美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2024年07月21日


梅雨も明けていよいよ暑さ本番です。体調に気をつけて今年も何とか乗り切りたいものです。コロナもまた流行していますね。気をつけられるところは気をつけた方がいいなと思っています。

庭でアオスジアゲハを見かけました。綺麗だなぁとしばし見惚れてしまいました。昔はそこまで思わなかったのですけど、最近はそんな感じです。でもレモンの木に卵は産まないで!とは思ってます。

春に一階のベランダテラスを作り直しました。以前のは基礎や床面が弱ってきて危険な状態でしたので新しくすることにしたのです。せっかくなのでこれまでと違う新しいイメージのものがいいなと思いながら業者さんと話し合いながらデザインなど決めました。

床面は濃いめだけど柔らかい色にして、それまでの目隠し用の焦茶のトレリスを新しくアイボリーの背の高いフェンスに替えました。そうしたら窓からの眺めが一気に変わり明るくなり、部屋の中もその明るさを反映して明るさが増したように思いますし良い感じです。

このアイボリーのフェンス。良い背景になるので絵本を撮影したりしています。最初は椅子などを利用して撮っていましたが、あれこれ考えて夫に絵本ラックを作ってもらいました。取り外し可能なので好きな場所で撮れます。外は暑いですけど庭で絵本を撮るのは楽しいです。

今回もそんな環境で撮った絵本たちを紹介しています。よろしくお願いします。

今回はオレイニコフの『みにくいアヒルの子』が登場です。アヒルの子の身体に対して大きな丸いあたまの羽毛のホワホワ感が何ともいたいけです。独特の深い寒色系の色遣いにも注目です。

カラウーシンのポップな絵が魅力の『詩の絵本・起き上がりこぼし』はユーモアたっぷりの絵本で見ているだけで笑顔になります。Ванька-Встанькаという原題ですが、玩具の起き上がりこぼしをこう呼ぶことは知りませんでした。

そういえばカランダーシの部屋にもロシアの起き上がりこぼしがいました(直)
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2024年07月13日



去年は庭の南西側でこんもりと元気に育っていたクリーピングダイムを夏枯れさせてしまいました。同時期に他の場所に植えたものは元気です。枯れた原因ははっきりしませんが湿気に弱いようなのでそうなのかもしれません。蒸し暑い日が続くと植物たちも大変だろうなと思う今日この頃です。

違う場所ですが百合が大きな花を咲かせてくれました。室外機が近い場所で申し訳ないなと思いながら眺めています。去年より大きな花です。

毎日暑いですが、モスクワも暑いらしく大勢の人たちがモスクワ川で泳いでいると聞きました。街中を水着で歩いている人たちもいるそうです。そんなお話をロシア語の先生を聞きました。

それからロシアには老人ホームがないそうです。なので昔は(多分今でも)クバルティーラ(マンション)の入口辺りのベンチに座っておしゃべりをしたりして長い時間を過ごしている老人たちがいるそうです。

先生は子供の頃、毎日そのお爺さんお婆さんたちに挨拶して学校へ行き、また帰ってきたら挨拶していたそうです。

新しく絵本を紹介しています。ウクライナ出身ヴァレリー・ゴルバチョフ画の『さんびきのくま』はくまの家に忍びこむ女の子がちょっと生意気そうで可愛いです。くまのお父さんはバイオリンを弾きますし、お母さんは耳に大きなイヤリングをしてとてもおしゃれです。

チャルーシン画『面白話集』はカランダーシでソフトカバー版が好評でしたが、今回はハードカバーで登場です。本当に見ているだけでニコニコしてしまう楽しい絵本で私も大好きです。

仙台・松島の瑞巌寺のお香を貰いました。嬉しいです。松島は小さい頃に行ったらしいのですが記憶がありません。いつか訪れてみたいです。(直)









2024年07月06日


暑い日が続いています。庭で珍しくシオカラトンボを見かけました。鉢植えのレモンの木があるのでアゲハ蝶はよく飛んでいます。でも今年はバッタを見かけません。去年はあんなにたくさんいたのに不思議です。コオロギの赤ちゃんは見かけます。

少し先ですが今夏も板橋区立中央図書館ボローニャ絵本館のブックフェア外国語おはなし会でロシアの絵本などを読むことになりました。感謝です。秋にもやります。さて、どんな内容にしましょうか。お人形は連れて行きましょうか…。楽しみながら準備をしたいと思います。

