美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2025年06月21日

蒸し暑い日が続いています。今日はもう夏至です。
庭では何種類かの紫陽花が咲いていますが、確か柏葉紫陽花が一番先に咲いて今尚綺麗ですし、やっと小さな蕾が顔を出した別種株もあり、まだまだ楽しめそうです。

今年は地植えの百合のひと株が私の身長を越える程大きくなり、蕾をつけました。昨秋鉢に植えた二つの球根も順調に育って、こちらも蕾をつけていますから楽しみです。

最近、英国推理作家協会のゴールドダガー賞の最終候補に残って話題の『ババヤガの夜』(王谷晶著)と『BUTTER』(柚木麻子著)を読みました。

『ババヤガの夜』は先日の広島行きの新幹線で一気に読んでしまいました。こちらはもちろんタイトルが気になったのは言うまでもありません。ババヤガとはロシアの民話に登場するバーバ・ヤガー(Ба́ба-Яга́)のことでしょうから、ストーリーとの関連性に興味津々だったのです。

「血が逆流するような描写と大胆な仕掛けで魅せる不正出のシスター・バイオレンスアクション」という帯文は間違いではないでしょう。その中でババヤガは、主人公が昔話で聞いた存在として登場し、最終的に大切な意味合いを持ってストーリーを着地させます。小説の中ではババヤガという言葉は出てきません。鬼婆という言葉で表現されていました。

うんざりするような閉塞的で血生臭い世界の描写の連続の中に、ババヤガという一般的には多分わかりにくい神秘的なファンタジー要素を盛り込むことで、文学としての奥行きの構築に成功したと思いました。面白かったです。

『BUTTER』はロシア関連は関係ないのですが、各方面での高評価は納得の、こちらも面白い小説でした。この2冊は全然異なるタイプの小説でありながら、この社会、世界で女性が生きてゆくことの難しさが浮き彫りになっており、その意味では共通点があると思えます。そしてそれが翻訳され、英国で人気を博してしいるのは興味深いことです。余談ですが、この小説のおかげ?で我が家ではちょっとしたエシレ・バターブームが起きました。

新しくロシア絵本を紹介しています。なかでも『木の絵本』は魅力的な絵本です。木の形になっていて、ページを開いて立たせることもできるのでお部屋に飾れます。

それぞれのページにも仕掛けがあって、キツツキが木を叩いたり、ハヤブサが木のてっぺんに登ったり、小鳥のたまごが雛になったりが操作できます。

くりぬきの覗き穴もあったり、地下の世界も教えてくれます。一本の木と共に生きる生き物たちの物語をこの絵本を捲ることで知ることができます。

とても凝っていて素敵な絵本です(直)

2025年06月15日

オープンルームのために久しぶりにソ連時代の絵本を飾りました。実際に手に取って見ていただくと様々な発見があると思います。ほとんどが紙をホッチキスでとめただけの簡単な作りの絵本です。カランダーシの貴重な資料として大切にしてゆかなければとあらためて思います。

6月10日、早稲田大学で行われたナディア・コズリナさんの講演会「ソビエト・アンダーグラウンド・アート:誠実に創作すること:見えないと感じる時でも、精神を保ちながらアートに忠実でいること」(1960〜1980年代)」に行ってきました。

「鉄のカーテン」の向こうでどんな芸術活動が行われていたのか、アヴァンギャルドの衰退以降のアンダーグラウンドのムーヴメントを時代背景と共に具体的に網羅してゆくという非常に濃い内容の講演でした。

表現者、芸術家として生きるにはあまりにも不自由な時代の中で、それでも自らのテーマをどうにかして発表しようとしてきたアーティストたちの軌跡。ただ、暗くて辛いという印象よりも創作と発表の場を創意と工夫で作りだすアーティストたちのバイタリティに驚かされ感服しました。

カバコフやブラトフのような生活のために絵本の仕事をしていたアーティストの話もありました。本来描きたいものとは別に向き合っていた絵本の世界。結局はソ連終焉と共に見向きもされなくなるのは、個人的には絵本で出会ったアーティストたちなのでちょっと複雑な気もします。だからこそクオリティの高い絵本も作られたとも言えますが。

最後にコズリナさんはカバコフの言葉を引用して講演を終えました。「私は進んだり戻ったりしながら、また前へ進んでゆくのだと思う。閉じた後には必ず開かれる時代がやって来る」良き学びとなりました。

新しく絵本を紹介しています。カバコフの作品もあります。よろしくお願いします。




2025年06月09日


広島に用事があり、せっかくなのでついでにひとりであちこち巡る旅をしてきました。
実は広島は初めての場所。やっと平和記念公園に行き、平和記念資料館を訪れ、原爆ドームを実際に見ることができました。楠の木の緑が美しく涼しい風が吹いていました。今年は戦後80年。あらためて平和へ思いを馳せる機会となりました。


平和記念公園のご近所のひろしま美術館にも寄りました。「ごろごろまるまるネコづくし展」で浮世絵を中心とした猫と人間の関わり合いにほっこりして、著名な画家の作品が次々に繰り出されるコレクション展ではとてもとても贅沢な時間を過ごすことができました。カフェでは可愛い猫ちゃんのムースをいただきました。


うんと早起きして向かったのは宮島・厳島神社です。まだどこのお店もまだ閉まっていて、風吹き抜ける社殿と海の中に建つ大鳥居を静かで清々しい朝の空気の中で訪ねることができたのは良かったです。また海を覗けば大きな魚たちが泳いでいましたし、地上では鹿たちがあちこちで昼寝(朝なのに?)しており、黒猫が小鳥を追って松に駆け上りひと騒動なんてこともあり、そういうことも旅の大切な思い出となりました。


そして、今回どうしても行ってみたかったのが下瀬美術館でした。ちょっと市内から離れていますが、頑張って行ってきました。2024年ユネスコの建築賞であるベルサイユ賞「世界で一番美しい美術館」に選出された2023年に開館したばかりの新しい美術館です。


なんと言っても坂茂氏の設計で水に浮かべて動かすことのできる造船所で作ったコンテナ式展示室という発想が斬新すぎますし、またその発想が瀬戸内海の島々から得たというところも興味津々でした。ちょうど若いアーティストの多彩な表現を見られる「周辺・開発・状況」展開催中でしたが、展示室の扉を開きながら進んでゆくという玉手箱を巡るような鑑賞体験はもちろん初めてで面白いものでした。


