美しいロシア絵本の世界を是非お手元でお楽しみください。
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2020年03月24日

「魔法の笛と水差し」(カターエフ/文、バルボチェンコ/画)。ジェーニャという女の子が水差しを持って家族と森へ野イチゴを摘みに行き、1人で探すのだが中々見つけられない。そこへヤマドリタケのおじいさんが現れ、笛を吹くと、あら不思議、葉っぱに隠れていた野イチゴが現れる。その笛を欲しがるジェーニャに水差しと交換することを持ちかける…。

野イチゴは確かに上から見ると見つけにくいかもしれない。かがんで、葉っぱをそっとよけるとルビー色の実が茎の先に下向きになっているのを見つけられるはずだ。

カターエフは「七色の花びら」の作者でもあるが、そちらも女の子と魔法のお話だ。どちらも最終的に女の子は自分自身で本当に大切なことに気づき成長してゆく。

ごく普通の女の子の日常におこる困ったこと。そこにすっと現れる魔法を使える存在。現実と不思議な世界が特別な境目なく自然に語られる。もしかしたら、こんなことがあるかもしれない、あったらいいな、と思わせる。

その女の子を助ける存在だが、七色…ではおばあさんだが、このお話ではヤマドリタケのおじいさんだ。バルボチェンコが描くきのこのおじいさんはとてもチャーミングだ。野イチゴときのこ、本当にロシアの森らしいお話だ。

個人的には笛を吹くポニーテールの女の子の横顔はどこか中原純一さんの描く少女の雰囲気もあるかしらと思っている。

野イチゴといえば、冬場は枯れていた我が家の野イチゴも緑の葉っぱを芽吹かせ元気そうだ。数年前株分けしていただいたものだが、ランナーで少しずつ増えてきていて嬉しい。今年も実をつけるのを楽しみに待ちたい。(直)

https://karandashi.ocnk.net/product/425
2020年03月23日

カランダーシの部屋から見える桜の木はまだ満開は先のようだ。同じ桜を眺めるにしても去年と今年では心持ちが随分違う。来年のことなど想像もつかない。

さて、イーゴリ・オレイニコフ画の「飛行の物語」(ウサチョーフ/文)。人類はどのように空に憧れ、飛ぼうとしてきたのだろう。幻想的にして説得力のあるオレイニコフの挿絵に導かれながらその物語を驚きと感慨を持ちながら見つめてゆく。

空を飛ぶ…それは魔力や神秘的な力でしか叶えることができないと考えられていた事であったのだが、その可能性を決して諦めようとしなかった先人たちの飽くなき挑戦の数々に拍手喝采をおくりたくなる。

奇想天外ともいえる幾多のアイディアは、人が持つ想像力の賜物だ。人がずっと憧れ続けてきた手の届かないたまらなく魅力的な空と世界。鳥や虫にも倣い、重力を克服しようと悪戦苦闘してきたその足跡を楽しみたい。

そして、今や、私たちは飛行機で海外どこへでも行けるようになった世の中に住んでいる。便利になり、昔の人たちの夢を現実のものとしているといえる。

でも、やはり魔法使いの箒やペガサスの羽根への憧れがなくなったわけではない。まだまだ先は長いのだろう。浪漫。(直)

https://karandashi.ocnk.net/product/424
2020年03月21日

ラチョフ画「もりのようふくや」(うちだりさこ訳・福音館書店)の露語版を並べてみた。

冒頭でページデザインが違ったりするが、同じテキストの同じ絵本。絵の方はというと、まず色調が随分違うのに気づく。絵そのものは、最初同じものと思っていたのだが、よく見ると違う。違う。同じように描かれた違う絵だ。

どちらのオリジナルの絵が古いのだろうか。多分露語版の方が古いと思っているがどうなのだろう。こういう時、露語版の初版年がわかるといいのだけど記載はない。同じようで違う絵を見比べるのも興味深い。