ロシア語は細々と学びを続けていますが、思い立って今年は春から文法のオンライン講座に参加しています。若い方ばかりなので皆さんの熱心な姿に新鮮な刺激をもらっています。ロシア語は多分死ぬまで勉強し続けるんだろうと思っています。諦めないことを諦めないという感じでしょうか。

新しく絵本を紹介しています。やはりアントン・ロマーエフの『おやゆび姫』は美しいなぁと見惚れてしまいます。

先日訪れた那須どうぶつ王国のホッキョクオオカミに赤ちゃんが生まれたそうです。私たちが見た際、檻の中の2頭の内一頭が一生懸命脇目も振らずに穴を掘っていました。あれは出産の準備だったのでしょう。親は真っ白ですが赤ちゃんは茶色です。これから白くなるのでしょうか。成長が楽しみです。画像は行った時に写したものです。直)

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2024年06月30日



まさに梅雨最中、蒸し暑いと感じる日々が続いています。やはり気分が何だかシャキッとしません。そこで集中してやるべきことをするために少し早起きを始めました。時々こうやって早起きブームがやってきます。ブームはブームであって定着しないというところがとても私らしいのですが。

今年も玉川をいただくことができてありがたく嬉しいことです。ささまさんのファンになったのは確かこのお菓子からです。

木曜日にコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会がありました。テキストに入る前の雑談で、先生から日本の5月は春なのか夏なのか、という問いがありました。暦の上では立夏を過ぎれば夏だけど、本格的な夏は6月からかしら…なんて話しをしたのですが、先生にしてみると6月はイメージ的に夏っぽくない梅雨もあるし日本の春と夏の概念が今ひとつよくわからないということでした。そう言われれば確かにそうなのかもしれません。もう暦による季節の進み方が染み付いている者からすると新鮮な問いでした。

テキストの『Сказки про мам』はまず親指くらいの小さな男の子とお母さんのお話などを読みました。その小さな男の子を買いたいというお金持ちと最後には何故かお母さんが結婚するというお話でした。お話の中でお金持ちがキャデラックからトヨタに乗り換えるというエピソードが出てきます。トヨタはロシアでも普通に有名で良い車として認識されているそうです。それにしてもトヨタのロシア語表記が「ТЙОТА」なのが仕方ないにせよちょっと不思議な感じです。

このお話の次のお話はエジプトのミイラにワニにされた男の子とお母さんのお話です。全く展開が読めない奇想天外な短編をたくさん読めるのは楽しいですし、先生に色々質問させていただきながら理解を深めてゆくのは勉強になります。興味のある方はよかったらご一緒しませんか。ご連絡お待ちしています。

新しく絵本や今回は楽しい手芸書もご紹介しています。編み針がなくても紐や毛糸を使って作れる夢が広がるアイデアグッズ満載の素敵な一冊です。(直)

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2024年06月23日


夏至の日は肌寒い雨の1日でした。カランダーシの部屋の窓辺には鉢植えの楓があります。雨の雫が葉に落ちそれがまた落ちていく様子などを見ているのは私は好きなので多分何時間でも見ていられます。というか、そういう景色を見たいがために鉢植えの木を置いているところもあります。

あさイチという朝の番組で荻野恭子さんが出演されて冷製ボルシチを紹介していました。簡単にいうとヨーグルトと牛乳の白色にビーツの赤が混ざったピンク色のスープにきゅうりや玉ねぎのみじん切りを混ぜて作ります。調べたらボルシチという名前は案外守備範囲は広いようです。

カランダーシの資料棚の荻野先生の『家庭で作れるロシア料理』(河出書房)の表紙にもこの冷たいボルシチが使われています。こちらはヨーグルトでなくサワークリームがベースになっています。この本は沼野恭子先生によるロシアとロシア料理についての文章もたっぷり読めるのも魅力です。

新しく絵本を紹介しています。Instagramでもご紹介していますのでこちらもご覧いただけると嬉しいです。今回は庭に椅子を置いて撮りました。https://instagram.com/p/C8jbzUtSfLk/?utm_source=qr

苗を植えたグランドカバーが繁って草ぐさと混じり合い混然一体となっています。そこが面白いですし、日々様子が変わるのも楽しいです。(直)
2024年06月15日


急に暑くなりました。半夏生の花が咲きだしました。一番うえの葉だけが白くなって花穂が出ています。この葉の白い色は花が終わると緑に戻る不思議なお花。涼しげな風情に魅せられています。