「アートの中でアートを見る」というコンセプトで建てられたという各棟は大きなミラーガラススクリーンで(メンテナンスが知りたいと思いました)一体化されています。そして、そのガラスに映る瀬戸内の海の景もまたアートであるということ然り、スタイリッシュで開放的なエントランス棟の天井を木材を使った木の造形で覆っていることも然り、また庭がエミール・ガレ!がテーマの美しい花の庭であること然り(こちらもメンテナンスの仕方が気になりました)屋上から美術館と瀬戸内海を見渡せるようになっていること然り…自然との新しい角度での一体化、調和を具現化しようとする姿勢からは、決して懐古ではなく未来へ向かっての創造であるという明確な矢印を感じました。本当に刺激的で貴重な訪問体験となり行って良かったです。

たくさん歩いて、時には全速力で走って!の急ぎ足での旅でしたから、体力使いましたが、良き旅でした。感謝。(直)
2025年05月31日
落ち着かない天気が続いています。今日は激しい雨や風、そして雷も鳴ったり大荒れです。気温も低いので、しまいこんだ冬物再登場です。


善福寺川には様々な水鳥がいますが、アオサギを見かけました。以前は見かけなかったように思います。「君たちはどう生きるのか」で有名になったせいでしょうか。道ゆく人たちが歓声をあげて見ていました。そしてよく見かけるコサギ。川沿いを歩くのは楽しいです。

今週は美容院に行ったのですが、私の担当の方はこの時期、ルバーブのジャム作りに勤しむそうです。お休みの日に、赤い茎の良きルバーブを売っているお店にわざわざ出かけると聞きました。

私が初めてルバーブを知ったのは、30年くらい前になるでしょうか、軽井沢の沢屋さんのジャムからです。蕗のような植物の茎をジャムにするというのに驚いたことを覚えています。『軽井沢週末だより』(伊藤まさこ著、集英社)によると軽井沢のルバーブは宣教師が種子を持ち込んだことが始まりとのこと。軽井沢の冷涼な気候が合ったということでしょう。

ってことを思い出して「だとすれば、ロシアでも栽培されてるのかしら」と調べてみたら、ルーツはシベリアやアジアとあり、ロシアは原産国的立場でした。17世紀以降に欧州などで栽培が広がったようです。ロシアでもポピュラーな存在で古くからジャムや料理で親しまれていたようですが、知りませんでした。ロシアではРевень(リベーヌィ)と言います。

前述の『軽井沢週末だより』が出版された2012年当時では、日本ではルバーブがまだまた珍しい存在だったことが読むとわかります。でも最近は近所のお店でも見かけますし、だんだん知名度をあげてきていて興味深いです。

新しく絵本をご紹介しています。よろしくお願いします。『すずの兵隊』はアンデルセンの物語をアントン・ロマーエフの美しい挿絵が彩ります。

一本のすずのスプーンから作られた25人の兵隊のお人形。最後にできた兵隊はすずが足りなくて片足だけでした。その兵隊は方足で立って踊る姿の踊り子のお人形に恋をします…。

片足という運命の上に、小鬼のせいで窓から落ち、過酷な目に合うすずの兵隊。ロマーエフはその状況ひとつひとつを丁寧に緻密にそして華麗な筆致で描写し、小さくて哀れな無表情の兵隊の存在との対比を際立たせています。

暖炉の火で焼かれる兵隊と、その火に風で飛んでくる踊り子のページは、炎があまりにも美しく輝いているせいでかえって胸に迫るものがあります。

この物語は、小さい頃結末に釈然とせず、多分記憶から消したような気がします。久しぶりに読んでまたずんとしてしまいました。(直)
2025年05月24日

暑かったり、寒かったりな日々が続いています。終わったバラの枝の整理、プランターの植え替えなどを徐々に進めながら夏に備える日々です。草も木も、葉の色が芽吹の柔らかな色から濃い色に変わってきました。そんな緑色づくしの庭の中で、今はユスラウメとヘビイチゴの赤色が映えています。どちらも娘が小さい時には一緒に小籠に摘んで遊んでいましたが、さて本人は覚えているでしょうか。


木曜日はクニーシカの会がありました。テキストの『Моя собака любит жадно』をコズリナ先生のご指導のもと読み進めていきました。主人公のアンドリューハのおじさんは小さい頃はピオネールのラッパ奏者として結構認められていたけれど、結局はありふれた耳鼻咽喉科の医者になったと悔やんでいます。だからこそ、甥には若いのだから、ジャズを学べとハッパをかけます。そして文化の家で学ぶことを勧めます。


ソ連時代のロシアでは、学校は勉強だけをするところだったそうです。クラブ活動のようなことは、地域にある文化の家に行き、指導してもらっていたとのこと。これは私のロシア語の先生からも聞いていて、学校は日本の塾みたいで、運動会や学芸会もなかったそうです。文化の家は各地域にあり、規模や取扱う文化の分野もそれぞれで異なっていたそうです。わざわざ遠くの文化の家まで通ったり、いくつも掛け持ちする子がいたり、文化の家事情は中々興味深いと思いました。

アンドリューハは俄然やる気になりますが、一緒に歌う仲間がいない事を嘆きます。僕の孤独を癒すのであればうるさいハエでさえ、そう、誰だって構わないのにーと言います。ここは表現自体難しい箇所でしたが、先生からは、芸術家と孤独という哲学的な意味合いまで読み取りましょうとご指導がありました。

クニーシカの会では、時代背景を把握し、政治、文化なども理解した上で「文学」としてテキストを読んで行くということを大切にしています。先生は私たちの質問に丁寧に答えてくださいますし、予習でははっきり見えなかった世界が色つきで見え始めるような感覚があります。今回も革命以前の農民文化についてなど貴重なお話を伺って、よき学びの時となりました。


絵本をご紹介しています。人気のチャルーシンの『鴨っ子ちゃんのお話』はちょうど今は鴨に雛が産まれて親鳥と一緒に過ごす季節ですからピッタリですね。(直)



