2025年03月01日
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3月が始まりました。少し前になりますが神代植物園に梅を見に行きました。この時はまだこれからという感じでしたが、今頃はきっとどの木も満開でしょう。蝋梅が美しく良い香りだったのが印象に残っています。実は最近体調が芳しくなくぼんやりしていましたが、庭の蕗の薹や水仙が随分と季節が進んでいることを教えてくれます。
木曜日はコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会を開催しました。今回は林檎の漬物(Мочёные яблоки)を作るのが得意なお母さんとそれが大好きな息子のお話でした。クマになる魔法をかけられた息子は知り合った雌グマと結婚のキスをしたら元の人間の姿に戻りましたが、その雌グマが実は王様の娘で…というお話です。
Мочёные яблоки は林檎を酢や砂糖などを混ぜた液体に漬け込んだもので、ダーチャなどで枝にたわわに実をつけた大量の林檎を何とかして無駄にしないようにと考えた保存食でコズリナ先生にとっては祖母の味的なものらしいことなど教えていただきました。
この漬物に私たちは興味津々であれこれ質問しながら味を想像したのですが、結局多分皆ピンとはこなかったような気がします。個人的にはいつか実物を是非食べてみたいと思っています。
奇想天外な短いお話をたくさん読んできましたが、いよいよ次回短いお話をひとつ読んだらこの『Сказки про МАМというテキストもおしまいです。次は先生が選んでくださった『Моя собака любит джаз』(僕の犬はジャズが好き)という本を読んでいきます。タイトルだけでも面白そうなので今から楽しみです。この機会に是非クニーシカの会にご参加ください。ご連絡お待ちしています。
新しい絵本などを紹介しています。その中の『ジャックが建てた家』はサムイル・マルシャークがイギリスの有名な民謡やルイス・キャロルやキップリングなどの作家たちが創作した児童のための詩を翻訳したものを編んだ一冊です。マルシャークは新婚時代の1912年にロンドン大学に留学しておりイギリス中を歩き民謡を聴き、翻訳に取り組み始めました。
書籍のタイトルになった「ジャックの建てた家」はイギリスの児童民謡ですが、
ーほら、これはジャックが建てた家、
ーこれはジャックの建てた家の暗い納戸に保管されてる小麦…
と次々と言葉が積み重なってゆく積み重ね唄と言われるものです。英国のオリジナル絵本としてはコルデコットの挿絵の絵本が有名かもしれません。繰り返しのリズムと思いもよらぬストーリー展開をマルシャークによるロシア語の詩で楽しむのも愉快なことでしょう。
挿絵はイリヤ・カバコフ(2023年没)。ソ連時代後期からトータル・インスタレーションアーティストとして世界的に名を馳せたカバコフは、一方で長い間児童書や雑誌のイラストレーターとして仕事をしてきました。この詩集では、挿絵をコマ割にしたり背景の中に囲み枠を使って描き分けたりと1作1作描き方に工夫がありとても面白いですし、巧みな線画で描かれる世界観は軽妙でありながら味わい深く余韻が残ります。