今週は児童書も2冊ご紹介しています。『カトラリーたち台所大冒険』の画家マリヤ・パブロワはカランダーシでも過去に取り扱いがあり、久しぶりに作品を見ることができて嬉しいことでした。

彼女は1979年生まれ。猫の描写を得意としていますが、実際にはこどもがアレルギーがあるので飼ってはいなくて、ダーチャで出会う猫たちをモデルにしているそうです。クラシカルな表現が持ち味ですが、古くて美しいサンクトペテルブルク在住ということも大いに関係しているだろうと思っています。

さて、ものすごくご近所に創作フレンチレストランがオープンしたのでランチに出かけました。ラトリエ・デュ・グーさんといって吉祥寺から越してきたお店です。

前菜もメインも素材の持ち味を大切にして優しいけれど輪郭を感じられるお味で美味しかったです。女性のシェフがテキパキと料理を供する活気と緊張感がお店全体に伝わるのもいい感じです。本当にあまりにもご近所なのでオープンルームの際にもおすすめです。席数が少ないのため予約はマストです(直)

2024年06月09日


今年もアナベルが綺麗に咲いています。白くてまんまるのお花がぱっと辺りを明るくしてくれます。そういえば鳳仙花の種を買ったのですが早く植えないとですね。

少し前に行ったSOMPO美術館「北欧の神秘展」は普段まとめて目にすることがあまりない北欧の美術の歴史と特徴が良く分かる内容で勉強になりました。

イタリアやドイツ、フランスに追従していた北欧諸国の美術界は19世紀に自然や民話など独自のテーマに着目するようになり独特の発展を遂げます。そこにはジャポニスムの影響も見られます。

個人的に好きだったのが深い森を舞台とした神話や民話や民俗叙事詩を題材とした美術です。トロル物語「ソリア・モリア城-アスケラッドの冒険」を描いたテオドール・キッテルセンによるトロルのシラミ取りをする姫は、今展のリード画としても用いられていますが、不思議さと不気味さと神秘性そしてなんといってもその物語性が秀逸過ぎて暫し見入ってしまいました。

またガーラル・ムンテの英雄物語の絵画やタピスリーはビリービンを想起させて興味深かったです。ビリービンも同じ時期に民族性や民話をテーマに創作を始めていますから関連性もあるのかもしれません。

実際ロシアと北欧は近いですし、現代でも想像以上に影響し合っているようです。というか北欧の文化の影響をロシアはとてもよく受けているし、とても好きなのだということを複数のロシア人から聞きました。そのひとつの証となるのかは分かりませんがロシアにもIKEAがありとても人気があるのというのは確かです。

新しく絵本をご紹介しています。刺繍の本は物語とハンドメイドの世界を繋げたユニークで美しい一冊です。手にとって是非見てもらいたい素敵な内容です。よろしくお願いいたします(直)


2024年06月02日


6月になりました。早速雨模様の日々ですが体調に気をつけて過ごしてゆきたいものです。

先週はお声かけをいただいてロシアで大変人気のあるモスクワ芸術座公演チェーホフ作『決闘』を観劇することができました。感謝。怠慢、我儘、傲慢、排他…人間誰しもが持つ手前勝手さの造形が見事で、芯のあるしっかりとした演技に惹きつけられ3時間があっという間の大変見応えのある舞台でした。

そして先週は重要文化財でもある神田駿河台のニコライ堂(東京復活大聖堂)を拝観することもできました。コロナの時はクローズされていましたが今また見学できるようになっているのを知り出かけました。

一歩聖堂の中に足を踏み入れると、高くて大きなビザンティン様式のドーム、歴史の重みを感じさせるイコンやステンドグラスを始めとする聖堂芸術などの美しさに圧倒されますが、飾られていた白百合の甘い香りや蝋燭の揺らめきが心を解きほぐしてくれたせいでしょうか、不思議と居心地の良さを感じて立ち去り難い気持ちになりました。

ニコライ堂のお庭は大変良く手入れがされていて、たくさん実をつけている大きな枇杷の木もあり、紫陽花やランタナなど季節の花も綺麗でした。オナガ鳥が群れで賑やかに木から木へ飛び回っている様は都会の中とは思えない光景で印象に残りました。

ニコライ堂で購入した『日本光照者亜使徒聖ニコライの歩み』という冊子を読みました。サンクトペテルブルク神学大学を出たひとりの若き修道士ニコライが日本に宣教に来て北海道の地を経て東京に東洋一の聖堂を建立し幾多の歴史的な荒波にもまれながらも神にその生涯を捧げて一筋に歩んだ軌跡が良くわかりました。

