2025年07月05日

このところ、私の1日は早朝の植物の水やりからスタートしています。今朝は珍しく羽黒蜻蛉を見かけました。調べたら東京では絶滅危惧種に指定されているようです。4枚の羽根を広げひらひらと舞うように飛ぶ姿は幻想的でしばし見惚れてしまいました。出会うと運がいいそうで早起きのご褒美だと思うことにしました。百合が開花して良い香りです。
先日こちらでもご紹介した『ババヤガの夜』(王谷晶著)が英国のダガー賞を受賞しました。日本人初の快挙だそうです。
ということでバーバ・ヤガーとは何者であるか再度カランダーシの資料などから確認することにしました。『ババヤガの夜』で主人公は、鬼婆(バーバ・ヤガー)は、最初は敵か味方分からないでもそれが面白いと言っています。正にその通りで、味方にもなるし敵にもなる、決めつけのできない不気味な存在というところが、ロシアの昔話の中で読者を惹きつける魅力になっていると思います。
決まっているのは、骸骨を飾った柵で囲まれた鶏の足が生えて動き回れる小屋に住む痩せた老婆であり、自身は臼に乗り杵でハンドル操作をし、箒でその足跡を消しながら移動することができるということ。

そして大切なのは、森の中に住んでいることです。森とはあの世、死の世界の入口です。バーバ・ヤガーは死を象徴する存在とも言えるでしょう。そこでは、既存のルールは通用しません。バーバ・ヤガーはそこでこの世界から来る人たちを待ち受け、働かせたり、虐めたり、あるいは殺したり、そして助けたりもするのです。アフォナーシェフ『ロシアの民話』(群像社)のバーバ・ヤガーのいくつかのお話を読んでいても、案外コロッと人間の知恵に負けていますし、本当に(もちろん怖いですけど)不思議に満ちた存在と言えるでしょう。


ビジュアル的には、ビリービン画『麗しのワシリーサ』の挿絵が有名かもしれません。ベヌアのものは臨場感があり個人的に好きな絵です。

カランダーシには『バーバ・ヤガー』(アーネスト・スモール著)『おばけのバーバ・ヤガー』(カロリコフ再話)『マーシャとババヤガーのおおきなとり』(宮川やすえ文)などの日本語絵本がありますが、小屋の描き方もそれぞれで面白いです。


小屋はとても大切なアイコンでロシアの人たちににとても親しまれています。ラチョフのポップアップブックにも小屋だけが登場しますし、私が思い出すのはモスクワ動物園にあった巨大モニュメントの中に組み込まれた小屋です。大地を踏み締めるとても立派な鶏の足が印象的でした。


ロシア絵本を紹介しています。『サモワール』はカランダーシでも人気の絵本で、何回目かの入荷です。サモワールの形をした絵本の中に生活感溢れる親しみやすい詩が収録されている楽しい絵本です。