この絵本は動物たちのお話。ハリネズミ、ウサギ、クマ、オオカミ、アナグマたちが出てくる。それぞれの衣装も素敵だ。それからこの絵本、たくさんの民族的な模様のついた陶器の花瓶や壺などがたくさん出てくる。そちらをひとつひとつ見るのも楽しい。

ハリネズミのおじさんが「…きのこいりの おまんじゅうを たべて、こけももの おちゃを のんだ。…」というところが好きだ。(直)

2020年03月21日

家族の用事で都内を移動。車窓から見える桜を楽しみつつ。良いお天気でよかった。

出先のわりとご近所にロシア雑貨の店「ロシアンティー」さんがあったので、用事の合間にちょっと時間を作って寄ることができた。お店の中に入るのは初めて。前に来た時は店主さんがロシアに買付け中で閉まっていた。今回はお店は開いていたけれど店主さんは地方催事出張中でお父様がお店番をされていた。

耳がついてる白黒猫さんのマトリョーシカと参考資料になりそうなウクライナの民族衣装のポストカードを購入。つかの間楽しい時間だった。(直)









2020年03月19日

今までアンデルセンやペローなどの古典作品の挿絵で活躍していたアントン・ロマーエフが文章も書いた絵本「小さな海賊のための子守唄」。ロシア国内の名誉ある賞のみならず2019年B I B世界絵本原画展で金のリンゴ賞も受賞した。

2017年に同じく金のリンゴ賞受賞のアンナ・デスニツカヤや2019年に国際アンデルセン賞受賞のイーゴリ・オレイニコフなど、このところのロシア絵本画家たちの国際的な評価は目を見張るものがある。今回のロマーエフもすごいぞ!と思っていたので大納得だ。

海賊船が舞台。中々眠らないやんちゃな息子を父親が歌を唄い、お話をして眠らせてようとするが、かえって興奮させてうまくいかない…という筋立てだ。

父親はがっしりとして強面で百戦錬磨の風防だが、息子には滅法弱い。手を焼きながらもかわいくてしょうがないのだ。かわいがるだけではない。海のような深い愛で息子を包む慈愛に満ちた大きな存在であることもロマーエフは絵で教えてくれる。

この絵本の魅力は、南極のペンギンやサメたち、熱帯のライオンやキリンなどなどについて父親によって語られるイメージが、父と子を取り巻くように青い色で描かれているところだろう。無限に広がる想像のキャンバス。親子は南極の冷たい海や熱帯の温かい風を共に感じながら濃密な時間を過ごす。息子はまだ見ぬ世界の果てに憧れる。

成長した息子が一艘の小船で漕ぎだすページが印象的だ。海賊として強く生きて行く彼に必要なのは逞しさであり、戦う術であり、武器なのだろうが、彼の心を大海原に向かわせるのは心の中にある父親から語られた物語であり、子守唄なのだ。

ロマーエフ自身に(制作当時)3歳の息子がいて、このような絵本を作れたことを喜んでいる。これは実際の父親としての日常から生まれた体温を感じさせる絵本でもあるのだ。あとがきには親子ショットも掲載されていて微笑ましいし、制作スケッチ掲載の見開きも楽しい。

元々精密でクラッシックな絵柄に、構図やデザイン、独特の明度、人物の表現、動き、などで現代的なニュアンスも取り入れて古典物語を描いてきたロマーエフ。今回はオリジナルのお話ということもあり、より夢溢れるダイナミックで壮大な世界観や、海賊船の細かな描きこみ、チャーミングな人物造形など、のりにのって(多分)描かれていているように感じる。

ロマーエフが文章の長さと絵のバランスについて語っているのを読んだことがあるが、この絵本はテキストも短く(ロシアのお話絵本にしては)読みやすさも考慮されているところもいいな、と思う。

とても素敵な絵本だ。(直)
2020年03月18日

陽が長くなったなぁ。と滑り込みで郵便局に向かう道すがら思う。あまり駆け込みたくはないのだが、たまにある。

夕暮れの山の辺をオンドリを抱えてゆく真剣な眼差しのキツネの姿が印象的な表紙のヴァスネツオフ画の「ロシアのお話集」。今までカランダーシでご紹介してきた絵本とお話は同じでも異なる挿絵も収録されており、新鮮な印象だ。