この冊子には牧野富太郎の植物学の師だったマクシモヴィッチ博士についても書かれており、来日時に博士の弟子として働いた須川長之介はロシア正教徒であったことなどが分かりましたし、牧野がロシア行きを決意する過程でニコライが連絡の労をとったことなどが分かり興味深いことでした。

さて、前述のニコライ堂訪問の後は、神田の達人!に案内していただいて甘味処の竹むらや藪蕎麦で舌鼓をうち、大好きな近江屋洋菓子店にも寄るという流れでした。「虎に翼」を毎日観ていますのでその辺りも含めてとても楽しい神田散歩でした(直)

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2024年05月25日

今年も神保町ささまさんの大好きな紫陽花をいただくことができました。庭の紫陽花やアナベルの蕾もだんだんと大きくなってきまし、終わってしまったバラの枝を整理してプランターも一気にビオラからベコニアに植え替えを済ませました。雨の季節がもうすぐです。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもとクニーシカの会がありました。今回は新しい方の参加もありました。感謝。色々なお母さんが登場する『 Сказки про МАМ』というテキストを読んでいますが、今回は子どもにご飯をあげたのかあげてないのかすぐ忘れてしまうお母さんや、食材を買いに出かけたのに自分の洋服を買ってきてしまうお母さんなども登場。皆で楽しく訳してゆきました。

あるお母さんを表現する形容詞に「Рассеянный」という言葉が出てきました。辞書によるとそそっかしい、ぼんやりしている、怠惰なという意味があるようです。個人的にこの言葉をどう捉えていいのかピンとこなくて、具体的なイメージについて質問してみました。

そこで先生はこの言葉のニュアンスの例としてマルシャークの「Вот какой рассеянный」という詩を紹介してくださいました。この言葉についてロシアではこの詩をイメージする人が多いかもしれないということでした。

この詩は以前、クニーシカの会発足以前に3人程で集まってロシア語絵本を読んでいた頃に「何たる怠け者」と訳してひととおり読んだことがありました。やることなすことチグハグでダメダメなおじさんの一部始終を表現したユーモアのある詩です。

資料の棚からその詩が収録されているマルシャークの2冊の詩集を取り出して改めて見てみました。チュコフスキー版は一見生真面目そうなおじさんが淡々とドジを重ねてゆく感じがシュールです。一方レーベジェフは喜劇王チャップリンを模した哀愁のあるコミカル表現で惹きつけらます。

この詩を紹介してくださったので、ああ、注意力が散漫で見当違いのことをしてしまう、側から見るとおかしなお母さんという感じかな、と私なりに理解が深まりありがたいことでした。

そういえば今週、ベランダのステップで足を踏み外し転んで足を捻ってしまいました。最初くるぶしあたりが腫れてちょっと痛かったのですが大事には至らなくてホッとしているところです。注意散漫だったのだと思います。気をつけなければです。

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いいたします。(直)

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2024年05月18日


そろそろバラの季節もおしまいです。ツルバラを生けて飾っています。甘い香りに名残を惜しみつつ。

新しく絵本をご紹介しています。その中でチェコそして世界でも人気のキャラクター、クルテクの露語版絵本をご紹介しています。

クルテクとはチェコ語でもぐらのこと。画家であるズデニェク・ミレルが森の散歩中にもぐらの穴で転んだことから生まれたキャラクターだそうです。絵本では他にも森の動物たちが登場します。

ミレルは最初アニメーターとしてスタートします。終戦後に初監督作品「おひさまを盗んだ億万長者」で1948年ヴエネチア映画祭特別賞を受賞しています。クルテクもアニメーション作品として人気を博しますし、その第一弾「もぐらくんとズボン」はヴェネチア映画祭やモンテヴィオ映画祭などで受賞を重ねています。

もぐらは絵本の主人公としてはあまり見かけることはありません。実際の姿を見ることが中々できないからかもしれません。でも、友人がもぐらはお庭の敵だと言っていましたし、公園などでもぐらが掘った後の土の盛り上がりは見かけます。もっと注目しても良い動物なのかもしれませんね。

個人的にチェコの絵本は数冊持っていますが、その中でもトゥルンカ画『動物と人間(多分)』という絵本は大好きでずっと壁に飾っています。この表紙イラストはチェドックザッカストアの谷岡氏の著書『チェコへ、絵本を探しに』の表紙にも使われています。興味がある方はオープンルームの時にぜひご覧ください(直)