2025年05月17日


バラがピークを迎えました。今年も梅雨に入る前にビオラからベコニアへ植え替えようよ思っています。ベコニアといえば、毎年越冬できなかったのですがベランダに避難させてみた2つのプランターは大丈夫でした。モリモリ花を咲かせ始めています。


先日ビックサイトで開催された「文学フリマ」に初めて行ってきました。個人やグループで参加する様々なジャンルの文学創作作品の展示販売イベントですが、総出店者数は2747だそうで思ったより大きなイベントで驚きました。


気になった作品を色々ゲットしましたし、個人的にたくさん刺激をもらえて行って良かったです。ここではロシアに関連するものを3冊ご紹介します。まず『絵本で読むノーベル作家』(ノーベル文学賞を見守る会U美作)。ノーベル文学賞受賞作家あるいは候補作家の翻訳児童文学や絵本にスポットを当てるというたユニークな着眼点の1冊です。


ロシアからは『大きなタグボートのバラード』。(訳/沼野恭子、東京外国語大学出版)が紹介されていました。1987年に亡命先に米国でノーベル賞を受賞したヨシフ・ブロツキーの詩に、国際アンデルセン賞画家であるイーゴリ・オレイニコフが絵をつけた絵本です。U美さんも挿絵の美しさに注目しています。ブロツキーは22歳で詩人としてデビューしたものの詩作は労働ではなく「寄生」であるとして逮捕され、その後亡命先でノーベル賞受賞したら、本国から何度も帰国の誘いがあったとあります。死後約40年の月日を経てロシアでこのような美しい絵本が出版されたことをブロツキーは知りません。カランダーシで露語版を扱っていましたし、邦訳版は現在もお取り扱い中です。


また番外編として、ノーベル賞最有力候補であるリュドミラ・ウリツカヤの『子供時代』(沼野恭子訳/新潮クレスト)も紹介されていました。挿絵はリュバロフ。こちらは「さすがの筆致」と激賞されています。私も個人的に深く心に

残る作品集だと思っており、またリュバロフとの素晴らしいマッチングの妙についても言及されていました。カランダーシではリュバロフの『ユダヤの小話集』ウリツカヤの『優しくなるのは難しい』のお取り扱いしてます。


次の1冊は『旧ソ連で大学生やってました』(ロシア文芸サークル天竺ヨージク作)。学生時代にモスクワ、サンクト、カザン、ウクライナのキーウに留学していた方々の体験エッセイ集。そしてもう1冊はこのサークルの方々が翻訳した『柘榴石のブレスレット』(アレクサンドル・クプリーン作)です。実はまだ読んではいないので感想は書けないのですが、とにかくグループで文学作品を翻訳したものをきちんと書籍の形にしてしているところ、メンバーそれぞれのロシアとの関わりも冊子という形でまとめていらっしゃるところがすごいです!素晴らしいと思いました。尊敬です。


最後に前述の『絵本で読むノーベル賞作家』の中になんとも懐かしい1冊がありましたので追記します。『ポール・ポーサイモンのどうぶつえん』(作/ポール・サイモン、絵/バレリー・ミショー、訳/紫門ふみ、小学館)です。うちの子どもたち小さい頃とにかく大好きだった絵本です。長女のお誕生の時に贈り物でいただいきました。それにしてもポール・サイモンがノーベル文学賞候補に名前が上がったりしていたとは知りませんでした。


ロシア絵本を紹介しています。久しぶりに『ハリネズミ』が登場です。この絵本はリクエストもありカランダーシでも人気の絵本でしたが、どうやら本国でもかなり好評だったのでしょう、判型が変わりましたが再び出版されたようです。(直)
2025年05月10日

気温も低めで雨も多い今日この頃です。ゴールデンウィークの間は窓を開けるとベランダのジャスミンの香りが入ってきていましたがそれも終わりました。今はあちこち自然に増えてきた紫蘭が綺麗です。ヴィオラたちもちょっと徒長してきましたがまだまだ頑張ってほしいところです。そして今年もバラが咲き出しました。楽しみです。

連休の前になりますが、4月24日にクニーシカの会を開催しました。コズリナ先生のご指導のもと『Моя собака любит джаз』を読み進めていきました。主人公はおじさんに連れていってもらった文化の家でジャズの演奏に魅了されてゆきます。観衆は手拍子や足を鳴らしたり。そして面白かったのはえんどう豆の入った瓶を鳴らす人たちがいたという箇所です。また今回はいよいよ飼い犬のキートが登場しました。これからどんな展開になるのか楽しみです。

クニーシカの会の前日にコズリナ先生に教えていただいた「北川フラム塾 芸術祭を横断的に学ぶ第42回瀬戸内芸術祭2025(ゲスト=レオニード・チシコフ、マリーナ・モスクヴィナ)」をオンラインで視聴しました。モスクヴィナさんはクニーシカの会の今のテキストの著者です。タイムリーなタイミングでお話を聞けたのはありがたい事でした。

まず、今秋開催される瀬戸内芸術祭について詳細な説明があり、チシコフさん、モスクヴィナさんはアーティストとしてこの芸術祭にどのように関わるのかモスクワからオンラインでお話をしてくださいました。私も見に行った2019年に市原湖畔美術館で開催された「夢見る力ー未来への飛翔 ロシア現代アートの世界展」でも出品したような糸を編んで東香川の特産品である手袋の大きなオブジェを製作することや物語の作成の予定などなど熱意を持って取り組んでいる様子を伝えて下さいました。

ロシア現代アートといえば、コズリナ先生が6月10日に早稲田大学で「ロシアアンダーグラウンドアートについて」講義をされるそうです!どなたでも参加できます。
https://www.waseda.jp/fedu/edu/news/2025/04/25/19216/
そういえば私とコズリナさんの出会いもアンダーグラウンドアートの講座でした。懐かしいです。

新しく絵本を紹介しています。アントン・ロマーエフ画の『豆の上のお姫様』はアンデルセンの有名なお話。小さなお豆一粒が気になり眠れないということが本物のお姫様の証になります。ロマーエフの挿絵は繊細な筆使いと大胆な面白い構図で驚きがあり流石だなぁと感心させられます。お庭の描写がリアルですが、実際にかつての貴族の公園を散歩している時にこの絵本のアイデアを思いついたそうですから納得です。サンクトの「夏の庭園」に行った事を思い出します。