収録されているお話は「おおきなかぶ」「まだらのメンドリ」「おだんごパン」「ごてん」「金色とさかのオンドリ」「オオカミとヤギ」「ガチョウ-ハクチョウ」「姉アリョーヌシカ弟イヴァーヌシカ」「冬帝」。

絵とお話のバランンスもよく考えられており、とても読みやすい。私は「姉アリョーヌシカ・弟イヴァーヌシカ」の挿絵を初めて見るのだが、ヴァスネツオフらしい?デフォルメやキャラクターの強さは控えめで、繊細さも伝わる優しい雰囲気。わりと初期の頃に描かれたものではないかと予想しているがどうだろう。


2020年03月17日

毎日朝ドラのスカーレットを見ている。辛い展開だけど見守ってゆきたい。主人公の陶芸家としての仕事ぶりや日常も興味深い。

ロシアのアヴァンギャルド絵本シリーズの「陶磁器のカップ」は、お茶をいただくカップが工場でどのように作られるのかを教える。粘土をこね、成形し、焼いて絵付けをしてまた焼く。その工程が紹介されている。

使っている色は地色の白を合わせてたったの4色だ。工場の機械はシンプルに描かれたフォルムでその仕組みの理解を促し、また携わる工員の仕事の中身も的確に伝えている。この絵本はまた労働の大切さも教えているのだ。

ロシアがこの時代の絵本をこのような形で復刻させていることは大変ありがたく嬉しいことだ。エベンバーフ画のこの絵本も初めて見るのだが、洗練された表現に目を見張っている。(直)
2020年03月16日

日曜日。お天気もよかったので神代植物園へ。深大寺にはたまに来るけれど植物園に入るのは久しぶりだ。

染井吉野はまだだったけれど、さすが植物園。すでに咲いている桜も数種類あり、ひと足早いお花見を楽しむことができた。

白いコブシが青空に映えてとても美しく、また、椿もたくさん咲いていて見応えがあった。

広々として空気も清々しく植物たちから元気をもらいよい気分転換となった。(直)
2020年03月14日

寒いと思ったら、雪が降り出していた。ぼたん雪。なごり雪。でも春の雪はすぐ溶けてしまう。画像の花は今満開の山桜桃。

氷で作った家も春になると溶けてしまう。キツネは自分で作った氷の家がなくなったので、うさぎの家に入り込み、家を占拠してしまう。家に入れずに泣いているうさぎに同情して犬やオオカミやクマなどがキツネのところへ行きキツネを追い出そうとするが…というロシア民話の絵本「うさぎのいえ」。カランダーシ刊はラチョフ画だ。

このお話とほぼ同じ内容のお話の絵本たち。うさぎを助けようとする動物が違ったり、タイトルも「きつねとうさぎ」というのもある。民話なので語り手や地方、年代などで言い回しなども違いがあったりもするが、大筋は同じ内容のものだ。それぞれのお話を読み比べてみたり、また画家による表現の違いを味わったりも楽しいものだ。(直)
2020年03月14日

そろそろ桜が咲き始めるようだ。庭の山桜桃は満開。息子は今朝ウグイスの声を聞いたらしい。毎年この辺りでも鳴いているのが聞こえる。わたしも早く聞きたいものだ。

ロシアの森も3月になると長い長い冬も終わりの兆しを見せて、動物たちも動き出すようだ。「森の中で…動物たちの1年」での3月のページ。地面の大部分は雪にまだ覆われているけれど、所々草が萌え出ている。その柔らかな草をうさぎたちが食んでいる。ライチョウの雄たちは雌をめぐり争いを繰り広げており、キツネはその様子をじっと見つめ狩のチャンスをうかがっている。冬眠から目覚めたばかりのクマ親子。こぐまたちは初めて見る外の世界に目を丸くしている。