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2024年05月12日



段々と夏が近づいてきました。今年も庭の6種類のバラが綺麗に咲いています。あっという間にブワッと満開になるものや蕾のままじっと何日もそのままのもの…個体によって咲き方に個性があって面白いです。

GWに金沢の石川県立美術館で「脇田和と佐藤忠良ー子どもへのまなざし」展を見てきました。脇田和さんは福音館書店刊絵本『おだんごぱん』の絵を、佐藤忠良さんは同書店刊『おおきなかぶ』の絵を描きました。

このふたつの絵本は福音館書店の月刊絵本『こどものとも』の中から生まれたロングセラー絵本です。日本でロシアの絵本といえばこのふたつを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

石川県立美術館では脇田和さんの作品を321点収蔵しており、交流の深い作家の作品を交えてその魅力を伝える企画展の第2弾として、美術教育に長い間携わり、家族や子どもなどをテーマにした作品が多い、絵本画家としての活躍という共通点があり、本人たちにも直接の交流があったことなどから佐藤忠良さんとの今展が開催されたということです。

会場にはおふたりの多数の美術作品や資料、そして絵本の原画(『おおきなかぶ』からは1点のみでしたが)が展示されており、芸術家としての全体像をしっかりと受け取ることができました。

ロシアという視点からですと、彫刻家である佐藤さんはシベリア抑留の体験があり、その時に紙も鉛筆もない中で、目だけでロシア人や風物をデッサンしていたと言われ、絵本の絵にリアルさを追求したかった当時の編集担当の松居直さんによって『おおきなかぶ』の「画家」として抜擢されたという経緯があります。

脇田さんは直接ロシアとの接点はありませんが、やはり松居さんがロシア昔話のおだんごぱんのリズムを表現するにあたり、当時注目していた脇田さんに白羽の矢をたてたという背景があります。

実際の作品を見ると佐藤忠良さんのブロンズ像は対象者のリアルが静かな説得力を持って迫ってきますし、脇田さんの抽象性を取りいれた創造性に富んだ独特の世界観のある絵画作品には想像力を刺激されました。

作品を見た後で今一度ふたつの絵本について考えてみました。今展の二人の芸術家の作風と絵本への起用についてです。ふたつともロシアの昔話が題材で次々と登場人物が登場して展開してゆくお話です。けれどもゆきつく結末は異なります。

『おおきなかぶ』という絵本は、佐藤さんの絵で視覚的な写実性を持たせることで読者はきっと実際的(リアル)な共感を持ち、かぶが抜けた時に実感を持って共にめでたし的な気持ちになることに成功した作品なのだと改めて思い至りました。今回佐藤さんの多くのブロンズ像を見たことでその納得度が深まった気がします。

そして一方『おだんごぱん』のように主人公が最後にキツネに食べられてしまうという結末のお話の場合、おだんごに感情移入する読者もいますから絵本作りを考えた場合難しさもあったのではと推測します。でも脇田さんの絵の落ち着いた色調のファンタジー性のある表現を用いたことで、何かちょっと不思議な余韻を持つ絵本となりました。脇田さんの多くの作品から受ける「もの悲しさ」みたいなものも松居さんがこの絵本に込めたかったニュアンスだったのかもしれません。

というわけで脇田さん、佐藤さんの作品を通して松居直さんの絵本の作り方についてあれこれ想像を巡らすこともできましたし良き学びとなりました。

私はこのふたつのお話はすでにボローニャ絵本館でロシア語絵本でお話をしています。同じお話でも絵の違う絵本を用いましたので、聞いていた子どもたちはまた異なるイメージを持ってお話を受け取ったかもしれません。そのあたりは興味深いことです。

作品鑑賞のあとで美術館のカフェで『おだんごぱん』のチーズタルトをいただきました。タルトには顔が描かれていましたが、これも脇田さんによるおだんごぱんの絶妙なお顔のデザインのおかげなのか?あまり良心をいためずにパクリといただくことができました。

窓からは美しい新緑が見えて綺麗でした。同館で開催中の工芸品の展示も素晴らしかったです(直)





2024年04月28日


カランダーシは4/29から5/6までお休みします。ご注文は自動で受け付けています。発送は5/7日以降になります。よろしくお願いします。

窓を開けるとジャスミンの香りが入ってきます。今年もあれやこれやが生い茂ってきた庭はすでに緑溢れる初夏の様相。薔薇の中ではアンネの薔薇が今年も一番乗りで咲き出しました。