さて、東京も気温が低めですが、モスクワも今週雪が降ったとのことで私のロシア語の先生も驚いていました。季節の移ろいはままならないものですね。体調に気をつけながら過ごしてゆきたいと思います。(直)
2025年04月19日

カランダーシは4/26〜5/6までお休みいたします。ご注文は自動で受け付けています。発送は5/7以降となります。よろしくお願いします。
2025年04月12日

この辺りの桜もお終いになってきました。私の庭の東側は今例年通り勝手に増えたハナニラが一斉に咲いて春の野原の様相です。以前、友人がうさぎの庭みたいと言っていましたがまさにそんな雰囲気です。西側の庭では定着して増え始めているグランドカバーのカキドオシ(グレゴマ)が花が咲きだしました。こちらのスペースも野原感満載です。


少し前新宿御苑にお花見に行きました。花曇りもまた風情と桜から桜へゆっくりと歩きながら春を楽しむことができました。こちらの桜は都心で気温が高いせいなのか開花が早いように思います。染井吉野は散るばかりの中、次の主役の八重桜の蕾が膨らんでいました。


今週も新しくロシア絵本を紹介しています。『自分のためだけの手紙』は久しぶりのオレイニコフ挿絵の本です。著者はトーン・テレヘン。オランダの詩人であり児童文学者であり医師でもあり、母親がロシア生まれのロシア人です。


テレヘンは日本で『ハリネズミの願い』(長山さき訳/新潮社)が2017年本屋大賞の翻訳小説部門を受賞しています。せっかくなので読んでみました。

森に住むハリネズミがお友だちを家に招待しようか招待したらどうなるかなど具体的に様々な動物を想定してはあれこれ考えを巡らしながら自分自身とも向き合うお話です。短いお話が59章続きますが、これはテレヘンが自分の子どもに語ってきかせていたお話をまとめたものだそうです。

考え過ぎるゆえに行動に踏み出せない、自分に自信を持てないゆえに殻に閉じこもってしまうなどのハリネズミの特徴に多くの人々が共感したいうのはよくわかりますし、哲学的ともいえる問いかけが散りばめられていて味わい深いお話でした。

個人的には、この短いお話が子どもへのお話をまとめたというエピソードについて関心を持ちました。私はきっとそれはロシア人である母親がきっとテレヘンにしてあげていた習慣であっただろうと想像したのです。もちろん世界中どこででもどんな家庭でもそういう習慣はあると思いますが、ロシアはその率が結構高いと思っています。お話を通した親子の時間についてはよく聞いています。クニーシカの会で前回読んでいたテキストの成り立ちも子どもに作ったお話をまとめたものでした。


さて『自分のためだけの手紙』は手紙をめぐっての森の動物たちのお話です。やはり短いお話がたくさん連なって編まれています。たくさんのエピソードを通してお互いに手紙を書くことがどんなに大切か、その内容が誠実であることがどんなに重要であることか気づき、他の誰でもないあなた自身、私自身のためだけに書かれた手紙の尊さを伝えてくれるはずです。


オレイニコフの挿絵は大人の童話とカテゴライズされる本書を全く甘く飾り立てずに幻想的でシリアスな挿絵で纏めています。ああ、 とてもロシアらしいなと思います。





2025年04月05日


4月になりました。別れと出会いの季節です。プライベートで割と大きなひと区切りの事があり、記念にホテルのアフタヌーンティーに出かけました。しみじみと振り返りとか展望とかを語りつつ。それにしてもプチフールっていくらでも食べてしまえて不思議。

時節柄ご丁寧に異動のお知らせなど受け取ると、ハッと胸を突かれたような気持ちになります。もうお会いできないんだなと思うと、寂しいものです。お元気でと願います。


絵本を紹介しています。『うぬぼれうさぎ』はセルゲイ・ミハイロコフ作、ラチョフ画の戯曲本です。臆病なうさぎが森の猟師から銃を奪い強気になり自分が強いと自惚れます。そして狐の家を奪い、狼を追い払います。しかし、その銃には弾が入ってないことが分かり、狐と狼が反撃しようとしますが、うさぎの家族が協力して…というお話です。


このお話はソ連時代に人形アニメとなり良く知られるようになりました。https://youtu.be/ScHIfEqmSVQ?feature=shared
動物挿絵の名手のラチョフによりもりの動物たちのドタバタ劇が生き生きとアクティブに描かれています。


銃をかまえるうさぎなどはとても珍しい図柄ですが、とてもリアルに描かれています。臆病なうさぎが自惚れて表情に傲慢さがあらわれてくるところなど見応えがあります。子うさぎたちの愛らしさ、眠るうさぎの顔、狐と狼が協力し合う様子など見どころたくさんです(直)







2025年03月29日


今年もゆすら梅の花が咲きました。その小さな白い5弁花がやがてルビー色の実になります。実はこの木は近年あまり調子が良くなく枝を少なくして様子を見ています。植木屋さんによると根の近くに温水の通るパイプがあるからかもしれないということで、移植も難しいとのこと。今年もきれいな花を咲かせてくれてありがとうという思いでいます。


ご近所の桜を始めとして木の花々が競って咲き出して散歩が楽しい季節です。ちょっと離れたところに花梨畑があるのですが今年初めて開花の様子を見ました。勝手に白色の花を想像していましたが、濃い桃色のカップ状のお花であることを知りました。ここは畑ですが放置されていて実がなっても収穫されずやがて根元にボトボトと落果しています。落果の頃は熟した花梨の甘い香りが辺りに漂います。

タイ、ミャンマーで地震がありました。今後被害の状況がどんどんわかってくるでしょう。助けを必要としている人たちに救援の手が行き届きますよう願っています。


木曜日にクニーシカの会がありました。コズリナ先生のご指導のもと今回は『Сказки про МАМ』の最後のお話を読み、『Моя собака любит джаз』という新しいテキストに入りました。


新しいテキストに入る前に作家と画家について先生が作ってくださった資料に基づいてお話がありました。画家はウラジーミル・ブルキン。モスクワ建築大学卒業でイラストレーションと風刺画の分野で有名なアーティストです。ソ連時代、建築大学出身は大変なエリートとのことで、かつてのコズリナさんのモスクワのアトリエと同じ建物で仕事をしていたそうで、優しい人だそうです。


