼野恭子訳/新潮クレスト)も紹介されていました。挿絵はリュバロフ。こちらは「さすがの筆致」と激賞されています。私も個人的に深く心に

残る作品集だと思っており、またリュバロフとの素晴らしいマッチングの妙についても言及されていました。カランダーシではリュバロフの『ユダヤの小話集』ウリツカヤの『優しくなるのは難しい』のお取り扱いしてます。


次の1冊は『旧ソ連で大学生やってました』(ロシア文芸サークル天竺ヨージク作)。学生時代にモスクワ、サンクト、カザン、ウクライナのキーウに留学していた方々の体験エッセイ集。そしてもう1冊はこのサークルの方々が翻訳した『柘榴石のブレスレット』(アレクサンドル・クプリーン作)です。実はまだ読んではいないので感想は書けないのですが、とにかくグループで文学作品を翻訳したものをきちんと書籍の形にしてしているところ、メンバーそれぞれのロシアとの関わりも冊子という形でまとめていらっしゃるところがすごいです!素晴らしいと思いました。尊敬です。


最後に前述の『絵本で読むノーベル賞作家』の中になんとも懐かしい1冊がありましたので追記します。『ポール・ポーサイモンのどうぶつえん』(作/ポール・サイモン、絵/バレリー・ミショー、訳/紫門ふみ、小学館)です。うちの子どもたち小さい頃とにかく大好きだった絵本です。長女のお誕生の時に贈り物でいただいきました。それにしてもポール・サイモンがノーベル文学賞候補に名前が上がったりしていたとは知りませんでした。


ロシア絵本を紹介しています。久しぶりに『ハリネズミ』が登場です。この絵本はリクエストもありカランダーシでも人気の絵本でしたが、どうやら本国でもかなり好評だったのでしょう、判型が変わりましたが再び出版されたようです。(直)
2025年05月10日

気温も低めで雨も多い今日この頃です。ゴールデンウィークの間は窓を開けるとベランダのジャスミンの香りが入ってきていましたがそれも終わりました。今はあちこち自然に増えてきた紫蘭が綺麗です。ヴィオラたちもちょっと徒長してきましたがまだまだ頑張ってほしいところです。そして今年もバラが咲き出しました。楽しみです。

連休の前になりますが、4月24日にクニーシカの会を開催しました。コズリナ先生のご指導のもと『Моя собака любит джаз』を読み進めていきました。主人公はおじさんに連れていってもらった文化の家でジャズの演奏に魅了されてゆきます。観衆は手拍子や足を鳴らしたり。そして面白かったのはえんどう豆の入った瓶を鳴らす人たちがいたという箇所です。また今回はいよいよ飼い犬のキートが登場しました。これからどんな展開になるのか楽しみです。

クニーシカの会の前日にコズリナ先生に教えていただいた「北川フラム塾 芸術祭を横断的に学ぶ第42回瀬戸内芸術祭2025(ゲスト=レオニード・チシコフ、マリーナ・モスクヴィナ)」をオンラインで視聴しました。モスクヴィナさんはクニーシカの会の今のテキストの著者です。タイムリーなタイミングでお話を聞けたのはありがたい事でした。

まず、今秋開催される瀬戸内芸術祭について詳細な説明があり、チシコフさん、モスクヴィナさんはアーティストとしてこの芸術祭にどのように関わるのかモスクワからオンラインでお話をしてくださいました。私も見に行った2019年に市原湖畔美術館で開催された「夢見る力ー未来への飛翔 ロシア現代アートの世界展」でも出品したような糸を編んで東香川の特産品である手袋の大きなオブジェを製作することや物語の作成の予定などなど熱意を持って取り組んでいる様子を伝えて下さいました。

ロシア現代アートといえば、コズリナ先生が6月10日に早稲田大学で「ロシアアンダーグラウンドアートについて」講義をされるそうです!どなたでも参加できます。
https://www.waseda.jp/fedu/edu/news/2025/04/25/19216/
そういえば私とコズリナさんの出会いもアンダーグラウンドアートの講座でした。懐かしいです。

新しく絵本を紹介しています。アントン・ロマーエフ画の『豆の上のお姫様』はアンデルセンの有名なお話。小さなお豆一粒が気になり眠れないということが本物のお姫様の証になります。ロマーエフの挿絵は繊細な筆使いと大胆な面白い構図で驚きがあり流石だなぁと感心させられます。お庭の描写がリアルですが、実際にかつての貴族の公園を散歩している時にこの絵本のアイデアを思いついたそうですから納得です。サンクトの「夏の庭園」に行った事を思い出します。


さて、東京も気温が低めですが、モスクワも今週雪が降ったとのことで私のロシア語の先生も驚いていました。季節の移ろいはままならないものですね。体調に気をつけながら過ごしてゆきたいと思います。(直)
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