木曜日はコズリナ先生のご指導のもと、クニーシカの会がありました。テキストは『Сказка про мама』です。今回は水の怪物が登場するお話でした。とても強いママが行方不明になった夫と子どもたちを探しに行くと皆を飲み込んだ大きな水の怪物と出会います。その怪物にママは「腐った(オンボロの)ニシンめ」と言い放ちますが…というお話です。

この怪物はニシンと言われた事で腹をたてます。ロシアではニシンは安いありふれた大衆魚であり侮辱の言葉になるということを先生から教わりました。大胆にテキスタイルデザインを生かした挿絵も魅力の奇想天外なお話の続きはまた来月。今回のテキストは面白くてツッコミどころもたくさんで楽しいです。クニーシカの会では参加者募集しています。ぜひご一緒しましょう!

ニシンといえば先日吉祥寺カフェロシアさんで毛皮のコートを着たニシンをいただいたばかりです。このニシン、ビーツ、ジャガイモ、ゆで卵、玉ねぎのミルフィーユ状のサラダが私は大好きです(直)


2024年04月21日


今回ご紹介するミトゥーリチ挿絵の『日本昔話』はモスクワの国際こども図書館に行った時にも見かけて以来気になっていました。現地の人からは有名な本だと聞きましたが日本ではあまり知られていないのではないでしょうか。

ミトゥーリチは1925年生まれの挿絵画家です。親日家で66年に初めて来日し数年後には2年ほど北海道に滞在して集中して創作活動を行いました。その後も4回来日しています。2005年には文化交流の架け橋としての功績により旭日賞を受賞し2008年に亡くなりました。

『日本昔話』は当初10万部発行されるほどでした。翻訳はH・フェリードマン。編集にマルシャークが携わっていることは特筆すべきことでしょう。

水墨画を想起させるような表現で描く日本の昔話は当時のロシアの人たちの心にどのように届いたのでしょうか。興味深いです。

庭の春の花のリレーが続いています。ハナニラは終わりシラーが咲き出しました。もうすぐシランが咲き始めます。

長い間洗濯物を干すスペースとして使っていた場所を整理しました。放っておくとフキとドクダミの楽園になってしまうのであれこれ考えてグランドカバーを中心にした手のかからない庭作りを2年前くらいから始めています。

ほぼプライベートゾーンですし、コストがかからない、手間がかからない、をモットーに四季を感じる野原に近いイメージで作っている庭です。花壇は作らずに色的なポイントで季節の花苗を植えたり。

グランドカバーも相性の良し悪しがあるようでまだまだ試行錯誤中ですが、だんだんいい感じになってきて嬉しいです(直)


2024年04月14日


ソメイヨシノは終わりましたが、まだまだ綺麗に咲いている桜たち。春爛漫です。

先日、わらべうたや絵本を伝える活動をされていることこさん(@KOTOKO_24・Instagram)が八王子のcafe rinさんさんで行った「ことこさんの本棚」というおはなし会でカランダーシの『わいわいきのこのおいわいかい』を紹介してくださいました。感謝。

カラフルというテーマで7冊の絵本を選びお話をされたとのこと。『わいわいきのこのおいわいかい』をこの中に選んでくださったのは、「きのこのキャラがたっていて設定もかなり面白いからもっと知ってもらいたいとの想い」とことこさんのInstagramの言葉にありました。本当に嬉しくありがたいことです。

廊下にあった本棚を移動しなければならなくなったので中の本を全部出したら、もう何年越しかで探しても見つからなかった本が見つかりました。

その本は昔西荻窪にあった颯爽堂書店さんでかけてもらったオレンジ色のカバーをしていたはずなのですが、どこかのタイミングで外したようでオリジナルの白い表紙の状態で見つかりました。せっかく見つかった本ですがオレンジのカバーがないと何だかピンとこない不思議な感じです。鮮やかなオレンジ色のカバーと颯爽堂さんが懐かしいです。

西荻で懐かしいといえば、閉店した時かなりがっかりした無国籍料理レストランTSUTAYAさんが調布で営業していることを知り家族で行ってきました。実際には暖簾分けをしたお店だとのことですが、当時の西荻のお店と同じデザインの食器や看板を使っていてお料理のお味も懐かしく、感慨深いひとときを過ごしました。

新しい絵本を紹介したしています。よろしくお願いします。


2024年04月07日



今、庭では今年もハナニラがたくさん咲いています。優しい水色の花はとても可憐です。人によってはこの植物は雑草扱いなのかもしれませんが私は大切にしています。この花が咲くと春が来たなぁと実感します。

