美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2024年05月25日

今年も神保町ささまさんの大好きな紫陽花をいただくことができました。庭の紫陽花やアナベルの蕾もだんだんと大きくなってきまし、終わってしまったバラの枝を整理してプランターも一気にビオラからベコニアに植え替えを済ませました。雨の季節がもうすぐです。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会がありました。今回は新しい方の参加もありました。感謝。色々なお母さんが登場する『 Сказки про МАМ』というテキストを読んでいますが、今回は子どもにご飯をあげたのかあげてないのかすぐ忘れてしまうお母さんや、食材を買いに出かけたのに自分の洋服を買ってきてしまうお母さんなども登場。皆で楽しく訳してゆきました。

あるお母さんを表現する形容詞に「Рассеянный」という言葉が出てきました。辞書によるとそそっかしい、ぼんやりしている、怠惰なという意味があるようです。個人的にこの言葉をどう捉えていいのかピンとこなくて、具体的なイメージについて質問してみました。

そこで先生はこの言葉のニュアンスの例としてマルシャークの「Вот какой рассеянный」という詩を紹介してくださいました。この言葉についてロシアではこの詩をイメージする人が多いかもしれないということでした。

この詩は以前、クニーシカの会発足以前に3人程で集まってロシア語絵本を読んでいた頃に「何たる怠け者」と訳してひととおり読んだことがありました。やることなすことチグハグでダメダメなおじさんの一部始終を表現したユーモアのある詩です。

資料の棚からその詩が収録されているマルシャークの2冊の詩集を取り出して改めて見てみました。チュコフスキー版は一見生真面目そうなおじさんが淡々とドジを重ねてゆく感じがシュールです。一方レーベジェフは喜劇王チャップリンを模した哀愁のあるコミカル表現で惹きつけらます。

この詩を紹介してくださったので、ああ、注意力が散漫で見当違いのことをしてしまう、側から見るとおかしなお母さんという感じかな、と私なりに理解が深まりありがたいことでした。

そういえば今週、ベランダのステップで足を踏み外し転んで足を捻ってしまいました。最初くるぶしあたりが腫れてちょっと痛かったのですが大事には至らなくてホッとしているところです。注意散漫だったのだと思います。気をつけなければです。

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いいたします。(直)

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2024年05月18日


そろそろバラの季節もおしまいです。ツルバラを生けて飾っています。甘い香りに名残を惜しみつつ。

新しく絵本をご紹介しています。その中でチェコそして世界でも人気のキャラクター、クルテクの露語版絵本をご紹介しています。

クルテクとはチェコ語でもぐらのこと。画家であるズデニェク・ミレルが森の散歩中にもぐらの穴で転んだことから生まれたキャラクターだそうです。絵本では他にも森の動物たちが登場します。

ミレルは最初アニメーターとしてスタートします。終戦後に初監督作品「おひさまを盗んだ億万長者」で1948年ヴエネチア映画祭特別賞を受賞しています。クルテクもアニメーション作品として人気を博しますし、その第一弾「もぐらくんとズボン」はヴェネチア映画祭やモンテヴィオ映画祭などで受賞を重ねています。

もぐらは絵本の主人公としてはあまり見かけることはありません。実際の姿を見ることが中々できないからかもしれません。でも、友人がもぐらはお庭の敵だと言っていましたし、公園などでもぐらが掘った後の土の盛り上がりは見かけます。もっと注目しても良い動物なのかもしれませんね。

個人的にチェコの絵本は数冊持っていますが、その中でもトゥルンカ画『動物と人間(多分)』という絵本は大好きでずっと壁に飾っています。この表紙イラストはチェドックザッカストアの谷岡氏の著書『チェコへ、絵本を探しに』の表紙にも使われています。興味がある方はオープンルームの時にぜひご覧ください(直)

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2024年05月12日



段々と夏が近づいてきました。今年も庭の6種類のバラが綺麗に咲いています。あっという間にブワッと満開になるものや蕾のままじっと何日もそのままのもの…個体によって咲き方に個性があって面白いです。