作家は子どもだけではなく大人向けの書籍の著者でもあるマリーナ・モスコヴィナ。モスクワ大学卒でジャーナリストの仕事もしています。旅行家であり『枕草子』についての著述もあるロシアでとても人気のある作家です。そして今回は彼女のパートナーであるコンセプチュアル・アーティストのレオニード・チシコフについての紹介もありました。


チシコフについては個人的には2019年、市原湖畔美術館で開催された「夢みる力 未来への飛翔 ロシア現代アートの世界」で作品を直接見てますし、また絵本『かぜをひいたおつきさま』(徳間書店)や、プライベート・ムーンという月のオブジェを使ったプロジェクトでも知っているので親近感があります。


またモスコヴィナについて、うっかりしていましたが、先日こちらでも紹介したと思うのですが『ワニになにがおこったか』(偕成社)の作者であることに今さらながら気づいて、俄然この新しいテキストに興味が湧いてきました。知っている作品や作者が繋がってゆくのは嬉しいことです。まだ少ししか訳していませんが、僕と飼い犬のキートがジャズをめぐってどんなセッションをしてゆくのかこれから楽しみに学んでいけたらと思っています。

クニーシカの会では随時参加者を募集しています。ご連絡お待ちしています!


新しく絵本を紹介しています。『お話の木』は久しぶりの再入荷絵本です。以下は新入荷時の紹介文です。


ボリス・セルグネンコフ作の農村の暮らしと動物たちをテーマとした物語集。人生や運命の深淵に気付かされるようなシュールな味わいも魅力の創作物語集。


シンプルな短い淡々としたお話の中にある意味あいや味わい、またはこめられた皮肉。深い余韻を伴って読み手に独特の印象を残すはずだ。


ある老婆がもう世話はできないからと、長年共に暮らしてきた牛を売りに行くが泣いてそれはできない。結局は連れ帰るが、その牛が人間のように働き老婆を助けるようになるというお話などの他36篇のお話をゆっくり味わいたい。


作家は1931年にハバロフスク生まれ。現在はサンクトペテルブルク在住だ。挿絵のカリンナ・プレトロが素晴らしい。彼女は作家の妻とのこと。こちらもシンプルでいて哲学的な表現が深い。こういう絵本に出会えるのは本当に嬉しい。素敵。


今日は土曜日ですが、急に気温が下がり冷たい雨が降っています。熱いコーヒーとささまさんの「吉野山」をいただきます。桜が長持ちしますように。(直)

2025年03月22日

水曜日は、朝雪が降り出してみるみる積もり、やがて雪は雨になり積もった雪はどんどん溶けてゆきました。ほんの数時間で季節の移り変わりを早送りで見るようでした。

新しい仕事椅子が届きました。大きな段ボール箱を見ると、ルーカス(飼っていた犬の名前)が喜ぶだろうなと思ってしまいます。天国に行ってからもう何年もたつというのに。新しい椅子は腰の事を考えて選びました。よろしくお願いしますという気持ちで座り始めています。


新しく絵本や児童書を紹介しています。『くまのプーさん』は1926年に発表されたA.Aミルン作、
E.Hシェパード挿絵の世界的ベストセラーの英国児童文学の露語版です。翻訳はボリス・ザハディル。ロシアではソ連時代にこれを原作にして絵本が作られ、フョードル・ヒトルークによりアニメ化されて以来大変親しまれていますが、プーさんの見た目も設定もまたお話の内容も随分異なりますからちょっと驚いてしまいます。それはそれとして、このアニメの独特の世界観を見てみるのはおすすめです。
https://youtu.be/Ekmc1HZ5_XY?feature=shared


ヴァスネツオフ画の『きつねとうさぎ』はカランダーシ刊『うさぎのいえ』と同じお話です。このお話はロシアでも日本でも親しまれており画家の異なる絵本を色々見られる楽しみがありますから見比べてみるのも楽しいです。


『うさぎのいえ』は初めて出版した絵本ですからとても思い出深いのですが、ラチョフのオリジナルのデータを受け取った時の感動は今でもよく覚えています。覚悟していたとはいえ、何から何までひとりで作業してゆくのは中々にハードで出来上がった時にはぼーっとしてしまってました。慣れないことばかりで不安もありましたが何よりラチョフの描く動物たちが魅力的で彼らに励まされながらの日々でした。本当に皆さんに手に取っていただけるものを作れて良かったです。


ヴァスネツオフ版は、うさぎがときつねが家を建てるシーンが面白いです。雪が降る中どちらも工夫を凝らして作業をしているのがわかります。うさぎは斧を使っています。ロシアでは結構細かい作業まで斧でやってのけます。貴重な窓ガラスを木の枠で囲っているところなどとてもリアルですし、高床になっているところや玄関スペースと部屋は分かれているところなど見ていて楽しいのです。きつねはスコップで氷のブロックを積み重ねる工法です。出来上がりは豪華です。どのページも植物の描き込みが豊かで森の様子がわかりますし季節感が伝わります。ナナカマドの赤色が効いてます。

今年もそろそろきつねの氷のお家が溶けてしまう季節になりました。『うさぎのいえ』の季節です。(直)






2025年03月15日



暖かくなってきたせいか、ビオラたちは元気に花数を増やし、そして色も明らかに一段と濃くなってきています。毎年こうだったかしら?と思うほど今年は顕著です。つい先日まで枯れ枝だったはずの雪柳や昨秋球根を植えた黄水仙も咲き出しました。この1週間の変化は目覚ましいものがあります。

初めて吉祥寺のPARCOビルのアップリンクで映画を観ました。地下ですしちょっと穴蔵感があります。映画は泣く覚悟で行きましたが泣きませんでした。売店で買った温かいカモミールティーを飲みながら鑑賞しました。私は本当にここ数年カモミールティーをよく飲んでいます。

書評を見て『ソーンダーズ先生の小説教室』(ジョージ・ソンダーズ著/秋草俊一郎、柳田麻里訳/フィルムアート社)を購入しました。ロシア文学の短編を読み解きながらの文学講義の本です。現代アメリカを代表する作家がどのようにロシア文学を解剖していくのか興味深いですし、学ぶことが多そうです。ちょっと分厚いですが楽しみながら読めそうです。