外出先でとても美味しいフルーツサンドをいただきました。昔は全然食指が動かなかったのですが最近は機会があればいただくようになりました。こちらはお皿の模様も華やかで見てるだけでも楽しい気分になりました。でもちょっと食べ過ぎですね。反省です。

新しい絵本を紹介しています。ラチョフ画の『ロシア昔話集』はお馴染みのお話も収録されていますが、今までカランダーシで取り扱った本には入ってこなかったお話も収録されており興味深い内容です。

『さんびきのくま』はパノラマ絵本です。きのこ、ベリー、矢車菊が描かれている森の描写にロシアの夏を感じます。くまさんたちがホフロマの食器を使っていますしペチカもホフロマ模様で素敵です。(直)

2024年03月30日

新しく絵本を紹介しています。よろしくお願いします。

やっと桜が咲き出したようです。今週は昨年のエゴン・シーレ展以来の東京都美術館に行きましたけれど、上野の桜は楽しむことが出来ず残念でした。

「印象派-モネからアメリカ」展ではフランスで生まれた印象派がアメリカでどのように展開していったのかをモネや日本国内作家の印象作品とも比較しながら知ることのできる貴重な展覧会でした。

グランドキャニオンなどアメリカらしいスケールの大きなテーマの作品を見られたのは興味深いことでしたし、ちらちらと揺れる木漏れ日や反射する白い花弁、さざめき合う波頭などなどの明るい光の表現にアメリカの風土というものをよりリアルに感じることができました。

木曜日の夜はクニーシカの会を開催しました。コズリナ先生のご指導のもと、ちょっと不思議でシュールなお話の展開が面白い『Сказки про МАМ』(ママのお話)を読み進めることができました。

今回は先生からロシア語が持つ実際の意味を教えてもらった上でぴったりの日本語を当てはめることの難しさをあらためて感じました。先生のおっしゃることがわかっても、ではぴったりの日本語表現は何だろう?ってことになり、うーん…となるわけです。

またВсплескиватьという言葉があり辞書には水音を立てるとあり、そのように訳したのですがруками(手で)がつくと、ロシア人がよくやるお手上げだというジェスチャーの意味になる…と教えていただきました。え、そうなの?と思って後から辞書をもう一度見てみたらちゃんと例文がありました。本当に毎回色々と勉強になります。

今後どんな面白いお母さんのお話に出会えるのか楽しみです。クニーシカの会では皆で一つのお話を読み合い理解を深めてゆく楽しさがあります。参加者随時募集中です。お申込みお待ちしてます。(直)






2024年03月24日


ベランダの白色と赤色の絞り模様の椿が次々と咲いていますが、枝によっては赤色だけの花も咲いています。咲き分けといい椿では割とあることらしいと知りました。

今回新たに『ウクライナ民話集』をご紹介しています。分厚い本で40編余りの民話が収録されています。挿絵はラチョフです。もちろん「てぶくろ」も入っていますがお馴染みの絵本とはまた違った挿絵ですからそこも楽しめるかと思います。

個人的にいくつかのお話を読みましたがロシア民話とはまた異なる肌触りを感じています。民話集を読むことはその国や民族を知るためにはとても有益なことだと改めて思わされます。

ラチョフは民族衣装を正確に描きます。表紙の絵では麦わら帽子を被った猫が民俗楽器バンドゥーラを抱えています。この猫は「ねことおんどり」というお話に出てくる猫で、バンドゥーラを自分でさっと作って狐にさらわれた雄鶏を助けに行くのです。

「パン・コトフェイ」というお話があります。歳をとってネズミが取れなくなり主人に追い出された猫が狐と出会いパン・コトフェイと呼ばれ狼などの動物たちからなぜか恐れられる存在になるというお話です。興味深いことに歳をとって追い出された動物のお話は他にもいくつかあります。

ラチョフにしては珍しく?人間描写もたくさん出てきますし、ドラゴンなども出てきますから挿絵を見てるだけでも楽しいです(直)









2024年03月16日


寒い日があっても桜の開花予想が出ると一気に気持ちが綻んでくるものです。東京は今年は20日あたりだそうです。楽しみです。ベランダの椿が次々と開いています。

今回ご紹介している絵本の中にロシアのお馴染みの昔話『マーシャとくま』があります。カランダーシでも今までこのお話については、様々な画家の挿絵の絵本を扱ってきました。でも今回の絵本は今までにはないかなりユニークな絵本です。