GWに金沢の石川県立美術館で「脇田和と佐藤忠良ー子どもへのまなざし」展を見てきました。脇田和さんは福音館書店刊絵本『おだんごぱん』の絵を、佐藤忠良さんは同書店刊『おおきなかぶ』の絵を描きました。

このふたつの絵本は福音館書店の月刊絵本『こどものとも』の中から生まれたロングセラー絵本です。日本でロシアの絵本といえばこのふたつを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

石川県立美術館では脇田和さんの作品を321点収蔵しており、交流の深い作家の作品を交えてその魅力を伝える企画展の第2弾として、美術教育に長い間携わり、家族や子どもなどをテーマにした作品が多い、絵本画家としての活躍という共通点があり、本人たちにも直接の交流があったことなどから佐藤忠良さんとの今展が開催されたということです。

会場にはおふたりの多数の美術作品や資料、そして絵本の原画(『おおきなかぶ』からは1点のみでしたが)が展示されており、芸術家としての全体像をしっかりと受け取ることができました。

ロシアという視点からですと、彫刻家である佐藤さんはシベリア抑留の体験があり、その時に紙も鉛筆もない中で、目だけでロシア人や風物をデッサンしていたと言われ、絵本の絵にリアルさを追求したかった当時の編集担当の松居直さんによって『おおきなかぶ』の「画家」として抜擢されたという経緯があります。

脇田さんは直接ロシアとの接点はありませんが、やはり松居さんがロシア昔話のおだんごぱんのリズムを表現するにあたり、当時注目していた脇田さんに白羽の矢をたてたという背景があります。

実際の作品を見ると佐藤忠良さんのブロンズ像は対象者のリアルが静かな説得力を持って迫ってきますし、脇田さんの抽象性を取りいれた創造性に富んだ独特の世界観のある絵画作品には想像力を刺激されました。

作品を見た後で今一度ふたつの絵本について考えてみました。今展の二人の芸術家の作風と絵本への起用についてです。ふたつともロシアの昔話が題材で次々と登場人物が登場して展開してゆくお話です。けれどもゆきつく結末は異なります。

『おおきなかぶ』という絵本は、佐藤さんの絵で視覚的な写実性を持たせることで読者はきっと実際的(リアル)な共感を持ち、かぶが抜けた時に実感を持って共にめでたし的な気持ちになることに成功した作品なのだと改めて思い至りました。今回佐藤さんの多くのブロンズ像を見たことでその納得度が深まった気がします。

そして一方『おだんごぱん』のように主人公が最後にキツネに食べられてしまうという結末のお話の場合、おだんごに感情移入する読者もいますから絵本作りを考えた場合難しさもあったのではと推測します。でも脇田さんの絵の落ち着いた色調のファンタジー性のある表現を用いたことで、何かちょっと不思議な余韻を持つ絵本となりました。脇田さんの多くの作品から受ける「もの悲しさ」みたいなものも松居さんがこの絵本に込めたかったニュアンスだったのかもしれません。

というわけで脇田さん、佐藤さんの作品を通して松居直さんの絵本の作り方についてあれこれ想像を巡らすこともできましたし良き学びとなりました。

私はこのふたつのお話はすでにボローニャ絵本館でロシア語絵本でお話をしています。同じお話でも絵の違う絵本を用いましたので、聞いていた子どもたちはまた異なるイメージを持ってお話を受け取ったかもしれません。そのあたりは興味深いことです。

作品鑑賞のあとで美術館のカフェで『おだんごぱん』のチーズタルトをいただきました。タルトには顔が描かれていましたが、これも脇田さんによるおだんごぱんの絶妙なお顔のデザインのおかげなのか?あまり良心をいためずにパクリといただくことができました。

窓からは美しい新緑が見えて綺麗でした。同館で開催中の工芸品の展示も素晴らしかったです(直)





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