新しい絵本を紹介しています。
チェルカシン作、トラウゴート画の『お人形』という絵本は、独ソ戦で包囲された旧レニングラードで暮らしていた少女とお人形、そして家族の物語です。以下、お話の概要を調べました。戦後、レニングラードの街の古道具屋で少女は学校帰りに偶然かつて祖父から贈られたお人形を見つけます。大きくて立派なお人形は贈られた当時少女と同じくらいの大きさがあり、マーシャと名付けられます。やがて戦闘激しくなる中、少女はお人形をレニングラードの祖父の元に置いて疎開しなければなりませんでした。封鎖解除後、レニングラードに戻った時、祖父たちは餓死したことを知らされ、アパートの部屋には知らない家族が勝手に暮らし始めていました。その後、少女は母親と一緒に学校帰りにお人形を見た古道具屋に行きます。お人形、そして見覚えのあるお茶のセットはアパートの部屋に勝手に越してきた家族によりこの店に持ち込まれた事を知ります。店主に交渉しても返却はできないと言われ、母親は頑張ってお金を貯める努力をし、やっと古道具屋に行ける日が来て、少女も楽しみに待っていましたが、すでにお人形は他者へ売られた後でした…。

チェルカシンは幼少期、戦火で父親を失い本人も過酷な経験をしています。この物語は彼の妻の思い出に基づいて書かれました。具体的な戦闘場面などではなく、白湯を「白夜のお茶」と言い飲む事や、倒れたままの電車を目を覚ます元気もない、と言う日常の会話や、疎開先の寂しさ、包囲された祖父たちが餓死して集団墓地に埋葬されたこと、勝手にアパートに住んでいる人の傍若無人ぶりなどなどを通して戦争がもたらす非情さを実感を持ってにそして文学的に伝えます。戦争は人の心の最も大切な物をも理不尽に奪い去ります。「お人形」はその象徴なのです。

トラウゴートの沈んだ色合いの滲んだ水彩の筆先から生まれる心の中を映し出す人物表現ーー祖父の優しくも威厳に満ちた眼差し、母親の憔悴しながらも尊厳を失わない表情、感受性豊かな少女の瞳のゆらめきなどが胸に迫ります。冒頭見開きには戦闘機により攻撃を受けるレニングラードの様子が描かれています。(直)
2025年03月08日



先週末の暖かさから一変して今週は雪も降り寒い1週間でした。そんな中ですがカランダーシのベランダの沈丁花が咲き出しましたし、水栽培のヒヤシンスのピンク色の方は2番花を咲かせくれましたし、ささやかな香りの春を楽しんでいます。

ささまさんの生菓子「草包み」はもち草の新草の香りも濃く口の中に春が広がります。体調のせいでしばらく臭覚や味覚がぼんやりしていたのですが、やっと調子が戻ってきたようです。色々な春の香りがありますが、蓬の香りは特に嬉しく懐かしいものです。子どもの頃は身近な存在でしたが日常的に見かけることもなくなりましたから尚更です。

今週NHKBS「世界ふれあい街歩き」を途中から見たのですが、カザフスタンのアルマトイを訪れる内容でした。出てくる人々はそれぞれロシア語、カザフ語そして確か英語も話していました。郊外のカザフ人の家庭の庭での午後のお茶会の様子が出てきましたが、同居している娘のお婿さんはロシアルーツの人です。当主は愛があれば人種への拘りはない(ニュアンス)と笑っていました。

そのテーブルには200年前のサモワールが置かれて現役!で働いていました。このような家族で囲むお茶の時間の積み重ねがきっとお互いの絆を深め強くしてきたのでしょう。その真ん中にこのサモワールがいつもデーンと存在していたのだと思うと感慨深いものがありました。

新しく絵本を紹介しています。マーヴリナの『プーシキンお話集』は1976年にロシアで初めての国際アンデルセン賞を受賞したタチヤーナ・マーヴリナが素晴らしい挿絵をつけたプーシキンの物語集です。マーヴリナが精力的にプーシキンの作品の挿絵に取り組むようになったのは1950年代でこの10年間に多くの物語集が出版されその功績が60年代に国内外で認められ多くの名誉ある賞を受賞します。70年代に再びプーシキンの作品に取り組み全ての作品に挿絵を描きます。

このようにマーヴリナのアーティスト人生においてプーシキンはとても重要な存在です。当時のロシアの殆どのこどもと同じく幼い頃からプーシキンの詩や物語に親しんできたマーヴリナは「これほどロシア的な詩人はいない」と語っています。マーヴリナはそれまで培ってきた芸術的手法に、イコンやルボークの学びや民藝への探究の成果なども加えてまさに独自のスタイルを生み出しその才能を大きく開花させました。天才的な柔軟な線の軌跡や目を見張るカラフルな色使いやユーモアを交えたキャラクターの造形は今なお世界中の子どもたち、大人たちをも魅了し続けています。

収録されているのは「ルスランとリュドミラよりルコモリエ」「サルタン王物語」「死んだ王女と7人の王子の話」「金鶏物語」「漁師と魚の話(金の魚の話)」「雌ぐまの話(未完)」です。冒頭のルコモリエは文字もマーヴリナが描いおり絵本のように贅沢に見開きで絵が楽しめます。たっぷりとマーヴリナの絵でプーシキンのお話の世界を堪能できる宝物のようなお話集です。






2025年03月01日


3月が始まりました。少し前になりますが神代植物園に梅を見に行きました。この時はまだこれからという感じでしたが、今頃はきっとどの木も満開でしょう。蝋梅が美しく良い香りだったのが印象に残っています。実は最近体調が芳しくなくぼんやりしていましたが、庭の蕗の薹や水仙が随分と季節が進んでいることを教えてくれます。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会を開催しました。今回は林檎の漬物(Мочёные яблоки)を作るのが得意なお母さんとそれが大好きな息子のお話でした。クマになる魔法をかけられた息子は知り合った雌グマと結婚のキスをしたら元の人間の姿に戻りましたが、その雌グマが実は王様の娘で…というお話です。