この絵本の絵はロシアの有名な画家ボリス・クストーディエフの絵に着想を得て、クストーディエフ「風」に仕上げている絵本なのです。

なるほど、絵本の中を見ると、まずは扉のくまの絵は1921年に描かれた「シャリアピンの肖像」にそっくりです…

絵本の裏表紙にはこの絵本を通してオリジナルの画家に興味を持ち芸術に関心を持ってもらいたい、みたいなことが書かれてありました。ということで、巻末にはもちろんクストーディエフの作品や略歴が紹介されています。

さらにこの絵本についているQRコードを読み取り「VOICE BOOK」というサイトに行けば、世界の名画を音声付きで紹介するバーチャル美術館を訪れることができるようになっています。

この絵本はシリーズになっていて、マレーヴィチ風のサルタン王物語やシャガール風の親指姫などなどが刊行されています。

絵本という媒体が持つ特性と可能性を活かした取り組みですね。個人的にシリーズの他の絵本も見てみたくなりました(直)






2024年03月09日


新しく絵本など紹介しています。よろしくお願いします。

金曜日は朝起きたら雪景色で驚きましたが、またたく間に溶けてしまいました。儚いものです。しっとりと湿気の多い空気に沈丁花の香り。お気に入りの椿ももうすぐ咲きそうです。

少し前になりますが、「マリーローランサン-時代をうつす眼」展を見にアーティゾン美術館へ。キュビズムの画家としてスタートした生涯の芸術活動を、文学、舞台芸術、人物画、静物画などの章に分けて紹介する展覧会です。

代名詞とも言える優美な人物画をたくさん見ることができたのはもちろん嬉しいことでしたが、今回は舞台芸術のコーナーでバレエ・リュスとの関わりをデザイン画などを通して見ることができたのは収穫でした。

ジャン・コクトーが台本を書いたバレエ舞台「牡鹿」の衣装と装置をローランサンが担当したのですが、刊行物で発表された衣装画が展示されていました。ダンサーの動きを考慮して細く長い布をいくつか身体に纏わせたり、特徴的で目立つ形状のヘッドドレスなど舞台で映えるための工夫が伝わってきます。

この舞台の成功によりローランサンには舞台芸術の仕事がたくさん舞い込むようになったとのこと。いくつかの舞台装置画やバレエプログラムの表紙画などの展示もまた個人的には興味深いものでした。

特に印象に残った一連の「椿姫」作品の端正さや花の静物画の柔らかさなど…ローランサンの様々な表現にたっぷり触れることができた展覧会でした。(直)





2024年03月02日


ひな祭りなので、ささまさんで予約したお雛様を飾って楽しみました。素朴で愛らしい和菓子のお雛様です。今週は風が強くて寒い日もありましたがもう3月。陽射しがキラキラとしてきました。

今回ご紹介する絵本の中には日本でもお馴染みの『ピーター・ラビットのお話』があります。タイトルを見ると『КРОЛИК ПИТЕР』とあります。

КРОЛИКとはうさぎの意味ですからピーターうさぎということになります。でもロシアでよく使ううさぎという単語はЗАЯЦです。お話の中でも頻繁に出てくるのはこの言葉です。

うさぎはうさぎでもКРОЛИКとは穴うさぎという種類でЗАЯЦは野うさぎという種類になります。この2種類は同じうさぎでも身体の大きさや暮らし方など相当な違いがあります。

簡単に言うと、穴うさぎは身体が丸っぽくて地面の穴に家族で暮らしますが、野うさぎは大きくて後ろ足が発達していて定住せずに繁殖時期以外は全くの単独行動をしています。

ロシアでピーターラビットをロシア語に翻訳する場合、この2つのうさぎの種類ははっきりと区別すべきと考えたのだと思います。ロシア人が想起するうさぎのイメージは多分野うさぎで穴うさぎではないからです。

また、ビアトリクス・ポターの身近にいるうさぎが野うさぎだったらピーター・ラビットのようなお話は出来ていないのではと思ったりもします。

もう随分昔の話になりますが、ピーター・ラビットの絵本の舞台の村に行く旅をしました。ナショナルトラストのおかげで絵本と同じ風景が昔と変わらず広がっているのを見てとても感激したことを今でも時々思い出します。

草原の所々に水仙がかたまって咲いて風に揺れている春浅い旅の記憶です。穴うさぎは残念ながら見かけることはありませんでした。(直)








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