さまざな動物たちが春浅い森に生息しているのがよくわかるのだが、挿絵の真ん中あたりの倒木に乗っている動物は何だろうと解説を読むとたぬきだった。

調べたらロシアでも東部にはタヌキが生息しているようだ。ロシア語の成り立ち的にはアライグマのようなイヌ科の動物という表現になっている。ロシアではアライグマの方が一般的なのかもしれない。でもアライグマはロシアにとって外来種で生息地分布もあまり広いようでもないのだが。

ついでに?タヌキとアライグマの見分け方を覚えた。タヌキは目の周りの黒い縁取りがつながっていないが、アライグマは眉間に縦に筋もあり繋がって見える…そうだ。となると右側のページのクマのソバにいるのはアライグマなのだろう。(直)

2020年03月12日

マーヴリナのロシア美術館の収蔵作品集。旅の風景画、花の静物画、ヌード画などアーティストとして残してきた作品を見ることができる。この画集にはいわゆる民話の挿絵は登場しない。

1900年生まれのマーヴリナは、革命、それに伴うアヴンギャルドの時代から社会主義リアリズムの時代への大転換の荒波の真っ只中で何を見つめてどんな表現活動を行ってきたのだろうか。

マーヴリナの芸術のテーマには、ロシアの民族性の探求がひとつあるが、この画集では、美術館に通い影響を受けたフランス、そして印象派や後期印象派の流れというものも受け取ることができるのではないだろうか。

そして、またこの画集では自身がコレクションしていたイコン数点を見ることができる(直)
2020年03月11日

19世紀末から肖像画家、挿絵画家として活躍を始め、後に特にバレエ・リュスの舞台美術、衣装デザインで卓越した才能を遺憾なく発揮したレオン・バクストのパリでの活躍の軌跡をまとめた一冊。

その魅惑的で斬新な衣装デザイン画の数々にため息をつき、一瞬にして異世界に引きこむ壮大にして緻密な舞台美術に圧倒される。そのどれもが芸術的で美しいのでクラクラしてくる。

大胆にして優美。布の特徴を熟知し、ギャザーやドレープをつけ、異なる柄や素材を切り替えて重ねる。色合わせ、柄合わせは意表をつく創造性に溢れ、刺繍やビーズ使いなどにも美意識が冴え渡る。

心血を注いでデザインを起こし、布を断ち作成し、ダンサーや演者が実際に袖を通して舞台の上で照明を浴びて初めて完成を見る衣装の世界。イメージを具現化することの奥深さに思いを馳せる。

巻末の方にテキスタイルデザインの仕事も紹介されている。ロシアの古い紋様などアレンジされていて興味深い。

ロシアの民族性やエキゾチズム、そしてパリの洗練…。驚きと刺激に満ちたレオン・バクストの作品をたっぷり鑑賞できる貴重な機会だ(直)



2020年03月10日

先日の日曜日。雨の降る静かな石神井公園を歩いた。想像以上に人手は少なく、スワンボートも中々出番はないようだった。

スワンボートといえば、2017年に稚内からスワンボートでサハリンに行こう!という無謀な番組?の企画があって、あっけなく失敗。結局スワンボートはサハリンまで連れてゆかれ係留されたらしいのだけど、その後そのスワンボートはどうなったのだろう…。

さて、公園内はあまり色がない景色だったのだけど、寒緋桜が咲いているのを見つけた。花が地面に散り敷いていてきれいだった。(直)





2020年03月09日

ヴァスネツオフと言えば「さんびきのくま」が有名なのでくまの絵を思い浮かべるところもあるけれど、一方素敵な猫の描き手でもある。猫だけを集めたいポストカード集が出ている。

尻尾が太くてフサフサのずんぐりした体型。まん丸のお顔には存在感がのある立派なヒゲがたくさん。目は丸く大きく眼差しは力強い。皆中々おしゃれな衣装を着ている。ワーレンキを履いたり、クビのリボンもチャーミング。