Мочёные яблоки は林檎を酢や砂糖などを混ぜた液体に漬け込んだもので、ダーチャなどで枝にたわわに実をつけた大量の林檎を何とかして無駄にしないようにと考えた保存食でコズリナ先生にとっては祖母の味的なものらしいことなど教えていただきました。

この漬物に私たちは興味津々であれこれ質問しながら味を想像したのですが、結局多分皆ピンとはこなかったような気がします。個人的にはいつか実物を是非食べてみたいと思っています。

奇想天外な短いお話をたくさん読んできましたが、いよいよ次回短いお話をひとつ読んだらこの『Сказки про МАМというテキストもおしまいです。次は先生が選んでくださった『Моя собака любит джаз』(僕の犬はジャズが好き)という本を読んでいきます。タイトルだけでも面白そうなので今から楽しみです。この機会に是非クニーシカの会にご参加ください。ご連絡お待ちしています。

新しい絵本などを紹介しています。その中の『ジャックが建てた家』はサムイル・マルシャークがイギリスの有名な民謡やルイス・キャロルやキップリングなどの作家たちが創作した児童のための詩を翻訳したものを編んだ一冊です。マルシャークは新婚時代の1912年にロンドン大学に留学しておりイギリス中を歩き民謡を聴き、翻訳に取り組み始めました。

書籍のタイトルになった「ジャックの建てた家」はイギリスの児童民謡ですが、
ーほら、これはジャックが建てた家、
ーこれはジャックの建てた家の暗い納戸に保管されてる小麦…
と次々と言葉が積み重なってゆく積み重ね唄と言われるものです。英国のオリジナル絵本としてはコルデコットの挿絵の絵本が有名かもしれません。繰り返しのリズムと思いもよらぬストーリー展開をマルシャークによるロシア語の詩で楽しむのも愉快なことでしょう。

挿絵はイリヤ・カバコフ(2023年没)。ソ連時代後期からトータル・インスタレーションアーティストとして世界的に名を馳せたカバコフは、一方で長い間児童書や雑誌のイラストレーターとして仕事をしてきました。この詩集では、挿絵をコマ割にしたり背景の中に囲み枠を使って描き分けたりと1作1作描き方に工夫がありとても面白いですし、巧みな線画で描かれる世界観は軽妙でありながら味わい深く余韻が残ります。





2025年02月15日




久しぶりにみなとみらいに出かけました。海を見るのもそういえば久しぶりでした。風はまだ冷たいですが日差しに春を感じる午後のひとときでした。

水栽培のヒアシンスの花が咲き出し良い香りです。花茎が曲がらないようにと考えて毎日瓶の角度を変えていますが効果はあるように思います。ピンクと紫、それぞれ個性のある咲き方で面白いです。

ロシア語の先生と今度はプーシキンの『金鶏物語』を読むことにしました。私はビリービン版絵本を使いますが、あらためてその美しさに目を見張っています。それまでの民話絵本とは異なる太い線を用いた様式的な絵柄が特徴です。私は風刺を込めた王様の表情に注目して読んでゆきたいと思っています。

新しい絵本を紹介しています。『すずめさん、どこでお昼ご飯を食べたの?』はマルシャーク作のお話絵本です。一羽のすずめが動物園の様々な動物のところへ行き、少しずつお裾分けをいただくというお話です。邦訳版もあります。(たしろちさと文/絵、福音館)

ページを捲るたびに迫力ある愛嬌たっぷりの動物がバーンと飛び出してきます。画家のリヤ・マイロヴァは、きっと子どもたちそして大人たちの笑顔を想像してこの絵本をデザインしたのでしょう。すずめは紐がついた栞としてどのページにも登場できますからお話絵本としてとても楽しい使い方ができます。本当にカラフルでユニークで魅力たっぷりの絵本です!(直)







2025年02月07日



息子が予約してくれていた京都の村上開新堂さんのクッキー缶が届きました。香ばしい香りのクッキーはほっとする味わい。コーヒーとよく合います。

1月中ににお誕生日を迎えた夫と娘のお祝い会を吉祥寺のカフェロシアさんでしました。いつも同じメニューを選びがちなので今回はきのこのスープや魚のスープのウハー、ジョージア料理のハルチョーやシュクメルリ、タバカ、それに柘榴のワインなども頼んでみました。どれもとても美味しかったです。月イチで歌を披露している混生コーラスグループ「花の輪」さんがハッピーバースデーを歌って下さりよき思い出となりました。

新しく絵本を紹介しています。『真ん中が水色のお花』はチョークのお話です。ソ連時代、子どもたちは集合住宅の周りのアスファルトにチョークで絵を描いてよく遊んでいたようです。私のロシア語の先生もポケットにはいつもチョークの箱を入れていたと言っていました。

現在でもアスファルト用のチョークを売っているようですから、こういう遊びはポピュラーなのかもしれません。この絵本では、冬の間じっとしていたチョークたちがアスファルトの上で思い思いに絵を描き始めますが…というお話です。

挿絵はマリヤ・プチェリンツェワ。1989年生まれの今後に期待したい芸術家です!カランダーシでは以前子守唄の絵本を扱いました。優しい色彩と柔らかな線がほのぼのとした印象を与えてくれます。この絵本は小さなチョークたちが愛らしく、春を待つ気持ちが伝わってきます(直)








2025年02月01日

2月になりました。雪が降るかもしれないという予報ですが、確かに2月の頭頃って雪が降りがちです。さて、どうなるのでしょう。

薔薇が咲きました。ちょっと長い枝を残していたらいつの間にか蕾がついてゆっくりゆっくり時間をかけて開きました。冬に花を咲かせるのはあまり良くないことかもしれませんが、冬枯れの殺風景な庭にまるで蝋燭の火が灯るように咲いた花に元気をもらえて感謝してます。

書店でたまたま見つけて購入した『ダーチャ…失われてゆくソビエト時代の小屋とコテージ』(写真/フョードル・サヴィンツェフ、エッセイ/アンナ・ベン、グラフィック社)。この本にも書かれていますが、ダーチャとは何であるかを説明するのは難しいのですが、簡単に言えば別荘、別宅みたいなもの。そういうとお金持ちだけのものみたいですが、ロシアの一般の人々からもちろんお金持ちの人まで、国から土地を貰い受けたり借りたりして郊外に建てた家のことを指します。