お話やわらべ歌の中の猫たち。唄ったり、踊ったり、おすまし顔だったり。ヴァスネツオフならではの楽しいネコたち大集合。とても賑やか!(直)
2020年03月07日

カランダーシの資料絵本の中から「мурзирка(ムルジルカ)1967年3月号」を見る。表紙はマーヴリナが描いている。挿絵陣にはカバコフ、ミトゥーリチ、トクマコフたちもいて豪華な印象だ。

創刊が1924年で現在も発行されており、世界で最も古い児童雑誌としてギネスにも登録されているという。何があろうとこの雑誌は1回のお休みもなく発行され続けたらしい。

子ども向けの短いお話や詩などがたくさん収録されていて楽しい雑誌なのだが、この号では、冒頭で3月8日の国際婦人デーに触れ、他にもメーデーのこともしっかり見開きで扱っていたり、カランダーシにあるもうひとつの資料雑誌の「весёлые картинки (ヴィショーリィエ カルティンキ
)」に比べるとお硬い?イメージかもしれない。

2017年にモスクワに行った時に、グム百貨店の通路でこの雑誌の90周年を記念して表紙をわーっと並べたディスプレイを見たのを思い出す。壮観だった。

良質な文学や芸術を伝え、楽しい遊びもある、と同時に時代に伴った子ども向けのプロパガンダの役割も担ってきたのだと思う。長きに渡り1回のお休みもなく発行され続けてきたということは、それだけ雑誌の持つ影響力が重要視されてきたことの裏付けでもあるだろう。

さて、赤いベレー帽を被った黄色い不思議な生き物がこの雑誌のキャラクター、その名もムルジルカだ。キャラクターとはいえ、ロシアらしくチェプラーシカと同様細かい表現規定があるわけではないようだ。ということでわりと画家により自由に表現されているところが面白いところだ。(直)

2020年03月07日

ロシアの木製みみずく作成キット。板に身体の各パーツがプリントされていて、それを外してひたすら組み立てていく仕組み。今回も前回の紙製のリアル猫ちゃんに引き続きカランダーシの専門工作担当の娘が作ってくれた。

みみずくのことを詳しく知っているわけではないけれど骨格から嘴、羽根の生え方まで細かいところまでみみずくらしさを追求して作られているのではと思う。

出来上がったみみずくは愛嬌もあり、親しみを感じている。傍らに置いて和んでいる。いい子だなぁと思っている。
説明文には英語もあり。(直)
2020年03月05日

強い風が吹き荒れた1日。頭でっかちのヒアシンスの鉢が倒れたので屋内へ。いい香り。

アヴンギャルド絵本の復刻版。「川では…」。ヴヴェデェンスキーの詩とエヴェンバーフの絵。すっきりシンプルに現実的な景を描きながらも柔らかさと温度が伝わってくるとても素敵な挿絵だ。

優しい日本の薄浅葱色のような水の色を全面に配して静かな川の世界に誘う。その水面に映るパステルの影はあたかも幻のようにも見えるが、読者を情緒に溺れさせるのはこの絵本の目的ではない、そのギリギリのところ、とても抑制の効いた詩情が心地いい。

川は私たちにとってどんな場所なのか。ピオネールの蒸気船が進み、切り出した丸太を浮かばせ、網を仕掛け漁をし、洗濯をする…。この絵本は次々と様々な川の様子を伝える。川の物語はまた人々の物語でもあるのだ。

それにしても、少ない色数の絵ながら、どうしてたっぷりとこんなに豊かで多彩な印象を与えることができるのだろうか。何というかおそれいってしまった。

また、この色合わせ、どこか東洋的な、お着物で使われるようなイメージもあるような気がして。
ということで、この絵本、個人的にはアヴンギャルド絵本の中でも特に好きな1冊になった。(直)
2020年03月04日