ただ、ダーチャもロシアのことですからご多聞に漏れず、歴史的、政治的、地域的な影響を受けまくりでその実態はとても複雑であることがアンナ氏の文章を読んでもよく分かります。まあ、そう言う背景は置いといてとにかくソ連時代に建てられた木造の創意工夫にあふれた個性豊かなダーチャが今存亡の危機にあるので記録として残さなきゃと言うのがこの本の大きなコンセプトです。

木造の古いダーチャが壊され新築する場合は、石材を使ったり手入れもしやすいプレハブ様式のものなども出てきているそうで、それはそれで仕方ないことかもしれないけれど、写真家のサヴィンツエフ氏は先を見据え、古い木造ダーチャの修復、新しく木造で建てる技術の継承こそがロシアが持つ豊かな文化的価値の復元になると活動を続けています。

写真を見ていると奇想天外とも言える形のダーチャに目を丸くします。でも、それは限られた材料で作らないとならなかったからこそのデザインの可能性もあると知ると本当にどの家に対しても拍手喝采をあげたくなります。ロシア人の美意識ともの造りの真髄ここにありと感じ入ります。

不思議なのは、見たこともないようなお菓子の家みたいな家や小さな宮殿みたいな家を見ていてに何故かものすごい懐かしさと親しみとを感じることです。それは木で作られた家だからですね、きっと。そういえば板張り外壁の建物はこのあたりでは最近ほとんで見かけなくなりました。(実は散歩コースに2箇所ほどそういう建物があってずっと長持ちして欲しいものだと全く勝手ながらいつも思っています)

新しい絵本を紹介しています。『雌鶏あるいは地下帝国の住人たち』はロシアでは魔法物語としてよく知られています。格調高く美しい挿絵はゲンナージ・スピーリン(1948〜)。ルブリョフやブリューゲルを崇拝し、精密でクラシカルで優美な独特の世界観で見る者を魅了しています。彼は1980年代からドイツやアメリカの出版社と仕事をしており1992年からはアメリカで暮らしており、アメリカでも高い評価を得ています。

魔法のお話ですが、スピーリンはこの芸術的な挿絵を下絵なしで描くそうですからこちらこそ魔法を使っているのではと思ってしまいます。多感な少年の表現にも注目です。贅沢な美の世界を堪能できます(直)

2025年01月25日


根を出すために暗いところに置いていたヒアシンスの水栽培。芽が出てきたので明るい窓際に置きました。ピンクと紫の花が咲くのを日々楽しみに待ちたいと思います。

むさしの・多摩・ハバロフスク協会ではモンゴルでの植林ツアーの参加者を募集(後援・武蔵野市)しています。ハバロフスクでの植林がきっかけで広がった交流活動です。お申込みなどはこちらへhttps://mtxa.org/

木曜日にコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会を開催しました。少し遅めのС Новым Годом (新年おめでとう)の挨拶を交わして皆さんとテキストを進めてゆきました。

今回はペンギンの親子のお話です。中々水に飛び込もうとしない「変わってる」子どもを育てるお父さんはある時強引に子どもを水に引き込もうとしますが、お母さんは子どもを庇って共に岩の上まで逃げます。追いついたお父さんは一緒に海に飛び込もうと誘います。そして次の瞬間、ペンギンの子どもは空に飛び立ちます。

実はこの子どもはペンギンではなくアホウドリの子どもだったのです。という内容でした。先生からペンギンの子どもが飛び立つクライマックスシーンの描写はプーシキンばりの古い言い回しや3点リーダが使われたりしていてお芝居がかった文体だと教えていただきましたが、それゆえに個人的には読むのも訳すのも難しいと感じました。

最後に出てくるВсему свое время というお母さんの言葉は、どんなものにも時があるという意味のロシアの諺なのですが、先生から日本にもそれに当てはまる諺があるのでは?と問われ、皆でうーんと考えましたがぴったりの諺は思い浮かびませんでした。

このペンギンの子どものように、皆と違う個性を持った子どもとその親のロシアのお話には『ワニになにがおこったか』(マスクビナー原作/田中潔翻訳/偕成社)があります。このお話はワニの父親とヒヨコのお話で、虐げられた2人が最後には共に大空に羽ばたくというお話です。素朴で優しいオリシヴァングの挿絵がストーリーに寄り添います。好きな絵本です。

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いいたします(直)
2025年01月19日


一段と寒さのギアが上がってきました。まさに大寒。冷えが身体に入らないように心して過ごしています。

徒歩で15分くらいのところに日本で初めてクリスマスローズの生産をはじめた野田園芸さんがあるのですが、直売日があることを知り行ってきました。

大きな温室の中は一重や八重のクリスマスローズのポット苗がたくさん!お客さんも結構いらしてて盛況でした。迷いに迷って3鉢ほど購入しました。

実はクリスマスローズは素敵だなぁと思ってはいましたが全くの初心者です。これから勉強しながら育ててみようと思います。

今、プーシキンの『金の魚』をロシア語のレッスンで読んでいます。このお話は日本でも有名ですがロシア語で声に出しながら読んでゆくのもまた味わい深く楽しいです。

おじいさんが釣って逃してあげた金の魚が願いを叶えてくれるのを知ったおばあさんは味をしめてどんどん欲望を増大させてゆきます。最終的には全ては水泡と帰すわけですが、すでに年老いているこの夫婦はこの先どんな気持ちで生きてゆくのかしらと少し心配になります。

新しく絵本を紹介しています。マーヴリナの『遥か彼方で-ロシアの3つのお話』はマーブリナの美しい挿絵が存分に楽しめます。

この本は全てのページにマーブリナが絵を入れたり文字を入れたりして手を入れておりその贅沢さに目を見張ってしまいます。鮮やかな色遣いで描く挿絵はユーモアもあり私たちを民話の世界に没入させてくれます。

民話の世界をこんなにも生き生きと躍動感を持って描く画家は他にはいないでしょう。高い芸術性と劇画的な効果の合わせ技、そして溢れ出るその凄まじきエネルギー!マーブリナ万歳で間違いないです(直)
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