ベランダのジャスミンに蕾がつきだしている。嬉しい。楽しみにしたい。

画像はチュコフスキー作の洗面台を擬人化したお話。同じお話の絵本の同じ箇所を3冊並べている。真ん中の絵本が「あらうよバシャザブーン」(2011年、田中潔訳/偕成社)右端が「おふろおばけ」(1983年、ばばともこ訳/新読書社)。左端はロシア語班でアヴンギャルド絵本の一翼を担ったコナシェーヴィチ画だ。

不潔な子どものところへ洗面台がやってきて叱り、洗おうとするも家から逃げだすのだが、ワニに脅されて改心し、戻ってきてきれいに洗ってもらう、というお話だ。清潔の大切さを教えている。

コナシェーヴィチの絵本は1973年版であるが、そのころコナシェーヴィチはすでに亡くなっている。ということはこの絵が初めて世に出たのはいつなのだろうか。残念ながらそれが何年なのかの記載はない。

洗面台のスタイルを見ると、邦訳版2冊は蛇口がついており「おふろおばけ」では温水もでるようだ。そしてこの蛇口が両方とも鼻を表現している。それは1939年にこのお話のアニメが出来て人気を博したのだが、そちらで蛇口=鼻となっており、それが以後定着されているのでは、と思っている。

そして、多分このコナシェーヴィチ版はそのアニメが出る前に描かれていたものなのでないかと推測している。ここで描かれているのは、貯水タンクが前面についており、蛇口ではなく、下から押すことによりタンクから水が出るスタイルだ。これは蛇口スタイルより一般的にみて古いスタイル(なはず)だからだ。

同時にこのタンクスタイルの洗面台を見て、タンクを顔に見立ててチュコフスキーもお話を作ったのではと思う。だって、そんな風に見えるもの。真相はわからないけれど。

現在でもロシアではこの絵本は人気があるようでたくさん色々出版され続けている。洗面台スタイルは変わろうとも清潔が大切なことは変わらないからだろう。

今なら正しい洗い方などを指導してくれる洗面台があったらいいなと思う。
(直)



2020年03月03日

父の老人ホームはやはり原則訪問者は入れないようになった。仕方ない。私のような遠方からの来訪者は相当先にならないと入れてもらえないのではないかと思う。母も高齢だし来月行く予定にしていたが諦めることにした。早く収束しますように!

ロシアの大きなかぶ遊びができるパペット人形をご紹介。おじいさん、おばあさん、孫娘、犬、猫、ねずみとそして主役のかぶ。それぞれ登場人物を手にはめて、みんなでかぶをひっぱって遊べる。

もちろんほかの遊びにも応用できるだろうと思う。パッと明るい色合いとはっきりとしたお顔の印象が特徴の陽気なお人形たちだ。

「うんとこしょ、どっこいしょ」と声を合わせてお話の世界を楽しんでほしい。持ち運べる紙製ボックス付き。(直)
2020年03月02日

ロシア・アヴンギャルド絵本の中でも大変印象深い1冊。こうやって復刻版を手に取れるのは大変嬉しい。

水色の表紙はカバーで、中にオリジナル版が挟み込まれている形態。なるほど、こういう方法があったのかと思う。前後カバー面にはに詩を書いたマヤコフスキーの事、絵を描いたポクロフスキーの事が書かれている。日本の浮世絵についての言及もあり興味深いところだ。

つまりこれは、アヴンギャルド絵本の価値をしっかりと認識し、蘇らせ、きちんとした形で伝えてゆこうという意志のもと作られたものなのがよくわかる。海外の絵本にも多大な影響を与えた絵本の革命についてのロシアの現在のひとつの姿勢を感じとることができるのではないか。

裏面にはマヤコフスキー博物館とロシア国立子ども図書館のお墨付きマークもプリントされている。オリジナルは1927年版で7000部刷られたとある。

マヤコフスキーが子どもたちへ残したメッセージ…灯台のようにあれ!を当時のまま受け取れる貴重な企画絵本だと思う。

邦訳版「海と灯台の本」(新教出版社)もある。(直)
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